急激な為替変動の備え、通貨分散(Borderless Management & Investment Ltd.)

2015/02/10

Borderless Management & Investment Ltd.

スイス国立銀行は自国通貨であるスイスフラン(CHF)の高騰を抑えるために設定していた対ユーロ為替レートの上限である「EUR1=CHF1.2」を撤廃すると発表した。

スイス国立銀行の見解では、昨年からユーロとスイスフランが米ドルに対し大幅に下落し、国内産業への脅威も後退したため、上限を設定する大義は薄れたためとしているが本当の理由はそうではないだろう。

2011年にギリシャを初めとしてEU加盟国で相次いで財政危機、財政に対する懸念が広がり、ヨーロッパでは資産保全のためユーロ売りスイスフラン買いの取引が進み、スイスフランは急激に上昇した。

高級時計などの精密機械、電子製品、乳製品や武器などの輸出、あるいは外国からの観光客の受け入れが経済の大きな部分を支えているスイス、自国通貨の上昇は景気に深刻な悪影響を与えかねない重大事である。

人口が800万人弱という小国ながら一人当たりのGDPが世界第4位という裕福なスイスはヨーロッパの真ん中にありながらどこの陣営にも組しない永世中立国。

ヨーロッパ人の資産の分散先として好まれるのは地政学的及び政治的立ち位置から当然のことだといえる。

だから2011年には先行き不透明なユーロからスイスフランに両替する機運が盛り上がり、それに対する対抗策としてスイス国立銀行は「EUR1=CHF1.2」の上限を設定し、そこに達するまではスイスフラン売り、ユーロ買いの為替介入を中央銀行としての立場から行なってきたというわけだ。

しかしEU諸国は長期の景気低迷から回復する兆しはなくスイス国立銀行がユーロを買い続ける状況が続いたことにより、スイスの外貨準備高はGDPの70%以上に達してしまった。

そしてここにきて欧州中央銀行(ECB)が景気回復のための金融政策として量的緩和を打ち出す路線が決定的となった。

量的緩和政策、いわゆる金融緩和。今、日本でも黒田バズーカと呼ばれる量的緩和政策を行なっているので想像がしやすいだろう。

通貨の発行量を増やしてインフレを起こす政策である。量的緩和を行うと為替レートも下がる可能性が高まる。これも昨今の日本円の為替レートを想像するとわかりやすい。

要はGDPの70%を占めるに至った外貨準備が大きく毀損され、「EUR1=CHF1.2」を堅持するならばその傷はどんどん広がってしまうことになることになる。

おそらくはそれが原因でスイス国立銀行はまさにあっさりと「EUR1=CHF1.2」の上限を撤廃した。

そしてその発表後、短時間のうちににスイスフランは対ユーロでEUR1=CHF0.8まで急激に上昇をしたのである。

レバレッジをかけてスイスフランのFX取引をしていた人の中には数百万~数千万円単位で儲けた人もいれば、逆に損失を被った人もいる。

それを否定するつもりは毛頭ないが、私はやはりこうした場合に「どれかがどれかが下がればどれかが上がる」という通貨の分散保有の方を勧めたい。

 

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玉利将彦

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