香港、広東のアテンド特集2・プロのおすすめスポット

2015/04/22

香港のベテラン、アテンドのプロに訊く、ココだから言える話、言えない話。

香港の夜景

香港はA級志向の街。アテンドに「冒険」って必要?

香港在住26年という世良田紀子さん。英語、広東語が堪能な彼女なら、さぞや充実のアテンド術を心得ていらっしゃることだろうと、お話を伺った。

●世良田さんの「イチオシスポット」を教えてください。

香港って、いわゆる「観光スポット」って少ないし、来る人が求めているもの、期待しているものにもよりますね。例えば「食べるのが好き」だとか、逆に慣れない食事は苦手だけど「歩く、見るのが好き」だとか。そんな中でもやっぱりベタだけどピークかな。でも最近は「リッツ」(リッツカールトンホテル)かも知れませんね。あそこの118階の「Ozone」から見る景色って、地球の丸みすら感じます(笑)。ピークに替わる香港の「新名所」かもしれませんね。

何度も香港にいらっしゃっている人は、やっぱり「グルメ」が目的の方が多いですね。狭い香港の事ですから見る、遊ぶに関しては、割と限られていますし…。「食べる楽しみ」がなくなると、香港の魅力は半減すると思います。

●具体的にはどのようなものが喜ばれますか?

一番は「飲茶」。北京ダックはなくても、フカヒレはなくても、香港初めての人からリピーターまで、飲茶だけは欠かせません。

また、香港ではいろいろな中華料理が楽しめますが、日本人には「潮州料理」が割と受ける気がしますね。中でも潮州人が認める潮州料理と言われている、九龍城の「創發潮州飯店」は私のオススメの店の一つです。お店の雰囲気や味もさることながら、旅行者にとっては「九龍城に来た」というだけで受けがいい(笑)。旅行者だけではなかなか行きにくい所ですし。香港に住んでる人がアテンドするなら、旅行者だけではどう行ったら良いのか分かりにくい所を案内してあげる、というのもポイントだと思います。新しい人気スポットもあるけれど、「古いからこそ」魅力的なスポットもたくさんあるはず。九龍城という地区には潮州料理、タイ料理の店が多いですが、そのワケを1994年に取り壊された「九龍城塞」との関わりを含めて調べておくと、美味しさとともに、興味深い話題を提供できるでしょう。

あと、北角街市の「東寶小館」でしょうか。90年代にその斬新さが注目された店ですが、いまだに人気は根強いですね。初めて
の方をお連れすると「こんな所にこんなお店が!」みたいな驚きが返って来ます。また、映画関係者をアテンドすると必ずといって良いほどリクエストされる店でもあります。この店で働いている人達が、「役者」としてフルーツ・チャンの映画「花火降る夏」に出演してるせいもあって、映画人にとってある意味「聖地」みたいな存在になっているんです。毎年映画祭の季節にはこの店を訪れることになります。

●その他には?

旅行の日程に余裕があるのであれば、船で1時間くらいで行けてしまう離島を案内するのもいいですね。特に長洲はいい。海鮮
だけならラマ島も良いですが、長洲はあんな小さな島に人々の生活があって、高層ビルが林立する香港・九龍の中心部とは対照
的な時間が流れています。そんな香港の原風景的な場所を案内するのも面白いですよ。

●逆に不評だったものは何かありますか。

女人街とかは、受けない。香港らしいかなと、連れて行っても「なーんだ」とガッカリされることもありますね(笑)。特に買うものもないし、少し見れば十分という感じで…。

日本からは「B級グルメの街」とイメージされがちな香港ですが、実は香港はA級志向の街。香港人自身「B級」を良しとしているわけではありません。旅行者を案内する場合、少し覗くだけならB級も楽しんでもらえますが、本当に喜んでいただこうと思えばそれなりの所へお連れするのがいいかも知れません。日本で作られている「B級」イメージに合わせて「ディープな香港」に偏ったり、「冒険」してみたりと、アテンドする側の一人よがりにならないようにしたいですね。混沌とした部分と先進的な部分とが共存しているのが香港の魅力ではあるんですけど。

創發潮州飯店 日本人の舌にも馴染みやすい潮州料理
【創發潮州飯店】
Chong Fat Chiu Chow Restaurant
広東省潮州出身者が多く住む九龍城でローカルフードはいかが?魚介からでる旨みとあっさりの味付けがクセになる。
住所:60-62 South Wall Rd., Kowloon City
電話:(852)2383-3114
時間:月~日11:00~24:00

 

 

東寶小館地元民にも大人気の街市食堂
【東寶小館】
北角の街市内にあり屋台のような雰囲気。旅行ガイドにもよく取り上げられており日本語表記メニューもある。ビールはお茶碗のような器でいただく。
住所:2/F Java Road Municipal Services Building, 99 Java Rd., North Point
電話:(852)2880-5224
時間:17:30~24:30

 

 

 

