通信会社「KDDI HONG KONG LIMITED」総経理の塩崎さんインタビュー

2014/03/17

会社紹介シリーズ KDDI HONG KONG LIMITED 総経理 塩崎氏

 

KDDI HONG KONG 総経理 塩崎氏■KDDI香港の創業時期と創設理由、そして現在に至るまでの事業内容を教えてください。
KDDI香港は元々KDDIの現地連絡事務所として1961年に設立され、1988年に現在の現地法人となりました。当時は日系企業が海外でビジネスする際の通信回線の手配や、日本と通信するための機器の手配をしておりました。現地に拠点を持って、お客様が通信拠点を構える際、ビジネスがスムーズに立ち上がるようお手伝いすることが設立当初の事業でした。KDDIが香港に来て直接的に通信のビジネスを行なうというわけではなく、香港の通信キャリアと連携して、日本の企業が香港に進出した際、スムーズに現地の通信キャリアを介して日本及び全世界と通信できるようにサポートするということです。回線の準備からそれに
伴う通信機器の設定などのお手伝いですね。
■今でこそインターネットが発達していますが、25年前はどういった通信方法が主だったのですか?
当時はまだ国際電話で、電話自体も今のように簡単に繋がらない環境でした。登録しないと国際電話が使えなかったり、オフィスに電話を設置するにもかなりの時間を要しました。今ではインターネットは当たり前ですが、そのようなインフラ環境が整備されていなかったため、金融関係や大手企業では各社専用の回線を日本と結んでいるところもあったほどです。これに関しても色々と手続き等が煩雑で、その辺りのサポートもしていました。その後、ビジネスに広がりを持たせようと、通信周りのサポートから始まり、香港で通信関係の自由化を機に専用線などのネットワークの提供も開始しました。そして1998年、国際通信を扱うキャリアとして、香港のIT業界に参入しました。
■現在の事業内容を教えてください。
現在は大きく分けて3つのビジネスを展開しています。1つ目はお客様の通信関係のサポート(ソリューションビジネス)。2つ目はネットワークサービスという通信サービス自体をお客様に提供するサービス。そして3つ目は2000年から始まったデータセンターサービスです。データセンターサービスというのは、お客様の通信機器などを非常にセキュリティ性の高い専用の建物に収め、災害などから常に万全の態勢でお客様の大切なデータをお守りするサービスです。香港の金融関係のお客様は、電力や空調、あるいはセキュリティが万全の場所に自分たちの機器を置きたいというニーズがあります。香港には企業の機能も集中していて、それに伴う重要なデータを私共の専用のセンターでお預かりするというサービスです。
■香港という場所は他の地域と比べてどうですか?
実は海外駐在は今回の香港が初めてなので、他の国との比較はあまりできないですが、最初に来た時、非常にダイナミックな
所だなという印象を持ちました。一般的に日本でのビジネスは非常に時間が掛かり、様々な関係が出来上がった後でないと物事が進まないケースが多々あります。しかし香港では彼らは自分たちの考えを主張し合い、次々とビジネスが進んでいきます。非常にフレキシブルなところが魅力的ですね。また、元々経済活動が自由なので、グローバル的に非常に競争力がありますね。個人的に香港に来て非常に良い勉強になっています。香港は携帯電話も世界で一番普及していますし、狭いエリアの中にオフィスもたくさん集まっている。私たちのように通信のインフラ事業をやっている立場からすると、非常に投資効率の良いエリアだと思います。
■塩崎さんが香港に来てからの3年4ヵ月の間にどのような変化がありましたか?
データセンターの機能が急速に拡大しました。このオフィスの近くにデータセンターがありますが、このキャパシティがほぼいっぱいになってしまったので、新しいデータセンターの開設が私のひとつのミッションでした。新しいデータセンターを建ててちょうど今年で2年経ちました。旧データセンターに比べて約7倍の規模で、これは当社のビジネスの構造自体のひとつの節目の業務でした。この他にも近年特に力を入れて取り組んでいるのがオフィスのサポート業務「まとめてオフィスサービス」ですね。
■「まとめてオフィスサービス」というのはどのようなサービスなのでしょうか?
海外に来られる日本のお客様は人的リソースも限られ、少人数であらゆることをやらないといけないので、自分たちで何から何までやると本業の方がまわらなくなってしまいます。オフィスの設計や通信機器の設定などのサポート業務はそういったお客様にニーズがあります。通信機器の設定も色々と面倒で、オフィスの電源や机等の設定ができていないと機器だけ持ってきても繋がらないので、工事の調整やスケジュール管理なども手配しなければならない手間がありました。そういったお客様の負荷を極力取り除こうというのがこのサービスです。特に最近はIT機器抜きでは仕事が始まりませんので、期日から逆算してスケジュールを組み、一括してオフィス作りを管理します。これによってお客様の負荷が減ると同時に、納期の短縮にも繋がります。移転したその日からコンピュータが立ち上がり、すぐに使える状態にする。これらの作業をワンストップでできることがこのサービスのメリットで、私どものビジネス領域も広がりを見せています。大体10~50名くらいの、IT担当者がいない企業に主に利用していただいています。香港ではオフィスの移転が多いのでニーズがあると思っていますが、まだまだKDDIは通信屋のイメージが強く、こちらのサービスに関してはあまり知られていないので、これからも頑張らなくてはいけませんね。
■ビジネスは香港や中国本土からベトナムやミャンマーなどの開発途上国にシフトしていく傾向がありますが。
やはり東南アジアへシフトしていく日系企業の動きは感じますね。以前は中国メインという感じでしたが、東南アジアも合わせて、いわゆるチャイナプラス1という傾向にあると思います。最近は日系企業の景気も上向き傾向で、東南アジアに対してのニーズは高まっていると思います。私どものビジネスは香港だけに留まらず、東南アジアの国々に拠点がありますので、日系企業が東南アジア各国に進出する場合、それらのKDDIの各拠点と連携しながら様々なサポートを提供しています。
■今後の事業展開は?
今ある3つのビジネスをいかに高度化していくかというところです。お客様サポートという面では通信関連から事業領域の拡大をしてきましたので、今後もこれを継続していきたいと考えています。今後の通信環境はクラウドなどから更に上のフェーズに移行していきますが、同時にセキュリティ対策は一段と重要となっていきます。社会のグローバル化に伴い、世界中の拠点間でインターネットを介したテレビ会議なども更に一般化するでしょう。そのような分野も含め、「KDDIに頼めば一括で質の高いサービスを提供してくれる」とお客様に言われるよう努力していきたいと考えています。使い易く、安全で、リーズナブルな様々なサービスを1つのパッケージで提供していくことをさらに追求していきたいですね。

KDDI 塩崎氏

 

[塩崎靖彦氏 PROFILE]
2010年の10月に来港。香港が初めての駐在。
週末は趣味のテニスに興じている。
タイクー(太古)にある「Sugar Bar+Deck+Lounge」で夜景を見ながらお酒を飲むことがリラックスできる時間。

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