中国法律コラム34「ソフトウェアの著作権侵害について」広東盛唐法律事務所

2018/11/21

皆様の会社では、パソコンのOSやCADのソフトウェアを製作・運営している会社から、海賊版の使用を停止しろという内容の告発を受けた経験はございませんでしょうか?

手前どもの法律事務所では、このような問い合わせが大変多いため、今回のコラムにて、皆様と情報共有させていただこうと思います。

 

一、法的分析

1、海賊版ソフトウェア使用行為の法的性質について

(1)著作権法によりますと、著作権者に報酬を支払うことなくソフトウェアを使用する行為は著作権者への権利侵害を構成します。著作権者は使用者に授権を受けていないソフトウェアの使用を停止するよう求めること、及び損害の賠償を求めることができます。したがいまして、海賊版ソフトウェアの使用は著作権侵害にあたります。

(2)コンピュータソフトウェア保護条例には“ソフトウェア複製品所持者がソフトウェアが権利侵害品であることを知らず、かつ知りえた合理的な理由のない場合、賠償責任を負わない。”との規定がありますが、権利者から権利侵害を指摘された後も継続して使用した場合には、“権利侵害品であることを知らず、かつ知りえた合理的な理由がない”との主張は成立しません。

 

2、ソフトウェア会社の目的について

(1)ソフトウェアの著作権者は、権利侵害者に対して損害賠償を求めることができますが、ソフトウェア会社が類似の事件を処理する場合、まずは正規品の購入を要求してきます。双方が正規版の購入について協議により合意を達成した場合、ソフトウェア会社がそれ以上の法的手段を講じることはないでしょうが、使用者が海賊版の使用を継続する場合、ソフトウェア会社は使用者に正規版の購入をしつこく要求してくるでしょう。

(2)正規版の購入について合意を達成できない場合(使用者が正規版を購入したくない、若しくは使用者が購入に同意する数量がソフトウェア会社の要求に達しない)、ソフトウェア会社は海賊版の使用量の多い会社若しくは規模の大きな会社をターゲットに法的手段を講じてくる蓋然性が高いでしょう。ここにいう法的手段には、現地の行政部門に権利侵害状況の調査、摘発を申請すること、裁判所に民事訴訟を提起し使用者に賠償を求めることなどが含まれます。

(3)当職らの過去の経験によりますと、ソフトウェア会社の真の目標は、使用の差止めや損害賠償請求ではなく、正規版を購入させることです。

 

3、ソフトウェア会社の証拠収集について

過去にソフトウェア会社との間に取引がなく、その他の接触もなかったのであれば、ソフトウェア会社は電磁的かつ不正な方法で皆さんの会社のパソコンにアクセスし、海賊版ソフトウエアの使用情報を収集した蓋然性が高いといえます。不正な方法で取得した情報は、民事訴訟において証拠として使用することができません。

 

二、助言

1、まずは、パソコンにインストールされている海賊版ソフトを全てアンインストールすべきです。これは、将来行政により現場調査がなされる可能性を考慮して、海賊版使用の証拠を残さないようにするために非常に重要なことです。前述のようにソフトウェア会社は、不正な手段を講じてソフトウエアの使用情報を収集した蓋然性が高いといえます。民事訴訟において、不正な方法で取得した証拠は、事件の事実を認定する根拠とすることはできません。つまり、すべての海賊版ソフトをアンインストールすれば、ソフトウェア会社に訴訟を提起されたとしても、ソフトウェア会社は、権利侵害の事実を立証することは難しいということです。

2、今後もソフトウェアを使用する必要のある場合、正規版ソフトウェアの購入についてソフトウェア会社と協議をすることとになりますが、その際には、次の数点に留意ください。

(1)権利侵害の証拠を収集されることを防ぐために、海賊版を使用した事実及び数量を絶対に開示しないこと。

(2)代理店など第三者からAltium社のソフトウェアの市場価格を把握し、一般的な価格及び数量で購買をできるようにすること。

(3)その他、ソフトウェアに替わるソフトウェアの有無を調査し、あればその代理店と購買について交渉をし、比較検討をすること。

 

以上

 


盛唐法律事務所

広東盛唐法律事務所
SHENG TANG LAW FIRM
法律顧問
大嶽 徳洋 Roy Odake
行政書士試験合格
東京商工会議所認定
ビジネス法務エキスパート
Tel: (86)755-8328-3652
E-mail: odake@yamatolaw.com

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