尹弁護士が解説!「中国法務速報 第1回」

2019/03/13

女性従業員募集に関する注意点

 

募集行為を一層規範化し、女性の就業を促進することに関する通知

2019年2月18日付で、人力資源社会保障部、最高人民法院などの9部門が連名で「募集行為を一層規範化し、女性の就業を促進することに関する通知」(以下「女性就業促進通知」といいます)を公布しました。当該通知の主要内容は以下になります。

 

 

募集活動における性差別行為の禁止

(女性就業促進通知第二条)
国の規定により、女性従業員の労働が制限または禁止されている労働範囲に属する場合を除き、使用者及び人力資源サービス機構はその募集活動(募集計画の制定、求人情報の公布及び募集活動の展開)において、性別を限定または優先してはならず、性別を理由に女性の就職活動を制限し、女性の採用を拒否してはならず、女性への結婚・出産状況の質問をしてはなりません。また、使用者は女性従業員の入職時に妊娠検査を健康診断の項目に入れてはならず、出産の制限を採用条件と掲げてはならず、女性の採用基準を差別的に引き上げてはなりません。

 

 

監督管理の強化

(女性就業促進通知第三条)
使用者及び人力資源サービス機構が公布した求人情報に性差別の内容が含まれている場合は、法により是正を命じ、是正を拒否する場合は、1万人民元以上、5万人民元以下の過料を科します。また、情状が深刻な人力資源サービス機構については、その営業許可(人力資源服務許可証)を取り消すとしています。

 

 

面談実施及び司法救済制度などの整備

(女性就業促進通知第四条、第五条)
募集活動において性差別の疑いのある使用者に対して、人力資源社会保障部門、工会(労働組合)組織、婦人連合組織などの部門は、合同で面談などの方法による調査を実施し、雇用差別行為については期限を定めて是正するよう促すとしています。
また、司法救済制度を整備し、就職活動において性差別を受けた女性のために法律相談などの法的支援を積極的に提供し、条件に合致する女性のために法律援助を提供するとしています。

 

Point
「婦女権益保障法」、「女性従業員労働保護特別規定」などの法律法規により、使用者は女性従業員の結婚、妊娠、出産、授乳などを理由に、賃金の減額、昇進の制限、解雇を行ってはならないとされていますが、女性就業促進通知により女性従業員の保護が一層強化されたものと言えますので、募集活動などにおいては注意する必要があります。

 

Profile Photo

尹秀鍾(Yin Xiuzhong)
代表弁護士、慶應義塾大学法学(商法)博士。西村あさひ法律事務所(東京本部)、君合律師事務所(北京本部)での執務経験を経て、2014年から深圳で開業、華南地域の外国系企業を中心に法務サービスを提供。主な業務領域は、外国企業の対中国投資、M&A、労働法務、事業の再編と撤退、民・商事訴訟及び仲裁、その他中国企業の対外国投資など。

 

 

 

 

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