西環(サイワン)特集5・孫中山(孫文)ゆかりの史跡

2014/06/26

歴史を訪ねて西環散策

西環の「リトル・ソーホー」で、おいしいモノを食べる前・食べたあとは、街歩きにも出かけてみよう。西環には、辛亥革命を起こした革命家の孫中山(孫文)ゆかりの史跡や歴史的な建物もあり見どころ満載。

旧賛育医院
Old Tsan Yuk Maternity Hospital

旧賛育医院 Old Tsan Yuk Maternity Hospital

■住所:36A Western St.

1922年にTsanYukMaternityHospita(l舊贊育醫院)として建設され、1926年には香港大学の医学部、産婦人科の建物として使用された。1929年には本来の用途に戻されたが、1934年に政府に返還された。戦後は病院としての機能はHospitalRoad(醫院道)に移され、1973年からはWesternDistrictCommunityCentre(西區社區中心)として使用されている。1922年に開院した際、香港で初となる外人の女性医師が採用された。彼女はいち早く、香港での助産師の必要性に気づき、助産師養成に力を尽くした。そして産婦人科も提供する公立病院として、一般市民にとっては重宝されていた。英国コロニアル式の建物は3階建て、1,100平米の広さがある。第3級歴史建造物に指定されている。

西營盤社區綜合大楼
Sai Ying Pun Community Complex

西營盤社區綜合大楼 Sai Ying Pun Community Complex

■住所:2 High St.

現在は18のアーチ型のベランダ、花崗岩の正面部分しか残っていないこの建物で、1892年にCivilHospita(l西営盤医院)に勤務する、外国人看護師の宿舎として建てられた。かつては軍隊が、戦後、精神病院として使用していたが、1971年に空きビルとなる。2度にわたる火災により、屋根と内部のほとんどが損傷、正面の建物以外、取り壊された。取り壊しの際に出た煙突はスタンレーにあるMurrayHouse(美利樓)へ移築され、レンガはMuseumofCoastalDefence(香港海防博物館)にある砲台の修復に使用された。保存された建物に、新しいビルを建設、2001年にコミュニティーセンターとして再生した。

1970年代、空きビルとなってから、「高街鬼屋(ハイストリートのお化け屋敷)」と呼ばれるようになった。女性の鳴き声や不思議な足音、火に包まれる男性、首を切り落とされた幽霊などの怪奇現象の噂があるそうだ。

香港の公衆浴場
Public bathroom

香港の公衆浴場 Public bathroom

■住所:Second St.

第二街と西邊街の交差点にあるピンクの古い建物。外観からは何の建物かよく分からないが、実は公衆浴場。浴場とはいってもシャワーのみで、浴槽はない。

その昔、香港には風呂とトイレが付いている住宅がほとんどなかった。1920年代に疫病が西環で発生し、イギリス政府が公衆衛生の重要性に気づき、公衆浴場の建設を決定した。建設当初は公衆浴場脇の地下に花崗岩の壁でできた公衆トイレもあったが、1994年に取り壊された。残された公衆浴場では今でも仕事帰りにシャワーを浴びて行く人がいるそうだ。

ここでは石鹸は置いてあるが、それ以外の物は自分で持ち込む必要がある。普段、シャワーは水しか出ないが、11月から翌年4月の間、気温が20度以下になるとお湯が供給される。しかし連続3日間、朝7時の気温が25度超えるとまた水に戻る。

英皇書院
King’s College

英皇書院 King’s College

■住所:63A Bonham St.

香港で優秀な学校として知られるKing’sCollegeは、卒業生には著名人も多い。

保護建造物に指定されているこの建物は、1923年から3年をかけて建設された。噴水のある中庭を赤レンガの建物が囲んでいる。正面玄関は円形のポーチ、イオニア式の柱が施されている。学校として建設されたものの、これまで他の用途に使用された歴史がある。落成3か月後の1927年にはBritishShanghaiDefenceForce(英国上海防衛隊)に徴発。1928年3月5日に正式にクレメンティ総督により開校された。

40年代、戦火により建物は大きな損傷を受けたため、戦後大規模な改築・拡張工事が行われ、1950年に学校が再開された。2011年に保護建造物に指定されている。

アジアの頭脳

香港大学

香港大学

香港大学は1911年創立の香港初の大学だ。歴史があるだけでなく、2013および14年度のQS世界大学ランキングで26位、アジアでは2位と大変優秀な学校でもあり、卒業生には孫中山(孫文)などがいる。また香港政府の役人のうち、何と8割は同大学卒だという。

香港イチの歴史をもつ美術博物館「馮平山樓」

般咸道(ボンハムロード)沿いの香港大学正門横に位置する建物「馮平山樓(フンピンシャンビル)」。80年以上の歴史を持つ建築物で、第一級歴史建造物に指定されている。
東亜銀行の共同設立者である寄贈者の名前が付けられたこの3階建ての建物は、1932年に中国書籍を貯蔵する図書館として建てられた。1階部分は石造、2~3階は赤レンガの壁に飾り柱が規則正しく並んでおり、西洋建築の影響を大きく受けていることを伺わせる。またその内部も素晴らしく、外観とは異なり中国の文化を色濃く感じることができる。

1953年、貯蔵されていた中国書籍は大学の図書館(現在の馮平山図書館)へ全て移され、馮平山樓は中国芸術と考古学の博物館に改装された。後に「美術博物館」と名前を変え、香港で最も歴史のある博物館となった。

館内には新石器から清朝時代までの骨董品、陶磁器、絵画、銅製品などといった貴重な美術品から、かつて実際に使われていたベッドや椅子など歴史ある家具が展示されており、一般向けに無料で開放されている。また特別展示のイベントも定期的に行っているので、時期によって違う展示を見ることができるのも嬉しい。展示品もさることながら建物自体も歴史を感じられる貴重なものなので、ぜひ一度足を運んでみてはいかがだろう。

開館時間:月~土9:30~18:00、日13:00~18:00
閉館日:祝日、大学の休暇期間

Vniversity!?
名門大学がまさかの凡ミス!?

「鄧志昂中文学院」入り口

「鄧志昂中文学院」入り口の牌坊に掛けられている「VniversityofHongKong」。Universityの頭文字「U」が、なぜか「V」になっている。香港のトップ大学でこんな間違いはありえない!という人もいるだろう。一説には、直しても直しても次の日はやはり「V」に戻るので、大学側もしょうがなく諦めたという。ちょうどその門の正面にある英皇書院では生徒が転倒・死亡する事件が起き、「このV文字のせいではないか」といわれたらしい。結局、英皇書院の方は大学に面する教室に、魔除けの神様・鍾馗の画像を貼り、それ以来平安無事であり続けたということだ。

 

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