工場の生産管理講座第2回「ERPシステム」石水智尚

2015/08/18

工場経営者のための生産管理講座 第2回情報精度の改善̶ERPソフト
前回は生産管理の目的と全体像についてお話しました。今回は、現代の生産管理にとってなくてはならない「ERPシステム」について説明していきます。
ERPシステムとは「Enterprise Resource Planning」の頭文字を取った略称で、日本語では「企業資源計画」と訳されています。工場の資材調達で用いられるMRP(資材所要量計画)から発展した考えで、MRPのM(資材)がE(企業)へ置き換わって、ERPになったと考えれば理解し易いでしょう。工場の資源(人・設備や資材・金など)を、包括的に効率良く運用して、より多くの余剰価値を得るためのシステムと考える事ができます。
そして、ERPシステムが一般の統合システムと区別されるところは、システムを運用する目的が、現場の担当者の利便性向上ではなく、もっぱら工場の経営者の効率的な支援に絞られている事です。今回の話は工場(製造メーカー)が対象ですので、ERPシステムには生産管理の機能を含んだものとして話を進めます。
工場は部門に別れ運営されており、それぞれの部門が相互に関連する情報を管理しています。ERPシステムのような全社的に統合されたシステムが無い場合、各部門はEXCEL表などに納めたデータを個別に作成します。ある部門で作成されたデータが別の部門に送られて加工された場合、もとの部門でデータを更新しても、他の部門で自動的に更新される事はありません。つまり、部門単位では辻褄が合っているデータも、部門間では辻褄が合わなくなっているのです。間違ったデータを元に精密な工場経営をする事は困難です。

工場におけるERPシステムの機能想定図

工場におけるERPシステムの機能想定図

ERPシステムでデータを管理する場合、部門間のデータの整合性はシステムが自動的に管理しているので、正しいデータをもとに精密な経営を行う事が可能となります。特に生産管理においては、受注から生産指示、出荷までの精密管理を怠ると、製造時間の不足、材料・半製品の在庫不足による納期遅延が生じます。このような理由から、工場の資源(材料や設備)を正しく管理するには、ERPシステム(あるいは受注から出荷までデータ整合性のある生産管理システム)を利用するべきなのです。

【筆者プロフィール】
石水智尚(いしみず・ともひさ)
85年に香港へ来て以来、海外生活30年。販社・工場のシステム開発・プロマネ・生産管理のコンサルなどに携わる。98年から2年間、セブで開発センターの立ち上げにも従事。2007年より華南で生産管理のコンサルを開始して現在に至る。Asprova販売代理店、TPiCS販売代理店と共同での運用支援。

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