歴史的建築物特集2・ペニンシュラホテルほか

2015/11/23

ペニンシュラホテル1〝東洋の貴婦人〞と称され、
ホスピタリティーがたっぷり味わえるホテル 
香港半島酒店The Peninsula Hong Kong

コロニアルスタイルの堂々とした建物は、1928年12月にユダヤ系イラク人のカドーリ家の2人の兄弟によって創業され、九龍側、ヴィクトリアハーバーに面した一等地に位置し、香港で最も長い歴史をもつ格式ある老舗高級ホテルだ。伝統と格式の高さは群を抜き、宿泊客の顔ぶれも超セレブで各国大統領や映画スターなど。一度は宿泊してみたいホテルだ。しかし、宿泊しなくても優雅で壮麗な雰囲気を味わうことができる空間は多々ある。ホテル各所に展示したオリエンタルな趣の調度品がシンプルな中にしっとりとエレガントな雰囲気をかもし出している。
ペニンシュラホテル2 ペニンシュラホテル3 ペニンシュラホテル4
歴史を遡ると第二次世界大戦中は日本軍に占領され、名前を「東亜ホテル」に変更したこともあるそうだ。銀幕のスターのクラーク・ゲーブル氏から直伝されたスクリュー・ドライバーを今もシニアバーテンダー、ジョニー・チャン氏が作り1階のザ・バーで味わえる。有名なアフタヌーンティーは、G/Fにあるザ・ロビーの空間で、BGMは生演奏が楽しめる。予約はできない(宿泊ゲストは優先的に案内されます)ため、いつも長陀の列ができている。あこがれの三段重ねのお皿がのるティースタンドや銀製品は全てティファニー製!優雅で有名なアフタヌーンティもぜひ楽しみたい。

ペニンシュラホテル5 ペニンシュラホテル6

 

 

 

 

 

 

 

 

住所:Salisbury Rd., TST
電話:(852)2926-2888
ウェブ:http://hongkong.peninsula.com/

景賢里1美しさに魅了され、
夢のような生活を思い描く・・・景賢里 King Yin Lei  

1937年に建てられた香港に残された数少ない三合院式の建物だ。1977年にドライフルーツ販売で財を成した大富豪、邱子文氏が購入後、「景賢里」と命名。華洋折衷の美しい外観から、映画やドラマの撮影にも使用された。2階のバルコニーからの眺望は贅沢そのものだ。
邱氏の死後、遺族が売却し、買い取った中国本土の投資家が、新築のために取り壊しを開始。しかし、歴史的価値の高い建造物で、取り壊し反対が起こり、2008年7月に歴史的文化財に認定され、取り壊しは中止された。その後、修復の手が加わり2010年末に完了した。
景賢里は一般公開はしていないが、不定期で数年に一度のペースで公開されている。今年に限っては7月から11月にかけて数回公開された。
一見の価値は大いにある。次回の公開日をチェックして、是非一度は訪れてみたい建物だ。
景賢里2 景賢里3 景賢里4

住所:45 Stubbs Rd., Mid-Levels, Hong Kong

雷生春堂1交差点で一際目立つ
丸みを帯びた騎楼建築 
雷生春堂 Lui Seng Chun
雷生春は九龍バス(KMB)の創設者の一人である雷氏によって1931年に建てられた。建てられた当時、1階は薬局として、上階は居住部屋として使われたが60年代になると家族が増えたことから一族は相次いで転出し、70年代には住居として使われなくなった。その後、ビルの老朽化が進み、2000年に一級歴史建築に認定されたのをきっかけに所有者が香港特区政府に寄贈し、04年から修復作業は始まり、2012年4月、「香港浸会大学中医薬学院ー雷生春堂」として生まれ変わった。館内には漢方医が常駐する診療所があり、G/Fのロビーには香港浸会大学中医薬学院が処方した涼茶を販売している。見学ツアーや漢方医の診察ともに要予約が必要で、詳細は公式サイトおよびパンフレットを参照のこと。
雷生春堂2 雷生春堂3 雷生春堂4
住所:119 Lai Chi Kok Rd., Mok Kok
電話:(852)3411-0628
ウェブ:http://scm.hkbu.edu.hk/lsc/tc/index.html

