「技術商社機能を持つメーカー」世界に挑む【東電電子零件亜太区有限公司】

2024/07/17

IMG_6591エレクトロニクス商社・東京エレクトロン デバイス株式会社のアジアのヘッドオフィスにあたるTED APAC(Tokyo Electron Device Asia Pacific Limited)。同インタビューでは、香港を拠点とし、タイ・シンガポール・中国などを管轄する同社の、業界をリードするいくつかの取り組みについて伺った。

 

シナジーを創り出す商社とメーカー機能
半導体製造装置メーカーの東京エレクトロンから事業承継しエレクトロニクス商社として事業運営する東京エレクトロン デバイス株式会社(以下、TED)。2005年に展開した香港オフィスは、12年に現行のTED APACに改称され、アジアの拠点を総括するヘッドオフィスとしての重要な役割を担っている。

TED全体では中長期計画「VISION2025」の業績目標を2年前倒しの23年3月期で達成した。24年3月期も技術商社の主力として半導体販売を伸ばし、また新たなM&Aにより自社製品展開のすそ野を広げることになった。それが今回紹介するマクロ検査装置「RAYSENS(レイセンス)」の開発・製造である。さらに後半では技術商社として業界をリードするクラウドサービスの提供などにも触れていく。

 

人的ミスを防ぎ、検査プロセス削減やウェーハの品質安定化を実現
Q:「 RAYSENS(レイセンス)」について詳しく教えてください。
光の僅かな変化を捉える光学技術を用いて、ウェーハの欠陥を高速、高感度に検出することが出来る検査装置です。ベアウェーハ、パターン付ウェーハの両方の欠陥検査に対応し、それぞれの欠陥対象に応じて最適な光学系・検出アルゴリズムにより、スピーディ・高感度に欠陥検出を行います。従来の抜き取りによる目視検査に代わり、全数検査自動化への推進を実現しました。

Q: 同製品が誕生した背景を伺えますか?
数年の開発年数を経て、販売開始は2020年のことです。上記でも触れていますが以前まで6インチ・8インチのウェーハは目視でしか検査ができず、人力に頼らざるを得なかった背景がありました。またコロナの影響でワークスタイルが変化し、無人化を求めるニーズもあり、全自動化かつ非接触型製品の誕生へと結びつきました。

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Q: RAYSENS販促の具体的なプランを教えてください。
まずは半導体生産世界シェアの半数以上を占める台湾マーケットをターゲットにしています。台湾での成功が弊社の試金石となるでしょう。また、アジアだけでなく、欧米市場も視野に入れております。

 

労働力不足や人件費削減に効果的
Q: 貴社独自開発の「倉庫DXソリューション」について教えてください。
身近なところでは、洋服を購入する際に、一つずつバーコードを読み取るのではなく、商品を複数枚ただ置いただけで瞬時に情報を読み取り会計手続きまで進む迅速なサービスがありますよね。弊社の「HAKO-FLO」では、このRFIDという小さなチップを搭載したシールをハコ(貨物)に貼ることで、クラウド上での一括資産管理を実現。貨物の損傷レポート作成、管理をクラウド上で行うことで、取り間違えを無くし効率アップやペーパーレス化が実現できます。人件費の高いアメリカでは導入事例が多い同サービスですが、労働力不足に直面する香港でも将来的に必要なものとなるでしょう。

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ESG経営を目指して
Q:貴社が提供する「CO2見える化」アスエネについても教えてください。
アスエネはCO2排出量見える化、削減、報告のクラウドサービスです。日本No.1シェアを誇り、6,000社以上に導入されています。弊社はアスエネの販売権を取得し、海外で展開する日系企業にサービスの提供を行っております。昨今、CO2排出量の見える化と削減する動きが各国で盛んになっており、各社データの算定を始めています。これまでエクセルで手作業にて行われていましたが、アスエネではAI-OCRの技術を活用し効率的かつ簡単に算定できるようになりました。欧米に続き日系企業もESG投資が潮流となっていく中で、企業価値を高めるために導入を検討されることをお勧めしています。

Q: 社会貢献としてスタートした取り組みとは?
TED APACでは今年7月からフィリピン柔道代表・中野兄弟のスポンサー企業になりました。フィリピンと日本にルーツを持つ中野 修源選手と経清選手は、フィリピンの子どもから大人に向け、柔道を通し文化交流を行ってきました。彼らの活動を応援し、フィリピンの市民に向け柔道着などを贈る取り組みも行なっております。

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Tokyo Electron Device Asia Pacific Limited
東電電子零件亜太区有限公司スクリーンショット (2621)  エレクトロニクス専門商社の東京エレクトロン デバイス株式会社を本社に、2005年に香港進出。TED APACとしてアジア各拠点を管轄している。スタッフは70名ほど。
Unit 2016-2020, 20/F., Tower 2, Grand Century Place, No.193 Prince Edward West, Mong Kok
(852)2169-0707
www.teldevice.co.jp

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