PRES Language Center(プレスランゲージセンター)藤本馨子さんにインタビュー

2014/10/27

Key Woman

6歳になる双子を育てながらセントラル(中環)の語学学校PRES Language Centerでバリバリ働くキャリアウーマン・藤本馨子さん。2度のカナダ留学、空港勤務、そして香港へ。幾多の挑戦の末、辿り着いたこの地で一直線に未来を見据える気骨な女性に迫る!

PRES Language Center
藤本馨子さんインタビュー

藤本馨子さん

パリッと白いスーツを着こなすその女性に会った時、しっかりと伸びた背筋と真っ直ぐ先を見る鋭い目に少しだけ圧倒された。香港歴11年の藤本馨子さんは大阪府出身。元々引っ込み思案な性格ではあったが、高校時代に英語授業に興味を持ち、映画「バックトゥザフューチャー」や海外ドラマを観ては漠然と海外での生活を思い描いていたのだという。

この当時からもう日本を離れて生活することを考えていたのですか。

―高校の英語の授業は嫌いではなかったし、自由に話せればいいなあとは思っていましたが、成績はあまり良くなかったですね(笑)。それでも将来は海外で生活しているという何かしらの予感はありました。神戸の短期大学を卒業する頃、藤本さんはカナダへの留学を決める。ただ、警察官で厳格な父にはそのことをなかなか伝えられずにいた。

お父さんにはどのようにして伝えたのですか。

―手紙を書きました。当時の自分なりに父を説得するには手紙でストレートに自分の思いを伝えたほうが良いと考えたのでしょう。「お茶汲みで終わりたくはない。海外で挑戦したい」と。返事はなかなか来なかった。それでも短大を卒業してからカナダの新学期が始まる9月までひたすらアルバイトをして資金を貯めた。返事が来たのは、カナダへの旅費を貯め終えて旅立つ直前だった。

「自分で何ができるかやってみろ。」

厳格な父らしいストレートな言葉に胸が震えた。

1992年8月22日。奇しくも父の誕生日。藤本さんはカナダのブリティッシュ・コロンビア州へ飛んだ。語学学校に入学し2年間の猛勉強と右も左もわからぬ異国の地での“サバイバル生活”を終えて日本に帰国。

帰国した時は、ご両親喜んだでしょうね。

―そうだと思います。それでも帰ってきた私を見て「別人になった」と驚いていました。英語はもちろんのこと、見知らぬ土地で生活をしたことで精神的にもかなり逞しくなっていたのだと思います。英語を活かす仕事を探し、ちょうどその頃開港した関西国際空港に就職。国際線のカウンターで働いた。カウンター越しから海外へ旅立つ人々を眺める毎日の中で、また次の思いが胸に立ち上ってくる。

「本格的に海外の大学で勝負をしてみたい。」
それから1996年までの2年間、朝晩は家庭教師、昼間は空港で働いて学費を稼いだ。阪神大震災の時もあまりの疲労で地震に気づかないほどに寝る間を惜しんで働き、彼女は再びカナダへ飛び立った。バンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学に入学し、アジア研究学を専攻。副専攻に国際関係学を選んだ。

専攻、副専攻の内容からしてまさに香港行きを暗示するような。

―香港のことはこの時には頭にはありませんでした。政治・経済ともに世界の関心がアジアに集まり始めていた時代ではあったのですが、何よりも言葉や文化のギャップを越えてカナダ人と対等に勝負するために選んだ専攻です。同じ土俵で勝負しても勝てないと思ったわけです。

なるほど。すごい意気込みですね。藤本さんのギラギラした目が想像できます。

―大変でした。カナダ人の6倍もする授業料を払っていたので「絶対に負けたくない!」と思っていました。それほどお金をかけて同級生に劣る成績を残すのはプライドが許さなかったんです。

1999年。大学卒業後、日本に帰国した藤本さんは、社外取締役に就任した元フィリピン大統領のアキノ氏の通訳として鳥取三洋電機に入社、東京の外資系企業への転職を経て2003年9月、香港に渡る。2008年の出産までの約5年間をみずほコーポーレート銀行の資金室で働き営業の基礎を磨いた。そして現在、PRES Language Centerで営業職としてカスタマーサービスに従事している。双子を出産後6年が経とうとしている現職の中で、藤本さんには大切にしていることがある。それは「学校に来てくれるお客様の立場に立って考えること」だ。

簡単なようでいてなかなか出来ないことですよね。

―そうですね。人生を振り返ってみると沢山の経験を積んできました。留学、就職、香港での結婚、出産、子育て、仕事。そのどれもが1からのスタートでしたし、語学に関しては自分も苦労してきたので異国の地で奮闘する人の「立場」が私には分かります。例えば、初めての地で普通話を習う生徒さんの気持ちや、子育てをしながら他言語を習得したいと考えている女性の気持ち。その不安や悩みをケアしながら生徒さんと接していきたいと考えています。

語学で悩んでいる人にとっては、理解してくれる人がいると心強いですものね。6歳になる双子のお子さんの子育てと仕事の両立は大変ですよね。

―出産後約1カ月で銀行に戻りました。その時に子供の面倒を見てくれたのが私の母です。体力的にも一体どうやったら生まれたばかりの子供2人を見ることが出来たのか今でも不思議です。同時にミルクを欲しがられた時とかも大変だったみたいです。私が仕事を続けてこれたのは周りの助けがあったからこそです。子供が1歳5ヶ月まではお手伝いさんはいませんでしたよ(笑)。それでも2人が同時に別方向に走り出すようになってさすがに限界を感じました(笑)。

もし2人のお子さんが将来、かつての藤本さんのように海外で挑戦したいと言ってきたらどうしますか?

―それは素直に嬉しいです。その時は惜しみなく協力しますよ。全力で。

最後の質問に即答した藤本さんの目はそれまでとは違った輝きをしているように見えた。もし10数年後に子供たちが、人生の決断をした20歳の頃の藤本さんのように思いの丈を手紙にしたためてきたら、彼女は一体どんな顔をするのだろうか。旅立ちを素直に喜ぶ気持ちと離れていく寂しさの入り混じった表情で子どもたちからの手紙を読む姿は、あの時の父のそれと同じなのだろう。返事をなかなかくれなかった父の気持ちが手に取るようにわかるのかも知れない。そんなことを想像すると人間の営みの成す物語の不思議さを感じる。決断をして目標を定め、確固たる意志を持ってやり遂げる。様々な言語が飛び交う国際都市香港で語学教育に真正面から向き合う藤本さんの挑戦はまだまだ終わらない。

藤本馨子さんの日常

藤本馨子(ふじもと・きょうこ)さんプロフィール
大阪府出身。香港在住歴11年。2008年よりセントラル(中環)の語学学校PRES Language CenterでCorporate and Overseas Sales Executiveとして勤務。6歳の双子(息子と娘)の母として育児と仕事に日々奮闘している。

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