輝く日本の先端技術力!魔法瓶「虎牌産品(香港)有限公司」

2019/07/03

日本から、世界を超え、宇宙へ

Photo02「魔法瓶」と言えば、その名が思い浮かぶほど、日本をはじめ、世界で有名な「タイガー」。その魔法瓶の技術が、JAXA(ジャクサ)の実験にも活用されているというから驚きだ!!!「世界中に幸せな団らんを広める。」という企業理念は、世界だけでなく、宇宙にまで繋がった。それは、果たしてどのような技術なのか。

今回、「虎牌産品(香港)有限公司」マネージングディレクターの東高司氏に話を伺った。

Photo01貴社はいつ頃から香港で事業を始められたのですか?

「タイガー香港」は、1991年より香港で事業を始めております。今年で、創立29年目に入りました。

お仕事の具体的な内容を教えてください。日本との違いはありますか?

当社は、「タイガー魔法瓶株式会社」100%出資の販売会社(小売り)です。タイガーブランドのステンレスボトル・ガラスの魔法瓶(ハンディポット)・炊飯ジャー・電気ポット・ケトル等の製品を、日本・中国・ベトナムの各工場から輸入し、香港とマカオ域内の直営店・百貨店・総合量販・高級スーパー等で販売することが主な仕事です。また、香港市場向けの商品企画関係の市場調査も行なっています。日本本社は、日本向け・世界向けともに、タイガーブランドの商品企画・開発・製造・販売が主な仕事ですが、当社は、販売会社のため、製造部門がありません。販売の面でいうと、香港は、直営店を運営している点が日本と大きく異なります。お客様の特色に関してお話しすると…香港の前に4年間、上海で勤務していたときから感じていることですが、中国の方々は、魔法瓶(特にステンレスのもの)が大好きですね。日本だと、子どもの頃に1本、クラブ活動が始まって1本、社会人になるタイミングで1本購入するくらいの頻度かと思うのですが、中国の皆さんは一人で何本もお持ちです。日本のようにコンビニや自動販売機がそれほど便利に機能していないこと、また、温かい飲み物を飲む習慣があることが要因かと思います。

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引用:公式サイト 宇宙実験サンプル格納用 真空二重断熱容器 より

その他、香港(中国圏)という土地柄、特別に行なっていることなどはございますか?

これまで工夫してきた点も合わせて、お聞かせください。先ほど申し上げたとおり、中国(内陸)でも魔法瓶は人気が高く、香港には内陸からのお客様も多くいらっしゃいます。特別に行なっていることはありませんが、「タイガー中国(別法人)」の販売動向・人気柄・売れ筋・中国の経済動向などは、頻繁に確認しています。

また、内陸のお客様の店舗での購入の仕方や、商品の検討の仕方もじっくり観察するように心がけています。

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引用:公式サイト 宇宙実験サンプル格納用 真空二重断熱容器 より

貴社の特別な技術とは何ですか?

「真空断熱技術」です。容器内に真空の空間を作ることによって、熱の伝達を遮断する技術です。真空には、熱を伝える物質が存在しません*。つまり、外からの熱を入れない、中の熱を出さないということが可能になります。この技術により、より長い時間、冷たいものは冷たいまま、温かいものは温かいままキープすることができます。「真空断熱技術」は、「タイガー魔法瓶株式会社」が設立した1923年当時から存在する技術ですが、当初とは比べものにならないくらい、クオリティは上がっています。最初はガラスの魔法瓶のみでしたが、現在ではステンレスの魔法瓶が主流になっています。ステンレスの方が、安全(落としても割れない)、かつ、中身の温度をよりキープできます。

更に、真空の空間内に銅箔を入れることで、熱を反射させ、より熱を逃さない工夫もしているんですよ!

*厳密に言うと、熱を伝える物質は存在しますが、説明が長くなってしまうため、今回は割愛します。真空は、空気中より圧倒的に熱が伝わりにくいと理解していただければと思います。

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引用:公式サイト 宇宙実験サンプル格納用 真空二重断熱容器 より

それらの技術が、JAXA(ジャクサ)で活かされていると伺いました。具体的にはどのように活用されているのでしょうか?

