「最近の中国法改正5」ワイズコンサルティング

2014/10/13

最近の中国法改正⑤

《国務院企業情報開示暫定条例(中華人民共和国国務院令第654号)》

2013年2月18日に国務院から公布された『登録資本金制度の改革法案の印刷・公布に関する通知』(国発[2014]7号)により、従来の年度検査制度が年度報告開示制度へ変更されたことに伴い、年度報告開示制度による工商行政管理局への企業情報の報告が開始されておりますが、当該企業情報等は、今後「企業信用情報開示システム」(中国語「企业信用信息公示系统」による公衆開示がされることになります。

 

1.企業信用情報開示システムにおいて開示される企業情報の範囲
(1)工商行政管理局により開示される情報(工商開示情報)
企業登記・届出情報、動産の抵当登記情報、持分の質入登記情報、行政処分に係る情報、その他法律により開示すべき情報
(2)工商行政管理局以外の政府部門より開示される情報
取得した許可証に係る情報、行政処分に係る情報、その他法律により開示すべき情報
(3)企業により開示される範囲(企業開示情報)

❶年度報告開示:1月1日から6月30日まで
・強制開示情報:通信住所、郵便番号、電話番号、メールアドレス、授権資本および払込資本(払込金額・払込時期および払込方法)、持分変更情報等
・任意開示情報:公衆開示をするか否か決定することができる情報従業員人数、総資産額、負債総額、対外担保、株主資本総額、売上高総額、主たる業務売上高、利益総額、純利益、納税総額
❷適時開示:開示事由発生日より20営業日以内
払込資本(払込金額・払込時期および払込方法)に係る情報、持分変更に係る情報、行政許可に係る情報、知的財産に係る質入登記情報、行政処分に係る情報、その他法律により開示すべき情報

 

2.信用制限制度(中国語:「信用约束机制」)の構築
(1)経営異常リスト(中国語:「经营异常名录」)
❶規定期限内に「年度報告開示」義務を履行しない場合、または、規定期限内に「適時開示」義務を履行せず、工商行政管理局が指定する期限内においても開示しない場合
❷開示情報に隠蔽或は虚偽がある場合、なお、今後実施される経営異常リスト管理に関しては、国家工商行政管理総局が2014年8月19日付けで『企業経営異常リスト管理暫定弁法』(国家工商行政管理総局令第68号)を公布しており、「経営異常リスト」に分類される条件が、上記以外にも下記のように規定されており、今後「経営異常リスト」に分類された企業は、「企業信用情報開示システム」において開示されることになります。
❸登録住所(或は経営場所)を通じて連絡が取れない場合。
(2)厳重違法企業リスト(中国語:「严重违法企业名单」)
・工商行政管理機関によって経営異常リストに記載された後満3年経過する場合「厳重違法企業リスト」に分類された企業は、「企業信用情報開示システム」において開示されることになります。
(3)法定代表人の責任強化
「厳重違法企業リスト」への記載がある企業の法定代表人或は責任者は、向こう3年間は他の企業の法定代表人或は責任者を務めることはできない。
(4)連動影響体制(中国語:「一处违法,多处受限」)
各関連部門は連動影響体制を確立し、企業信用情報開示システム等により企業信用状況を評価したうえで、「経営異常リスト」及び「厳重違法企業リスト」への記載がある企業に対しては国有土地の譲渡等の面で制限措置がとられ、各関連部門による「一箇所で違法があれば、様々な箇所で制限を受ける」という運用がなされることになります。

 

ワイズコンサルティング 山本圭一郎

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