歴史的建築物特集3・旧香港立法会ビルほか

2015/11/23

旧香港立法會ビル1香港の中心で歴史を見つめて来た
かつての立法會ビル 
旧香港立法會ビルOld Supreme Court Building
1912年竣工の歴史建築。最高法院としての役割を経て、その後2011年までは立法評議会の議事堂として利用されていた。また、日本統治の際には、香港兵隊本部として使われていたという歴史をもつ。現在は、香港終審法院がこの建物を利用している。1980年に香港の一級歷史建築、1984年に法定古蹟に指定された。
建物はイギリスのバッキンガム宮殿の建設にも携わったイギリスの建築家アストン・ウェッブとイングレス・ベルにより設計された。屋根には正義の象徴として、右手に公正を表す天秤、左手に権力を表す剣を持ったテミス像が立っている。すぐ脇を行き交うトラムとの構図はとても趣のある風景だが、ライトアップされる夜の姿もまた美しい。
旧香港立法會ビル3 旧香港立法會ビル2
住所:8 Jackson Rd.,Central

時代を感じる建物で、
現代アートを楽しむ
牛棚芸術村 Cattle Depot Artist Village
馬頭角(マータウコック)に「牛棚芸術村」という建物がある。現在は、芸術家たちがワークショップの開催やスタジオとして使用しており、様々な情報を発信する場となっているが、建設当初の1908年から1999年までは家畜検疫場として使用されていた。1.7ヘクタールもある広大な敷地には、西洋建築の要素を取り入れた赤レンガの建物が5棟並んでおり、当時の面影をそのままに残している。第一次世界大戦前の建造物として歴史的な価値も高く、2009年からは香港政府によって「第二級歴史建築」に指定されている。毎年、ブックフェアなどのイベントも開催されているため、カメラ片手に足を伸ばしてみるのも面白いだろう。
牛棚芸術村1 牛棚芸術村2
住所:63 Ma Tau Kok Rd.,Kowloon
時間:10:00~22:00

言わずと知れた、
香港の超名門大学 
香港大学 University of Hong Kong
香港島・薄扶林に本部を置く香港の公立大学。1911年に創立された香港最古の大学で、その敷地の中には講堂をはじめ、時計台や音楽図書館といった歴史的建造物が点在している。
正門入り口から入り階段を登るとすぐ左側に建つ建物は、香港で最も歴史の古い博物館である「香港大学博物館」だ。建物の入り口には「馮平山楼」という1953年創立当時の名前の看板がそのまま残る。中には新石器時代から清の時代までの青銅器や磁器、絵画などが展示されており、入場は無料。
隣に建つ「除展堂楼」の2階にあるティーサロンでは、落ち着いた空間で、様々な種類の中国茶を楽しむことができる。
香港大学1  香港大学2
住所:The University of Hong Kong,Pok Fu Lam
ウェブ:http://www.hku.hk

場所を変えても
なおその美しい姿を残す西洋建築 
美利樓 Murray House
1846年、もともとイギリス軍将校の住居として中環(セントラル)に建てられたが、戦後は香港政府に譲り渡され、役所として使用されていた。日本統治時代には日本皇軍憲兵の総本部としても使われていたこともある。その後、老朽化によって一度は解体されるが最も歴史的に古い建物の一つであり、その歴史的価値は認識されていたため、石材などの資材は一つ一つに番号を付けて記録し、大事に保管されていた。そして、その姿を後世に伝えるべく2000年、保管されていた資材を使って赤柱(スタンレー)に当時の姿のまま再建された。
海辺に立つコロニアル建築による3階建ての美しい洋館は、現在、商業施設として生まれ変わっており、スタンレーのランドマーク的存在になっている。
 美利樓
住所:Murray House, Stanley Plaza, Stanley

