江戸日本料理 辻真衣子さんにインタビュー

2014/11/10

「笑う門には福来る」!素敵な笑顔が、人生のスパイス

お転婆だった少女がアメリカへ飛び立ち、現在香港で奮闘中。いつも笑顔の彼女のモットーは、「笑う門には福来る」そして、「一期一会」。
笑って過ごしていれば最高の巡り合わせがやってくる。そんな言葉が浮かんでくるような彼女の半生に迫った。

辻 真衣子

江戸 日本料理 General Manager
辻真衣子さんインタビュー

マカオを中心に香港、広州など中国各所に日本食店舗を展開している「江戸 日本料理」のGENERAL MANAGER 辻真衣子さん。香港人スタッフを束ねて日々の業務をバリバリとこなす彼女は、香港歴7年のシングルマザーだ。落ち着いて淡々と取材に応じる堂々としたオーラは一体どのようにして培われてきたのか。

笑顔が素敵ですね。そして落ち着いていらっしゃる。どんな幼少時代を過ごされてきたか教えてください?

-お転婆な女の子でした。4人兄妹の真ん中で男の子に囲まれていたからか、ままごとや人形遊びをするというよりは、兄や弟と一緒になって外で遊ぶ男勝りな幼少時代を送っていました。高校を卒業するまでそんな感じです(笑)。

なるほど。とても堂々とされている印象を受けるのはそのせいでしょうか。高校卒業後はアメリカへ留学されたそうですが。

―そうですね。もともと実家がクリスチャンだったので、物心つく頃には教会に通っていました。だから“海外との距離”はそれほど遠くは感じていませんでしたね。むしろ留学は当たり前のように考えていたので、渡航費を自分で貯めてユタ州へ語学留学をして、海外での就職に必要な英語とビジネスマネジメントを学びました。

辻真衣子 幼少時代  辻 真衣子 幼少時代2

すごい!ご両親は心配されたでしょうね。

―母はかなり心配していたようですが、父は竹を割ったような性格の人なので、心配している素振りは見せなかったですね。私が香港に来たばかりの時もなかなか会いに来なかったんですよ。息子が生まれた今は、しょっちゅうやって来るのに(笑)。

2年間の留学生活を終えて帰国した辻さんは、東京でOLとして働いていたが、創作和食の料理店をグローバルに展開している企業に転職。日本酒ソムリエの資格も取得し、接客の技術を磨いた。

日本酒ソムリエ!?はじめて聞きましたが、日本酒を紹介するということでしょうか。

―そうですね。お客様にヒヤリングしてご要望通りの日本酒をセレクトする他にも、食事とのペアリングですとか、新しい飲み方の提案などもします。産地や製法などの知識だけでなく、日本酒を中心にして食事をより良く楽しんでもらうための“おもてなし”を提供するんです。最近ですと日本酒をロックで飲んだりもするんですよ。すっきりとして飲みやすくなるんです。今度是非試してみてください(笑)。

はい。今度試してみます(笑)。
“食”を通じて海外で働きたいと考えていたんですね。

―そうですね。昔から海外で働くことは考えていました。具体的に何をやりたいかを本気で考えたのは、アメリカに留学していた時ですね。私の学校の近くにも日本食屋さんは沢山ありましたけど、どれもいまいち本格的ではなくて、「正しい和食を知ってもらいたい!」という場面が多々あって。日本食という素晴らしい文化を正しく広めたいと考えるようになりました。日本酒ソムリエの資格を取った理由も同じです。日本酒が好きっていうのもありますけど(笑)。ただ、そこの会社では3年で店長にまでなったのですが、辞めました。

それは何故ですか。

―飲食業の世界をより広く見たいと感じたからです。同業種の別会社でもっと勉強したかったんですね。ただ、元の会社が香港展開するにあたり、「戻ってこないか」というお話をいただき、海外で食を通じて日本文化の素晴らしを広めるチャンスだと考え再就職しました。

辻さんは、日本酒ソムリエの知識とマネージャーとしてのノウハウを活かして猛烈に働いた。「いつでも楽しく仕事をする」、「適度な厳しさをもってコミュニケーションをする」。香港人スタッフをまとめるのは大変な仕事ではあるが、いつも笑顔を忘れない辻さんは、部下からの信頼も厚い。それでも来港3年目には日本に戻ることを考えたという。

海外経験があるとはいえ、さすがに何も知らない土地では大変ですよね。

―そうですね。接客においても、スタッフとの関わり方においても、言葉や環境の違いは大きかったです。無我夢中で仕事をしているうちに、ふと自分のやりたい事ができているのか不安になる時がありましたね。自分を見つめなおす意味も含めて2週間の休みを取りました。

なるほど。一度日本に帰ってしまうとなかなか戻って来れなかったんじゃないですか。

―帰ったときに東北の酒蔵をまわったんです。そこで日本酒の素晴らしさや文化としての価値を再認識して「もう少し頑張ってみよう!」と思いました。

酒蔵を訪ね歩き大好きな日本酒の源を体感した辻さんは、もう1度香港で挑戦することを決めた。ひとり息子の「純羽君」を出産した6ヵ月後にずっと世話になっていた先輩から新規出店する日本料理店のマネージメントの話が飛び込んだのだ。彼女は迷わず香港に戻った。今度は、息子を連れての来港だった。現在、総勢25名の香港人スタッフと共に、今年コーズウェイベイ(銅鑼湾)にオープンした「江戸 日本料理」でGENERAL MANAGERとして充実した毎日を送っている。

辻 真衣子 HK

25名の香港人スタッフを統率していくのは大変ですよね。

―「セカンドホーム、セカンドファミリー」ですからね。皆が楽しく働ける環境づくりを心掛けています。家や家族よりも長い時間を一緒に過ごすわけですから。

なるほどと思った。「今、息子がこっちに向かっています。」ひと通りの取材が済んだ時に辻さんはそう言った。しばらくすると元気な男の子の声が廊下から聞こえてきた。辻さんに抱かれた2歳になる息子の純羽(とわ)君だ。休憩中のスタッフたちと仲良く遊ぶ姿はまさしくセカンドファミリーだ。

休日はどんな風に過ごされていますか。

―休みの日はなるべく外に連れて行ってやりたいので、公園やプール、ボートトリップへ連れ出しています。子どもを持つ友人も多いので一緒に遊ばせていますよ。子育てに関する情報が少ないのでママ友たちと情報交換をしています。

純羽君にはどんな大人になってもらいたいですか。

―しっかりと自立した人間になって欲しい。そして、是非とも海外に羽ばたいて行ってもらいたいですね。そのためにも息子との時間をなるべく作って生活のバランスをとっていきたいです。ずっと仕事1本だったので。

辻 真衣子と子供  父と息子

辻 真衣子(つじ・まいこ)さん プロフィール
千葉県出身。香港在住歴7年。江戸日本料理General Manager、日本酒ソムリエ。休日は、2歳の息子とプールやボートトリップに出掛けるなど香港生活をエンジョイ中。

江戸日本料理
住所:1/F., Hotel by YOO, 1-5 Irving St., CWB
電話:(852)2643-3033
時間:ランチ12:00~15:00、ディナー18:00~23:00

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