香港、華南やアジアの起業特集2・シンガポールとの比較

2014/06/09

香港VSシンガポール起業しやすさを競う二拠点を徹底比較

ビジネスをしやすい環境が整っている場所として、1位と2位にランキングされるシンガポールと香港。アジアでビジネスをしたいと考えたとき、どちらで起業するほうがいいのだろうか?そこで、両地域のビジネス環境の違いについて、ホープウィルグループ代表取締役会長の堀昭則氏にお話を伺った。堀氏も起業家で、同グループでは香港、シンガポール、中国、日本に拠点を設けて、日本企業や個人のアジア進出を支援している、

中国とアセアンのゲートウェイ

簡単に申し上げると、香港は中国のゲートウェイ、シンガポールはアセアンのゲートウェイとなります。ビジネスをする環境を考えたとき、香港とシンガポールと同じような機能を持っている場所は他にはありません。

中国ビジネスに関わっていく場合は、中国で会社を作るより、まず香港で会社を作ることをおすすめしています。香港のほうが創業も会社のマネージメントもはるかにしやすいからです。中国には香港に対する様々な特例があるので、中国ビジネスへのエントリーもしやすくなっています。

シンガポールは、「チャイナプラスワン」やアセアン地域6億人のマーケットが注目されるようになり、その統括拠点として脚光を浴びるようになりました。でも、アセアンビジネスの拠点がシンガポールでなければいけないか、というと答えは「NO」です。香港がもうひとつの選択肢になると思います。金融と情報、貿易が自由で、言語がマルチ、リーガルが整備されています。物を売る場合、どちらの地域で売れたほうがアジア全体のランディングにつながるかというと香港のほうがインパクトがあると思います。

始めやすさとフォローアップ

香港とシンガポールについて、創業のしやすさについて比べてみましょう。まず、会社の作りやすさにはあまり違いはありません。どちらも一人株主、一人役員で設立可能で、両者が同一人物でもいいので一人で会社が作れます。但し、香港の場合は、この一人がレジデンスでもなくてもかまいませんが、シンガポールの場合は、レジデンスでなければいけません。ですので、創業するとき日本に住んでいるときは、シンガポール居住者の方に役員をお願いしなければいけなくなります。

次に外国人の方が現地で仕事をしようと思ったときに出てくるのが就業ビザの問題です。ビザの取得は、香港のほうがシンガポールより比較にならないくらいに取りやすいですね。シンガポールは今ビザを取るのが極めて難しい状況です。家賃はどちらも高いので、不動産の比重は大きくなります。法人税はどちらとも低税率。トータルで比べると、スタートアップは香港のほうがしやすいといえるでしょう。

ですが、ユニークな特許や技術を有する技術系企業の場合は、シンガポールのほうがいいかもしれません。なぜかというと、シンガポールは国をあげて、先端技術の獲得に乗り出しており、ファンドも持っているからです。うまくすると、ファンドがその企業に出資してくれるかもしれません。シンガポールが力を入れているのは、環境、特に水に関する技術、それと宇宙航空産業です。これらに関連する技術を持っている会社であれば、シンガポールで創業するメリットがあると思います。

Hopewill Group(Holdings)Ltd. 代表取締役会長 堀 昭則氏

 

Hopewill Group(Holdings)Ltd.
代表取締役会長 堀 昭則氏
大学生だった1990年前半、中国人の知人に「若いうちに中国に入って、中国のプロになれ。やがて、多くの日本企業が中国にやってくるようになるから、そのノウハウを持つことは大きなビジネスチャンスになる」といわれる。そのアドバイスをもとに、大学を卒業後、商社に就職。中国、香港での計7年の駐在生活を経て、2003年に起業。日本企業や個人のアジア進出を
支援するホープウィルグループを経営し、12年目を迎える。同グループは、市場調査、法人設立、アウトソーシング業務、資金調達・M&A等を、それぞれ専門で手がける事業会社を有し、グループ力により企業の事業展開をサポートしている。

放任主義の香港、過保護のシンガポール
香港とシンガポール、非常に似て非なるところは、香港はレッセフェール、つまり完全自己責任であること。香港政府は最低限のルールを決めて、あとは放任主義。文句もいわないけれど、手も貸さない。一方、シンガポール政府は厳格にルールを決めて、ことごとく口を出してくる計画経済をポリシーとしています。真四角で融通が利かないけれど、政府が企業をサポートするファンクションを沢山持っています。
香港とシンガポールのビジネス環境について、甲乙をつけるのは難しく、どんなビジネスをするかによっても違ってきます。両地域の環境を踏まえて、自分のビジネスに合ったロケーションをみつけるといいのではないでしょうか。いずれにしても、香港とシンガポールをうまく使っていくことが、中国、アセアンを含めたアジア全体の市場の活力を取り込んでいく、キーとなることだけは間違いないと思います。
起業はアクションを起こすことが肝心
夢や大志はあるのに起業できない方は、「全部道具が揃ったら起業しよう」「会計も知らないので、私にはできない」などと考えて、やりたいけどできないというスパイラルに陥ることが多いですね。でも、全部揃ってからやろうと思ったら、一生かかってもできません(笑)。ポイントは全部自分でやらないこと。オフィスが高いなら、デスク1台を借りられるところから始めればいいし、営業や製造も自分でやるのが難しそうなら、パートナーを探せばいい。文化や法慣習の異なる国でビジネスをするときは、現地のパートナーをみつけてやるほうがうまくいきます。たくさんの方の協力を受けながら、事業を進めていけばいいのです。まずアクションを起こしてみることだと思います。

ネットワークもゼロからのスタートだからこそ自身の価値をより見出せる海外起業

HR-Link 社長 竹之内さん

「東南アジアNo.1の人材会社」を目標に、ベトナムにて人材サービス事業を立ち上げた「HR-Link」。海外の日系企業に対して、国外で働きたい意欲ある若者や、世界に日本の技術を広めたいと考えるエンジニアなどの人材紹介を行う。社長である竹之内さんは、2010年に東京で人材紹介会社を設立し、その翌年には500万円を元金にベトナム法人を立ち上げた。また2013年にはフィリピン法人を開設と、№1へ向かってひた走る。

とんとん拍子に進んできたように見えるが、最初から順風満帆という訳ではなかったそう。「無名の会社をゼロからスタートする点においてはマーケティングの段階からかなり苦労した。自社以外は全てお客様。どれだけフットワーク軽く顧客開拓が出来るか、常に自分との戦いだった。」と竹之内さん。あらゆる壁を乗り越え、今はベトナムで起業したことに対して「日本国内に比べ自分自身の価値を見出すことができる。人の役に立っていることをより実感でき、日々の業務や自分の人生に『意味』を感じる。」と語ってくれた。

■これから起業する方・起業された方へメッセージ

起業に限らず、新たな環境にチャレンジしようとする方々には必ず理由や目的があり、その目的を達成するためのプロセスにおいて、周りに惑わされることなく着実に進歩を実感していけるか、その点が重要であると考えております。

常日頃から現状を俯瞰し段階を踏んで取り組んでいける姿勢が大切だと思います。

HR-Link Vietnam Co.,Ltd
住所:8/F.,LOD Bldg.,38 TranThaiTong St.,CauGiayDist.,Hanoi
電話:(84)4-3795-7037
ウェブ:http://hr-linkvn.com/
続きアイコン

Pocket
LINEで送る