ドルチェ&ガッバーナ、溢れるアジアへの情熱

2017/07/24

中国の富裕層にドルチェ&ガッバーナのファンは多いが、対して同ブランドのデザイナー、ドメニコ・ドルチェ氏とステファノ・ガッバーナ氏がアジアへ寄せる思いは熱い。131438429-cc1ede11-b906-4836-9560-2453befd8d3d

香港、東京で催されたショーに続き、両氏は、自らが提案する「中国に寄せる歌(Ode to China)」へ男女のオートクチュール製品であるアルタモーダ・アルタサルトリア・コレクションを発表するため、北京を訪問した。

会場となったペニンシュラ・ホテルでは、女優のチャン・ツィーイ氏やジュエリーデザイナーのバオ・バオ・ワン氏をはじめとするセレブリティのファンが、100点以上もの衣装を楽しんだ。「弊社は昨年12月に香港でショーをスタートしました。イタリア国外では初めての試みでしたがその後、他都市での開催をさらに検討しました。」

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今回披露されたコレクションでは、金のアップリケにスパンコール、女性らしいフリルの付いた裾と袖、そして美しい黒や赤、ビビットな花柄をあしらったブランド特有のグラマラスなデザインのドレスや、何千もの色とりどりの羽根飾りで装飾した巨大なスカート、赤や赤紫色の花が咲いた黒のドレスなどが注目を集めた。

男性モデルは、中国十二支からインスパイアを受けた手書きの雄鶏や華やかな宝石模様を配したデ ザインのスーツとタキシードや、オーダーメイドのパンツ、ふわっとした形のシルクシャツ等を披露したほか、1930年代を思わせる、抽象的なプリント柄の遊び心あふれるパジャマやバスローブなどもファンの目を引いた。

これまで他ブランドがパリのステージで使用されたものを活かして日本や中国でオートクチュールショーを催したり、ヴァレンチノ氏が自身の旗艦店を出すため、2013年に赤をテーマにした一度限りの上海向けコレクションを発表したことはあったが、他にはない”アジア専用のコレクション”を用意することはヨーロッパの常識では考えられないことだった。既存の慣習を破ったD&Gだが、ショーに出た高級品を買い求める顧客が増加の一途を辿っていることから、企業戦略としては間違っていないといえる。多くのブランドがショーの規模を縮小する中、D&G内の空気は自信にあふれ、業界に広がる不透明感などどこ吹く風だ。

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ショーの後、両氏は顧客達と対話を楽しんだ。そうした接客こそがリピーターを増やす一番の方法だと心得ているからだ。

「弊社の強みは自らの進むべき道を自分で決め、実行できるところです。ドメニコはアジアに夢中で、いつも帰りたがっていますよ。」と、ガッバーナ氏。

ドルチェ氏は、「単なるビジネスではなく、そこには限りのない愛があり、それは私たちの生きる力の表れです。こうやって親密な関係を築けるショーでは販売のみならず、ぜひ中国の皆さんに弊社のことと、私達2人の名前をブランド名としてではなく血の通った一個人として知ってもらいたいのです。」と、ガッバーナ氏は言う。

共に50代で31年間一緒に仕事をしてきた2人のデザイナーは、今なお進化を続けている。

「今回のイベントを終え、文化や人々とその生き方、食べ物、香港、中国、日本の違い、体型など、アジアへの理解が深まりました。ここを訪れなければ学ぶことはできず、学ぶべきことは尽きません。」と、ガッバーナ氏は語った。

また別の意味でも北京での開催は実り多きものだった、とドルチェ氏は言う。

「私達はこの都市で、上品で肌も肉体も素晴らしい理想の男性モデルを見つけました。私が思うに今この瞬間、アジアの美こそ世界一です。ファッションの未来はここアジアにある、と私たちは思います。この思いは変わりません。」

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