「ベトナム投資に関する注意事項」AIC Vietnam Co.,Ltd

2013/12/30

ベトナム投資に関する注意事項 AIC VIETNAM

 

今回は連載の最終回ですので、ベトナム投資に関する注意事項をまとめてみました。

●最低賃金の動向

2014年1月からの最低賃金が公布されました。前年に比べて、およそ15%の上昇となっています。中国やタイよりもまだ低い水準とはいえ、今後も賃金の上昇は続きますので、将来を見据えれば、人件費のみでベトナム投資を検討することは、すでに曲がり角に来ていると考えます。

2013-2014年 最低賃金推移 ベトナム

●労働許可書、ビザ

ベトナムで就労する外国人は、一部の例外を除いては労働許可書が必要です。現在、ベトナムでは、その取得義務が厳格化しており、同許可書を取得しない限り、ビジネスビザの現地での申請が受理されません。(南部ではやや緩いようです。)ただし、ベトナム国外の大使館・領事館では、労働許可書がなくても3ヶ月までのビジネスビザが取得できます。なお、ベトナムに法人・駐在員事務所等がない場合、労働許可書の申請そのものができません。

●現地進出について

昨今は海外進出を煽るムードもあり、事前に事業計画を立てることもなく、現地進出を検討する事例も多く見受けられます。そういった場合、法人の設立そのものが目的化してしまっています。販売先が決まっている製造業などを除いては、いきなり現地法人を設立する事は、リスクもあります。そこで、顧客、仕入先、事業関連の法規、商習慣などの現地事情を調査するため、時間とコストはかかりますが、まずは駐在員事務所の設立するのも1つの方法です。駐在員事務所があれば、労働許可書も取得できるので、外国人も安全に就労できますし、調査を行なう人材も雇用できます。

●コンサルタントの選定

これも非常に重要な問題です。その選定を誤ったために、現地進出を断念した、投資証明書の内容に誤りがあり、その後の事業に影響が出た、報酬額の相場を調べなかったため、相手の言い値で高額の請求をされた、日系企業と契約したのに、実務上のやり取りはその外注先のベトナム企業とすることになり、コミュニュケーションに支障が生じた等の話はよく耳にします。このような失敗を避けるためにも、現地に赴いてジェトロ、金融機関、取引先などに、優良な複数のコンサルタントの紹介を依頼される事をお奨めします。コンサルタントの能力ですが、まずはメールで質問し、その対応の早さ、正確さ、親身になってくれるかを試すことで、ある程度の判断ができると思います。

●名義借りについて

外資による進出手続きの煩雑な飲食業、商業などの場合、ベトナム人の名義で法人が設立される事例があります。そして、その後に騙されたといった話を聞く事も、残念ながら少なくありません。長期的に安全・安定した事業を行なうためには、安易な名義借りは絶対避けるべきです。日本語が堪能、日本への留学・勤務経験、日本人の配偶者であるといった理由で、名義貸しの相手を選んで失敗している事例も目立ちます。日本語が出来るといった事だけで、簡単に人を信用するのは避けるべきです。なお、これは企業内の人事管理についても共通した事です。

●代表者の現地駐在

駐在員事務所の場合には、代表者の居住義務はないのですが、現地法人の場合にはあります。違反した場合の罰金額は、2014年1月施行の政令115に基づき、1,000万から1,500万VNDに増額されています。また、行政の査察も今後は厳格化が予想されますので、現地に常駐する方を代表者に任命すべきです。

長い間ありがとうございました。またお会いできる機会を楽しみにしております。

斉藤 雄久(たかひさ)

筆者のプロフィール:
斉藤 雄久(たかひさ)
1962年1月東京都葛飾区出身、1994年12月よりベトナム滞在。
日系コンサルティング企業AIC Vietnam Co.,Ltd代表として、主に日系企業の進出、進出後のサポートを行っている。
同社は本社をハノイ、支店をダナンに置き、複数の日本人が駐在。
ご連絡は、infor@aic-vietnam.comまでお気軽にどうぞ。

 

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