教育と子育て応援特集2・習い事に密着

2014/09/23

習い事弾丸ハシゴ・ツアー!

香港人の父と日本人の母を持つ皓翔(ひろと)君は、香港のローカル系小学校、P2(日本では小学校2年生)に通う、どこにでもいる元気な男の子だ。しかし、彼の土曜の午後のスケジュールはびっしりと埋まっている。午後1時、皓翔君とママの「習い事・マジカル・ツアー」はコーズウェイベイ(銅鑼湾)の空手教室からスタートする…。

道場にはすでに子供達の賑やかな喚声が溢れていた。皓翔君と同じクラスで稽古するのは、幼稚園から中学生まで年齢、国籍もまちまちの男女合わせて約30人。賑やかにじゃれ合っていた子供達の空気がアンドリュー先生の厳しい声で一転、静寂に変わる。礼、黙想、礼で稽古開始だ。日本で修行を積んだアンドリュー先生の指導は主に日本語だが、時折広東語も混じる。厳しい先生も時折冗談を織り交ぜ、子供達を笑わせる。普段、身体を動かす機会の少ない子供達はイキイキとして楽しそうだ。K2(日本の『年中』にあたる)で始めたという皓翔君は現在空手歴3年で茶色帯。このクラスの中では中堅だろうか。「型」もなかなか堂に入っている。子供達の中でも「黒帯」は下の子らに模範を見せたり、面倒を見たりと忙しい。こういう事で子供のうちからコミュニケーション感覚は育っていくのかもしれない。「なるべく日本語に触れることと、お辞儀など日本的な礼節を学んでほしいから」と、空手を習わせる理由についてママは話す。家庭でも学校でも日本語を話す機会は少なく、日本人ママとしては少し心配なところなのだという。

さて、1時間の稽古を終えるとすぐに移動。フードコートで慌ただしく食事を済ませ、次の教室へ。「柏斯琴行」の音楽教室バイオリンの個人レッスンだ。これもK2から始めたという皓翔君。レッスン中はブースに立ち入り禁止ということで、彼の腕前を確認できず残念…。当初は個人の先生に習っていたというが、途中からこちらの教室へ。理由は「『級』を取るレッスンをしてくれるから」という。

実は皓翔君が通う小学校は、香港でも有数の歴史を誇る名門男子校。この「お受験」のためにはなるべく多くの「○級資格」や他の子にない特技を持っていた方が有利なのだとか。小学校受験の準備を始めるのは一般的に4~5歳ということ。「K2で始めた」というのはそういう意味だったのだ。小学校に入ってからも音楽の授業で楽器の試験があり、そのためにレッスンを続けているのだという。「もちろん本人が好きなら、音楽はずっと続けてほしい」が、単なる「情操教育」だけでは割り切れない切実な「香港受験戦争」の現実があるようだ。香港の教育システムでは上に行けば行くほど門は狭く厳しくなっていく。経済力やコネの有無が大きく影響力をもつ香港の受験システムのなかで、「今は少々かわいそうでも、無理を承知でがんばるしかない。私も不本意ながら心を鬼にしてがんばってます(笑)」とママ。

皓翔君

45分のバイオリン・レッスンを終えると、急いで移動。次のそろばん教室が始まるまで15分しかないのだ。ママに引っ張られるようにして同じく銅鑼湾のそろばん教室へ。こちらは日本式の算盤だが先生は香港人。数々のトロフィーが並ぶこの教室には14歳で香港大学に飛び級入学した子供も通っていたとか。さすがに皓翔君も疲れてきたかと思いきや、教室の友達とふざけ合ったりとまだまだ元気いっぱいだ。ここでの授業はみっちり90分間。この間に再びママにお話をうかがう。