生活感漂う一級歴史建築物
名前は見ての通り!藍屋 Blue House
再開発が進む湾仔(ワンチャイ)地区の山側に、ひときわ鮮やかなブルーの低層ビルが建っている。藍屋(ブルーハウス)だ。1920年に建築されたバルコニー付きの唐楼は現在“一級歴史建築物”に指定されている。かつて建物の老朽化に伴い、香港政庁によって色を塗り替えることになった際、たまたま倉庫にあったペンキが当時水務署で使っていた青色のみで、その青ペンキで塗り替えられたことから、“藍屋”と呼ばれるようになった。上階は、現在でも住人が生活している。G/Fには、「湾仔民間生活館」という、古き良き香港の生活を伝えるミニ博物館があり、地域の人々が実際に生活の中で使ってきたものばかりが展示されている。95年間この地で香港の移り変わりを見てきたこの場所で、往時にタイムスリップができるかも・・・!?
藍屋
住所:72 Stone Nullah Lane,Wan Chai
電話:(852)2835-4376
時間:13:00~17:00
毎週水曜及び祝祭日 定休

歴史と現代が融合する
複合施設 
尖沙咀前水警總部 1881 Heritage
高級ブランドショップがずらりと並ぶ広東道の最も海よりに位置する、1881 Heritage。かつて水上警察が置かれた小高い静かな丘は、現在ショッピングモールやホテル、レストラン群として連日多くの観光客で賑わう。
構成される5つの歴史的建造物は、1880年代初頭に、ヴィクトリア・コロニアル調と新古典派を組み合わせた設計で建築された。なかでも中央にそびえる「香港警隊前水警総部(水上警察署)」は、1884年から1996年まで100年以上の長期に渡り使用されていたもので、1994年には香港の建築物文化遺産として政府に認定されている。噴水や季節ごとに変わるオブジェも楽しむことができ、ウエディングの撮影場所としても人気がある。
複合施設 尖沙咀前水警總部1 複合施設 尖沙咀前水警總部2複合施設 尖沙咀前水警總部3
住所:2A Canton Rd.,TST
電話:(852)2926-8000

Observatoryの
アプリでお馴染み 
香港天文台 Hong Kong Observatory
香港天文台は1883年に第9代香港総督ジョージ・ファーガソン・ボーウェン卿により九龍サイドの尖沙咀(チムサーチョイ)に設置された。現在その役割は、天文のほかに気象・気候・地震・海洋や放射能測定、時報など多岐にわたり、その業務の範囲は日本の気象庁、国立天文台、情報通信研究機構などの業務をミックスしたものに匹敵する。天気予報および香港各報道機関への天気予報配信等の業務も行っているので、「香港気象台」というイメージが強い。香港の公式な気温や湿度などは、この香港天文台の敷地内で観測された数値かと思いきや、旺角(モンコック)のキングスパークで観測されたデータだという。
香港天文台の建物も歴史的建造物だが、普段は一般に公開されていない。しかし、年に1度3月23日の「世界気象デー」を記念して開放される。気象、地震などを観測する器材等も展示されている。開放日は世界気象デーの直近の週末なので、その年によって異なる。香港天文台ウェブでチェックしよう。
香港天文台1 香港天文台2
住所:134A Nathan Rd.,Kowloon
電話:(852)2926-8200
ウェブ:http://www.hko.gov.hk

歴史に翻弄され続ける建物
今は不思議なスーパーマーケット 
旧赤柱警察署 Old Stanley Police Station
1859年、香港の開港初期に建設された旧赤柱警察署(赤柱:スタンレー)は、150年以上の歴史を有しており、1983年には歴史的価値の認定を受けている。イギリスが植民地時代最初期の1840年代、スタンレー近海には海賊が多数出没していたため、政府が治安維持を目的に軍隊を派遣したことが警察署の始まりだと言われている。第二次世界大戦中、一時的に日本軍が占領したものの、戦後は1974年まで警察署として使われていた。その後、建物の老朽化に伴う修復作業が行われ、1990年以降は民間企業がテナントとして入っている。かつてレストランとして使われていたこともあるが、現在はローカルのスーパーマーケット「Wellcome」の店舗となっている。売っているものは一般のWellcomeと変わりないが、ニス引きの床や石の階段なども含め建物内部の間取りを往時そのままに使っているので、スーパーマーケットとしては、少々不便。しかしながら、古い博物館のような不思議な空間で、他では味わえないお買い物ができる。
歴史的に価値がある当建造物の保存方法については、国内でも様々な意見があるため、香港政府の今後の動きも注視していきたい。

住所:88 Stanley Village Rd.,Stanley

 

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