中国法律コラム32「工会の設立について」広東盛唐法律事務所

2018/09/26
今回のニュースレターでは、中国における工会(労働組合)の設立の必要性、工会設立の流れ、工会設立後の注意点についてまとめました。特に、中国大陸において製造業を営んでいらっしゃる読者の方の参考になると思います。
疑問点などがございましたら、随時お気軽に大嶽までご連絡いただければと思います。

 

一、工会設立の必要性について

(1)「工会法」と広東省の前述の規定によりますと、企業は設立後6ヶ月以内に工会を設立しなければなりません。従業員数が25人に満たない場合、単独で基層工会委員会を設立することも、2つ以上の使用者の従業員が連合して基層工会委員会を設立することも、1名以上の組織員を選挙して会員の活動を展開することもできます。ただし、法令には確かにこのような規定が存在するものの、上級工会が工会の設立を督促し、専門人員を派遣し、工会設立準備組織の設立を助け、指導をしない限り、企業が能動的に工会を設立しなくても、明確な法的リスクが生じることはありません。

(2)上級工会が既に工会の設立を督促した、準備組織の設立及び工会名簿の提出を助け、指導している状況下において、企業が工会の設立を拒む場合、労働部門から取り締まられる可能性があり、工会設立準備組織成立の日から工会設立準備金(社員全員賃金総額の2%)の納付を求められる可能性があります。

 

二、工会設立の流れ

工会の関連法律規定に基づき、工会設立の手順は下記の通りです。
1、工会設立準備チームを構築し、上級工会に設立申請を提出し、許可を取得する。
2、工会会員を募集し、工会会員代表大会を開催し、工会委員会、工会経費審査委員会、女性従業員委員会の委員を選挙により選出する。
3、上級工会から選挙結果の許可を得る。
4、工会法人化登記を行い、「工会法人化資格証書」を取得する。
5、工会の基本口座を開設する。

 

三、工会設立後の注意点

(1)工会設立後、会社は就業規則の修正、従業員の処分、リストラ(整理解雇)、会社側からの労働契約の解除などを行う場合、あらかじめ工会に通知をし、工会の意見を聴取する手続きを実施しなければなりません。さもなければ、関連制度または処分は、法的効力に瑕疵があるものとされ、会社に不利な結果が生じる恐れがあります。

(2)工会の委員会と担当者は、できるだけ会社に協力的な従業員が選出されるようにできればベターです。なお、工会委員の労働契約の期間は、任期満了まで自動的に延長されることに留意ください。

 

四、まとめ

1、上級工会がすでに工会の設立を督促し、かつ、工会設立の設立及び工会メンバー名簿の提出を助け、指導している状況において、企業が工会の設立を拒む場合、労働部門から取り締まられる可能性があり、工会設立準備組織成立の日から工会設立準備金(従業員賃金総額の2%)の納付を求められる可能性があります。

2、工会設立後、会社が就業規則の修正、従業員への処分、リストラ(整理解雇)、会社側からの労働契約の解除などの従業員の権利・利益に関する事項を処理する場合、あらかじめ工会に通知し、工会の意見を聴取する手続きを実施しなければなりません。

3、工会委員会の委員メンバーの選任について、爾後、工会がなるべく会社に協力的な組織となるように、できるだけ会社に協力してくれる、会社の立場を配慮してくれる従業員が選出されるよう努めるよう提案いたします。

以上

 

 


盛唐法律事務所

広東盛唐法律事務所
SHENG TANG LAW FIRM
法律顧問
大嶽 徳洋 Roy Odake
行政書士試験合格
東京商工会議所認定
ビジネス法務エキスパート
Tel: (86)755-8328-3652
E-mail: odake@yamatolaw.com

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