ヴィクトリア ハーバー特集3・シグナルタワー

2015/03/25

港の安全を守り続けたシグナルタワー

シグナルタワー

香港で尖沙咀や九龍などの大規模埋め立てが始まる前、かつて岬だった場所「シグナルヒル(訊號山)」を知っている人はどれほどいるだろうか。ブラックヘッドポイント、尖沙咀ポイントとも呼ばれた岬は、現在は小さい丘が残り公園として市民の憩いの場へ生まれ変わった。

そこは香港でかつて台風シグナルを発信していた場所だった。ヴィクトリアハーバーの中間に位置しその周辺では1番高い丘であったこの場所に、レンガ作りのシグナルタワーが建てられたのは1907年のことだった。それまで港の船に正確な時間を知らせるタイムボール(時球)は香港警隊前水警総部の近く(現在の1881Heritage)にあった。タイムボールは1908年1月~1933年6月まで香港天文台により運営され、1908年~1920年までは1日に1回、1933年までは1日に2回ボールを落として時間を知らせていた。海洋クロノメーターをチェックするために用いられた同方法は、無線と電話技術の発達により時代遅れとなり幕を閉じたのである。

そして、その後は公園となりシグナルヒルガーデンが1980年にオープン。シグナルタワーは1981年に香港二級歴史建築に指定され、2009年には香港一級歴史建築に登録された。尖沙咀にあるとは思えないほど静かな公園であり、埋め立てにより昔の眺めは変わってしまったが残されたシグナルタワーが昔を今に伝える。

訊號山公園
住所:11 Middle Rd., TST

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