「最近の中国法改正4」ワイズコンサルティング

2014/09/15

最近の中国法改正④

《国家外貨管理局一部地域において外商投資企業の外貨資本金元転管理方式の改革試行を展開することに関する問題についての通達(匯発[2014]36号)》
国家外貨管理局は、2014年7月4日付けで『国家外貨管理局一部地域において外商投資企業の外貨資本金元転管理方式の改革試行を展開することに関する問題についての通達』(匯発[2014]36号、以下『36号通達』)を公布しました。
外商投資企業における外貨資本金の元転は、旧来から「支払元転制管理」が実施されているため、外商投資企業は実需に基づいて人民元転を行なう必要があり、手元準備金(中国語「备用金」)以外の元転に際しては、銀行に対して契約書や請求書などの支払いに関する証憑の提出が要求される等、外貨資本金の自由な元転が認められておりませんでした。
当該『36号通達』により、蘇州工業園区や深セン前海深港現代サービス業合作区等下記全16のパイロット区域(以下、「試行区」)において、外商投資企業における外貨資本金の元転に係る管理方式等に対し、一部規制緩和がなされております。
試行区:
天津濱海新区、瀋陽経済区、蘇州工業園区、東湖国家自主創新モデル区、広州南沙新区、横琴新区、成都ハイテク産業開発区、中関村国家自主創新モデル区、重慶両江新区、黒竜江沿辺開発開放外貨管理改革試行地区、温州市金融総合改革試験区、平譚総合実験区、中国-マレーシア欽州産業園区、貴陽総合保税区、深セン前海深港現代サービス業合作区、青島市財富管理金融総合改革試験区

主な内容は以下の通りです。
1.外貨資本金の元転管理方式の変更~「支払元転制管理」から「自由元転管理」へ~
試行区内企業は、「元転後支払待ち口座」を開設することにより、外貨資本金を自由に元転し、「元転後支払待ち口座」へ預け入れることが可能となります(「自由元転管理」)。なお、試行区内企業は、外貨資本金の元転に関し、「元転後支払待ち口座」を開設せず旧来の「支払元転制管理」を適用するか、「元転後支払待ち口座」を開設することにより『36号通達』が認める「自由元転管理」を適用するかを選択することが認められます。

2.投資性公司における国内再投資に関する規制緩和~人民元による国内再投資~
投資性公司が、外貨資本金を元転し投資することが認められることになります。

3.その他留意点
(1)外貨資本金の元転
旧来、外貨資本金の元転に際し、匯綜発[2008]142号を根拠条文とし、銀行に対して験資報告書の提出が求められておりましたが、『36号通達』では試行区内企業の外貨資本金の元転に際し、験資報告書の提出が必要という匯綜発[2008]142号の規定を適用しない旨規定されており、今後試行区内企業が外貨資本金を元転にする際に、験資報告書の提出が不要となることが期待されます。
(2)元転後資本金の使用
①手元準備金
月間60万元相当までは、真実性関連資料の提出が不要となります。
(旧来の「支払元転制管理」においては、1回5万米ドル以内、月10万米ドル以内)
②手元準備金以外
支払いの際に、銀行に対して真実性証明関連書類の提出が必要。
(3)元転後資本金の用途
元転後の人民元資金の用途は、経営範囲内の支出に限定されており、「証券投資、人民元委託貸付、企業間貸借の返済、非自社用不動産購入」等は、依然として禁止されております。
当該『36号通達』は、2014年8月4日から施行されます。

山本圭一郎ワイズコンサルティング国際会計グループ

香港事務所

住所:15/F.,O.T.B. Bldg., 259-265 Des Voeux Rd., Central

電話:+852-2851-8700

深セン事務所

住所:深セン市羅湖区建設路1072号東方広場10楼1010室

電話:+86-755-8831-6995

Pocket
LINEで送る