土曜日は習い事で忙しい皓翔君だが、毎日各教科あわせて10前後の宿題が出るため、平日も放課後、自宅近くの補習塾で学校の宿題に追われている。特に美術や工作の宿題は「完全に私の仕事(笑)」とママ。他に、毎週中文・英文の小テストがあり、勉強が終わるのが夜の11時に及ぶこともあるという。香港のローカル学校の勉強量はすさまじい、とウワサには聞いていたが、聞きしに勝るとはこのことか…。小学校でも、容赦ない「落第」が待っているという香港では、親子ともども青息吐息で食らいつくしかないのだ。「1番にならなくていいから、なんとか真ん中あたりで」というママの声には実感がこもる。

さて、いよいよ今日最後の教室、レイトンセンターの「こどもクラブ」までの移動はほとんど小走りだ。始業時間から少し遅れて到着。こちらでは基本的な日本語の読み書きと算数を学習。普段、ママと以外ほとんど日本語に触れる機会がない皓翔君。「できれば将来的には日本の大学に」というママの考えで今年4月から通っている。机を並べる友達もほとんどミックスの子たちで、通う理由も皓翔君のケースとほぼ同じようだ。総勢5人のクラスでは、今日は日本語の文中に読点、句読点を入れる授業からスタート。先生が一人一人を丁寧に見てくれている。

外はもう日も暮れた7時10分、授業終了。今日の全教室を終えた皓翔君は、さすがに疲れた様子。「お腹すいた~」とママに甘えてみせる。この後パパと4つ下の弟くんと合流し、家族で楽しいお食事だ。トンカツのお子様セットが運ばれて来ると、さっきまでの疲れた表情は何処へやら、いつもの元気な皓翔君の笑顔にもどる。「ネイマールが好き!」という皓翔君が今楽しみにしているのは、10月から始まる学校のクラブ活動のサッカー。「ホントはのびのびと好きな事をやらせてあげたいんだけど…」と語るママと皓翔君の二人三脚はまだまだ続く。

学校だけでは学べない! 気軽に体験できる「創造の現場」

子供でも気軽に楽しめる本格ジュエリー工房

Pixelry Box Kids

Pixelry Box Kids

デザイナーRurikoさんが創立したオリエンタルジュエリーショップ「Pixelry」から始まった子供向けジュエリー工房「Pixelry Box Kids」。初めての子供でも比較的簡単にこなせるワックスコースと、より本格的なメダルコースもある。年齢や、性別、経験に壁を置かず全ての人と共にクラフトの時間を分かち合うことが出来るように、親子参加がおススメ。共同手作業を通して子供も大人も集中力と想像力を磨く好機会だ。もちろん、親子同士の仲も深まるに違いない。

そこで、10月からクリスマスシーズン向けのワークショップがスタートする。「オーナメントに愛する人へ普段なかなか伝えきれない思いを込め、皆さんとジュエリー作りをしたい」と語るRurikoさん。ぜひ一緒にジュエリー製作を楽しもう。

Pixelry Box Kids
教室料金:HKD600(材料費込)
ウェブ:http://www.pixelryasia.com
メール:pixelrybox@gmail.com
教室日程 まずはお問い合わせを。

語学以外にも多様なクラス
視野を拡げ考える力を養う

Speakeasy

Speakeasy   コミュニケーションを大切にする教室

子どもたちが自由に想像し、そのアイディアを披露し合い、互いに意見を交換したりすることで、創造の楽しさに触れる機会を提供する「Speakeasy」。同教室では「コミュニケーションを大切にする」「異文化交流によって視野を広げる」「考える力を養う」この3つを基本に英語だけでなく、日本語クラスやアートクラスや季節にあわせたワークショップなどを開催している。
卒業後も同校を訪れる生徒がいるのは、横井さんの気さくな人柄のおかげだろう。また、子どもだけでなく、お母さんたちから慕われているのも人気の秘密なのかもしれない。インター校の生徒を対象としたワークショップも開催しているので、気軽に問い合わせてみよう。

Speakeasy
住所:13/F., Fortune Ctr.,
44-48 Yun Ping Rd., CWB
電話:(852)2574-6256 横井
メール:mika.speakeasy.hk@gmail.com
ブログ:speakeasycafe.blog.fc2.com

 

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