世良田 紀子(せらだ のりこ)さん
松竹株式会社の派遣社員として1989年に来港。フリーランスでのライター・コーディネーター経験を経て、週刊香港を友人らと設立。その後、(当時)角川グループ洲立影業有限公司へ勤務し、現在は和光不動産有限公司の業務執行取締役として活躍中。

やっぱり、夜景とビル群が一番時代は変わってもこれは不変

1989年来港。奇しくも世良田さんと同じく在住歴26年の石塚さん。「バブル時代」から現在に至るまで、香港の旅行業界で活躍する彼に、プロフェッショナルの眼から見た香港旅行の変遷などを伺った。

●昔に比べて旅行者の志向も変わったでしょうね。

そうですね、昔の一般的なツアーのお客様ですと右も左も分からず、すべてガイド任せ、という方が多かったんですが、今は情報が溢れている時代ですから。事前にいろいろと調べていらっしゃる方が多いですね。ただ、円安でも何でも、香港の変わらない魅力は何と言ってもビル群と夜景の美しさですね。

●石塚さんのイチオシスポットを教えてください。

オススメできるポイントと言えば、やはり今はSKY100でしょうか。ただ、実は展望台にはいかないんですよ。リッツカールトンホテルのロビーに行く。ロビーといっても103階ですからね。展望台登るのに168ドルかかるんですが、リッツのロビーなら見える景色は限られるとは言え、タダ(笑)。そして118階の「Ozone」がオススメです。

●やっぱり「Ozone」ですか。

はい、ここは絶対。外に出ると屋根がない。もちろん天候の問題はありますけど、これは最高ですよ。

ここへ行くなら、私は夜よりも昼間をオススメしますね。高すぎる位置からの夜景は飛行機で下りて来るときに見える景色に似て、周りが暗いので実感がない。夜景は海の高さから観るのがオススメです。夜景の中に自分が居るんだということが実感できる。そういう意味で最高なのはインターコンチネンタルホテルのバーですね。グラスを傾けながら、ほぼ海の高さの目線から眺める香港島の夜景は最高です。

もう一つ夜景ポイントとしてはワンチャイ(湾仔)のコンベンションセンターですね。この先端からだと、ヴィクトリア港を挟んで香港、九龍両サイドの夜景が一度に楽しめるんです。

夜景以外だと、若い方なんかにはモンコック(旺角)、ヤウマーテイ(油麻地)、女人街など、下町的な所が人気ありますね。

香港島サイドだとスタンレー(赤柱)。ちょっと散策して、海沿いのレストランでお昼を食べて帰ってくるのがちょうどいい。ディナーだと暗くなってから帰ってくるのがちょっとめんどくさいかも知れません。

●「食」の面ではいかがですか。

オススメできるところは「小南国」です。ここは日本人の方をお連れすると、ほぼ皆さんに満足していただけます。あとは、レイユームン(鯉魚門)あたりの海鮮でしょうか。今は中国系の観光客も多いですし、人気は昔ほどではありませんが。ただ、やはり初めての方だと、あの迷路の様に入り組んだ路地と、水槽に泳ぐ魚や、エビ、蟹などの魚介類を観るだけでも喜ばれます。初めて入る店だとどうしても値段が不透明な部分がありますので、知っている店で「バジェットはこれだけで」という方が安心かもしれませんね。

飲茶も人気がありますが、中でも「福臨門」は美味しいですね。夜はお高いですが(笑)、飲茶は香港のトップクラスです。

賛否両論ありますが、日本人の「竹園」人気は根強いですね。こちらへ行かれるとしたら、フランスパンを注文されることをオススメします。この店の定番メニューのシャコのニンニク炒めとロブスターのチーズがけを注文し、ニンニクとチーズをフランスパンに載せていただく。これは美味しいです。

昔はアバディーン(香港仔)の水上レストランと言えば、日本人香港ツアーの定番でしたが、今ではほとんど行かなくなりました。代わって韓国からのツアー客が多くなっているようです。

Ozone世界一の高さを誇る摩天楼バー
【Ozone】
入場料を払って同ビル内のSky100から香港の絶景を堪能するのもいいが、そこから更に上階のバーでカクテルを片手に摩天楼に酔いしれるのもおすすめ。
住所:ICC 118/F., 1 Austin Rd.West, TST
電話:(852)2263-2270
時間:月~水17:00~25:00
木17:00~26:00
金17:00~27:00
土15:00~27:00
日12:00~24:00
上海小南国【上海小南国】
上海に本店を構え香港内にも複数店舗を持つ小南国。大きな窓からはシンフォニーオブライツも堪能できる。時期によっては上海蟹も!
住所:Shop 2-13 & 45-51, UG2, Tsim Sha Tsui Centre, 66Mody Rd.,TST
電話:(852)2369-8899
時間:11:30~15:00
18:00~23:00

 

 

石塚 道博(いしづかみちひろ)さん
株式会社スターエキスプレス、観光部長。香港でのツアーガイドとしては豊富な経験を持つ。長年に渡って香港の観光、旅行業界の移り変わりを見つめて来た彼は、現在も第一線で活躍中。常にオシャレを忘れない、ダンディーな紳士でもある。
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