ビジネストピック 米国の金利が香港経済に与える影響とは

2017/08/07

連邦準備制度によって設定されるアメリカの金利は、世界各地の市場でしばしば影響を与える。2008年の経済危機以来、アメリカは少しずつではあるが金利を上げており、一方香港は2008年の経済危機以来、低い金利を保ってきた。本土からの資本流入が激しく、借り入れにかかるコストが安いため、香港の不動産価格指数は継続的に高くなっている。

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2017年前期、連邦準備銀行は2017年に金利を3回引き上げ、2018年と2019年に更に上昇するとの予定が発表された。今年初めから、金利はすでに3月に1回、6月に2回で、50bpを上昇している。今年の金利は0.75%に始まり、今は1.25%で66%の増加を示している。現在の予想では、2017年に1.4%のミディアム・フード・ファンド・レートで終了する予定で、前年比借入費用が86.6%増加したことになる。

香港ではUSドルとのドルペッグ制を採用しているので、香港通貨当局(HKMA)はそれに伴って25bpの金利増加を記録。香港の4大商業銀行はこの動きに追随しなかったが、2016年5月の抵当金利は香港銀行間貸出金利に連動して10bp上がり、1.4%になった。

5月下旬、HKMAは、銀行に信用力の評価を変更させるため、より重いリスクを課す新しい規則を導入した。同時に、HKMAは、不動産開発業者向けの借家だけでなく、住宅用および商業用不動産の許容貸付金額を削減した。

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もしHKMAが、2019年までに予想されていた米国金利にならえば、借入コストが高くなり香港からの資本流出が発生する可能性が高まり、香港の借入コストの上昇がマイナスの実質金利を上回ったことによる市場の流動性の低下は、不動産市場へ実質的な低下の圧力を生み出す可能性が高い。しかし、Knight FrankのDavid Ji氏は、金利が200bp以上上昇しなければ、不動産価格への影響は少ないものになると予測する。

金利の引き上げは続いており、6月5日にCenta-City Leading Index(CCL)が再び新しい高利に達したことが中原不動産研究部によって発表された。これでCCLは数週間で16回最高の金利を達成したこととなり、1997年以来最多となった。

住宅購入希望者にとっては、現時点で金利により注意すべきだ。なぜかというと、今期待される増加は個々のリスクエクスポージャーに加わるからだ。香港の住宅ローン貸付銀行は、HKDと米ドルの金利差による資本流出を最小限に抑えるため、将来金利を引き上げる可能性が非常に高い。しかし1997年と現在の不動産市場の状況を比較する記事で述べたように、金利の周期的な上昇で地域の不動産価格に認識可能な効果が現れ、不動産価値にマイナスの影響を与えるまで数年かかることがあり、その間に多くのことが起こり得る。

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