「税トラブル事例とその対策について」ワイズコンサルティング

2014/01/13

税トラブル事例とその対策

恒久的施設(PE,Permanent Establishment)とは、支店や事務所、工場といった事業を行う一定の場所のことを指します。租税条約には、「PEなければ課税なし」という原則があります。しかし、中国ではPEの範囲の拡大解釈による課税がなされる事例があります。

【中国の事例】日本の親会社が海外子会社からロイヤリティ(技術提供の対価)を回収するケース

●中国の現地子会社が赤字の場合、中国税務当局から「ロイヤリティは利益に係る対価であり、利益が生じていない場合、技術提供の便益を享受していない」という理由で、ロイヤリティとして現地子会社が支払った金額については、損金処理することを否認された事例があります。

●中国では、外為規制が非常に厳しく、ロイヤリティや使用料等の支払いを行う場合には、現地において複雑な送金手続きを行わなければなりません。例えば、契約書、登記証書、納税証明書などの複数の必要書類を税務当局や銀行に提出し、登記や確認を受けなければ送金できないケースがあります。また、税務当局からロイヤリティ料率等が高い等の理由により、支払送金等ができない事例があります。

<対応策>

◆海外へのロイヤリティの支払いに関する現地の規定や運用等について、事前に情報収集した上で、技術提供の対価の回収方法について検討します。

◆ロイヤリティ料率の正当性を証明する資料(関連者から供与されている技術ノウハウ、役務提供の場合は役務の詳細、対価性等)を事前準備します。

【中国の事例】役務提供に対するPE認定

●出張者に対するPE認定

6ヶ月を超えない短期滞在である場合はPE認定されないことが日中租税条約に定められていますが、6ヶ月基準の定義が曖昧で、1ヶ月に1日ずつ滞在し、それが6ヶ月を超えるような場合にまでPE認定された事例があります。

●出向者に対するPE認定

通達には親会社からの出向者が現地子会社の業務を行っていれば、PEとして認定されないと規定されています。しかし、出向社員の給与などを日本の親会社が立て替えている場合に、人的役務の提供としてその対価を回収しているとして出向者が日本の親会社のPEとして認定され、課税対象とされた事例があります。また、PE認定を受け入れなければ納税証明書を発行してもらえず、海外送金もさせてもらえない事例があります。

<対応策>

◆PEに関する現地の規定や運用等について、事前に情報収集しておく必要があります。

◆現地子会社等との取引内容について契約書等で明確化します。例えば、現地子会社に出向者を派遣する場合にも、出向者と現地子会社との間で雇用契約を締結することなどが考えられます。

子会社が赤字の場合にロイヤルティの損金処理が否認されるケース

 

Y's CONSULTING

山本圭一郎

 

ワイズコンサルティング国際会計グループ

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