フリンジクラブ1らかな曲線を持つ建物自体が「アート」
蘇った冷蔵倉庫は風格漂う空間に 
舊牛奶公司寫字樓 Fringe Club
可愛いレンガ造りの建物は、一級歴史建造物に認定されており、初期のイギリス・コロニアルスタイルで1892年に乳業会社の冷蔵倉庫として建てられたものだ。冷蔵庫が一般家庭に普及する前の時代、中環(セントラル)近辺及びピークの住宅へ氷と乳製品を供給していた。70年代初めに乳業会社が立ち退き、廃屋化していたが、1982年に建物北棟に外国人記者クラブが入り、1984年には南棟にフリンジ・クラブ(藝穂會)が入り、数回に及ぶ改修工事を経て、古い倉庫はアート空間へと生まれ変わった。G/Fにはザ・エコノミスト・ギャラリー(The Economist Gallery)という外国のアーティストの写真や絵画作品など展示しているアート・ギャラリーがある。さらに南隣りの「FringeDairy」は約70席を擁するライヴスペースになっており、主に週末開催の音楽ライブでは、ジャズやブルース、ロックや、複数バンドのジャムナイト等、ライブパフォーマンスを楽しめる。日本人バンドがここで演奏することも。普通のライブハウスと大きく違うのは、天井から床まで、乳業会社として使われていた当時の内装を最大限に残しつつ活用している点だろう。ドアや階段にも往時の温もりと懐かしさが感じられ、特にジャズやブルースを楽しむには香港内でも最高の雰囲気を持った空間と言える。こうして蘇ったフリンジ・クラブはありとあらゆるアートシーンに向けて「香港の今」を発信している。アートだけではなく、普段使いができるカジュアルながらも落ち着いたカフェやバーでゆっくりとした時間を過ごすこともできる。すぐお隣にありながら蘭桂坊の「バカ騒ぎ」の喧騒とは一線を画し、ノスタルジックな本物の風格が感じられるフリンジ・クラブをぜひ訪れてみては。
フリンジクラブ2 フリンジクラブ3
フリンジクラブ4 フリンジクラブ5

住所:2 Lower Albert Rd., Central
電話:(852)2521-7251
営業時間:12:00~(施設によって異なる)
休業日:日曜日
ウェブ:http://www.hkfringeclub.com

女性によって女性のために建てられた宿泊施設 梅夫人婦女會 The Helena May
現在は会員制倶楽部となり、宿泊施設としてだけでなく結婚式やパーティなど社交の場としても利用されているこの建物は、当時の香港総督婦人ヘレナ・メイが女性の社会進出を願い働く女性のために開設した宿舎であった。1914年に建設され、1916年正式にオープン。各々の個室のほかに図書室や読書室なども備えていた。内装もその外見と同様、美しさと可憐さを兼ね備えた白を基調としており、女性であれば一度は足を踏み入れたくなる空間だ。
現在は男性でも準会員として入会が可能になっており、一般開放日やバザーなど、誰でも訪問できる日も設けているので、詳しくはホームページをチェック。

梅夫人婦女會住所:35 Garden Rd., Central
電話:(852)2522-6766
ウェブ:http://www.helenamay.com

歴史を感じる空間でショッピングを楽しむ 畢打行 Pedder Building
1923年に建設された9階建てのビルで、この周辺では唯一戦火を免れたという歴史的価値も高い建造物である。1981年に香港二級歴史建築に指定されている。以前は香港発のファッション、インテリアブランドとして有名な「上海灘」がグランドフロアと地下には入っていたため、「上海灘のビル」として記憶されている方も多いのでは。
ビルの前に立つと迎えてくれるのは二頭の獅子。入口の手すりや、彫刻により装飾された柱は実に重厚な雰囲気を醸し出す。階段をあがり中へ入ると高い天井のアーケードになっており、ふと自分がヨーロッパにでもいるような気分にさせてくれる。
新古典主義様式という、当時の典型的な商業施設のつくりの建物でありながら、その佇まいは不思議と周りのビルに溶け込んでおり、休日にはショッピングを楽しむ多くの人で賑わう。90年を越える歴史を持つとは思えぬほどの「現役感」だ。
畢打行1 畢打行2

住所:12 Pedder St., Central

 

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