今回のミッションは、たんぱく質結晶を、国際宇宙ステーション(以下、ISS)の実験室の状態を保持したまま、地球に持ち帰ることです。当社は、そのたんぱく質を収納するカプセル(保温容器)をJAXAと共同開発製造しました。

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引用:公式サイト 宇宙実験サンプル格納用 真空二重断熱容器 より

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引用:公式サイト 宇宙実験サンプル格納用 真空二重断熱容器 より

 

JAXAからの要望は以下のとおりでした。

1)温度(断熱性能):ISSの実験室で作られた、たんぱく質結晶を摂氏4℃±2℃の温度で4日以上保温できること。大気圏突入時の衝撃や空気摩擦熱に耐えること。(実際の大気との摩擦は、小型回収カプセルになり、当社の保温容器は、その中に格納されています。)2)強度:カプセル帰還時、海水面に着水する際の強い衝撃に耐える高い強度(40G)。3)軽量化:断熱性能と強度を維持したまま、重量を10kgへ軽量化すること。

普通に考えたら、これまでの魔法瓶の技術では不可能な条件(笑)ただ、3台目の試作品で、容器の断熱性能と保冷剤により、「摂氏4℃±2℃の範囲で5日間の保冷」に成功!また、最初の試作の17.8kgから約45%軽量化したフライト品をJAXAに納品することができました!2014年4月にご依頼をいただき、実際に物資回収に成功したのは、昨年(2018年)11月27日のことです。

通常の魔法瓶と構造は変わらないのですが、水筒などは開け閉めがあるので、どうしても蓋の部分を真空にするのが難しく、上から熱が移動しやすいという問題がありました。今回、JAXAに納品したものは、魔法瓶を2つ重ね合わせるようにして、より断熱性能を高めました(1つを逆さにして、もう1つの魔法瓶の中に入れるような構造。「真空二重断熱容器」と言います)。ちなみに、こちらの開発製造は、大阪府門真市にある本社工場で行ないました。これまでこうした回収技術は、米国とロシアしか持ち合わせておらず、わざわざ毎回海外に回収を依頼をしていたようですが、これを機に、日本単独でも、回収する技術を実験で実証したと聞いています。

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「真空断熱技術」を採用している企業は多々あります。その中で、タイガーの強みとはどのようなところにあるのでしょうか?

全品検査をしているところです!ピックアップ検査ではなく、全ての製品を検査しています。高温に設定した室内に魔法瓶を入れ、その内部に入れたセンサーが熱を感知するかどうかを調べる検査です。もしセンサーが反応した場合は、再度検品にまわします。そのため、かなり高い品質が保たれています。

 

思い描いている、今後の展開はありますか?

ISSの話をした後なのに、あまり大きなことではありませんが…当社の製品を、もっと多くの香港・マカオ圏に住まれている方たちに使っていただき、品質を実感していただきたいと思っています。今年から香港内の小学校に訪問して、低学年の子どもたち向けに、環境教育のサポートをする機会をいただきました。香港は、湿度も高く、蒸し暑いので、子どもたちが熱中症対策の水分補給として、当社の魔法瓶水筒を使ってくれていると嬉しいですね。それが、エコにも繋がると思っています。


Profile虎牌産品(香港)有限公司マネージングディレクター

東高司さん
2018年、約4年担当した「タイガー中国」から、「タイガー香港」のマネージングディレクターとして来港。趣味は、幼少時代から続けている水泳。晴れた日は、ハイキングに出掛けることも多い。もちろん当社の魔法瓶水筒は必ず持参!景色のよいところで、一服するお茶は格別なものです。


 

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虎牌産品(香港)有限公司
住所:Room 1006B,10/F.,Join-In Hang Sing Centre,71-75 Container Port Rd.,Kwai Chung
電話:(852)2418-0912ウェブ:www.tiger-corporation.hk

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