尹弁護士が解説!中国法務速報 Vol.14

2019/10/30

取引相手の信用調査

中国企業と製品販売の取引を行なうことになりましたが、相手方の中国企業は初めての取引相手であり、信用できる会社なのか不安であるという場合、どのようにして中国企業の信用力などを調査すればよいでしょうか。以下3つの方法をご紹介します。


(1)相手方のホームページやインターネットでの調査
 まず、企業の基本情報を把握する程度なら、企業ホームページや、「国家企業信用情報公示システム(国家企业信用信息公示系统)」などで自力で調査してみる方法があります。
相手方のホームページがあれば、そこからどのような会社なのか、どのようなビジネスをし、どのような製品があるのかといった情報を把握できます。また、インターネットで会社名や製品名などで検索することで、企業や製品の評判などを把握できることもあります。もっとも、相手方のホームページは顧客向けに見栄え良くしていることも多く、鵜呑みにするのは危険です。
「国家企業信用情報公示システム」では会社の基本情報を検索することができます。


 (2)現地調査
継続的な取引を行なう場合や、相手方が製品の売主である場合、相手方のオフィスや製造工場の現地調査を行なうことが重要です。調査といっても堅苦しく考える必要はなく、表敬訪問の際に生産ラインを見せてもらうだけでも、得られる情報は多いでしょう。また、営業許可証や批准証書を見せてもらえば、会社の正式名称、所在地、法定代表者などの基本情報を把握できます。
さらに、街に出て相手方の製品を買って評判や売れ行きを聞いてみると、有益な情報が得られるかもしれません。


(3)第三者による調査
 前述の調査である程度の情報は得られますが、自ら調査するには限界があります。さらに詳細な情報を集めたい場合は、第三者に調査を依頼することを勧めます。

①調査会社
調査会社に依頼すれば、日本語のレポートを入手することが可能です。レポートでは、会社の基本情報のほかに、従業員数、支店・子会社の情報、出資状況、経営者や出資者の概要、財務情報、仕入・販売に関する情報、総合的な信用評価など、相手方の詳細な情報が書かれているのが一般です。

②中国律師(弁護士
中国律師は、工商行政管理部門で企業の登記資料を閲覧することができます。この資料には、定款、出資契約書、設立申請書類(変更申請書類)、年度検査報告書などの書類、工商行政管理部門による行政処罰決定が含まれます。ただし、このような資料をどの程度閲覧できるか、謄写までできるかは、各工商行政管理部門によって異なります。深セン市市場監督管理部門で企業の登記資料を閲覧及び謄写する場合は、訴訟立件証明書などの提出が要求されます。

*次回のテーマは「会社の代表権」です。

shenxiu

 

 

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広東深秀律師事務所
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尹秀鍾 Yin Xiuzhong

代表弁護士、慶應義塾大学法学(商法)博士。西村あさひ法律事務所(東京本部)、君合律師事務所(北京本部)での執務経験を経て、2014年から深圳で開業、華南地域の外国系企業を中心に法務サービスを提供。主な業務領域は、外国企業の対中国投資、M&A、労働法務、事業の再編と撤退、民・商事訴訟及び仲裁、その他中国企業の対外国投資など。

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