春節特集3・アジアの旧正月事情

2014/01/06

民族色の競演!それぞれの文化の違いが面白い!

アジア各国旧正月事情

同じ旧正月といっても、風習によって各自ユニークで魅力的な独自の旧正月を作り上げてきた。
韓国をはじめ、沖縄・シンガポール・インドネシア・タイなどのアジア圏同士の国民たちがどんな正月を過ごしているのだろうかクローズアップしてみよう。

 

韓国

韓国人が教えてくれた!本場の韓国の旧正月事情

食材と調理方法にこだわる伝統韓国焼肉屋「梨泰園」は、韓国人オーナーである金氏が経営している。焼肉以外にも心得のある彼女に、韓国の旧正月事情を伺ってみた。

九節板(クジョルパン)

韓国でも中国暦の旧正月が正式なものとされています。平日どれぐらい忙しい人でも実家に戻るほどです。初詣にあたる言葉はありませんが、皆は「セへボクマニバドゥセヨ(福をたくさんもらってください)」と挨拶しますね。

大晦日の夜から、皆友人を自宅へ招待するために料理を準備します。定番の料理はトックックです。トックックは、トックと呼ばれる白い棒状の固い餅を斜めにスライスして、牛肉を煮込んだ出汁に入れて食べるスープです。地域によっては、大人のこぶしほどの大きさの餃子を入れたりもします。新しい1年に新しいスタートをという願いも込められ、またそのもちもちする食感も団円を意味するため、旧正月には欠かせない料理です。

オーナーの金さん

もう1つはマンドゥ。中国の元宝に近い形にされる餃子のマンドゥは、1家族は1レシピを持っていますが、メインの食材は豚肉、干し豆腐、玉ねぎとモヤシ。「福を包んで食べる」という意味があります。

旧正月にはパーティーもたくさんやりますね。よくパーティーや重要な場合に出される伝統料理の九節板(クジョルパン)は人気があります。きゅうり、チキン、人参、卵などの食材を選定し、調理して細長く切り、「五味五色」というルールで八角形の器に入れます。そして北京ダックのようにクレープのようなチヂミで包んで食べます。香港の韓国レストランでも珍しいですよ。当店で出している九節板のチヂミはお祝いの雰囲気をさらに作り出すために、緑と黄色を使用しています。ぜひご賞味してみて下さい。

梨泰園 Itaewon Korean Restaurant
住所:G/F., Kiu Fung Mansion, 18A Austin Ave., TST
電話:+852-2375-0303

 

タイ

タイ在住歴3年半の日本人に聞いた
本場のタイの旧正月事情

定評のあるヘアサロン「家紋」に在籍している日本人スタイリスト杉山氏はタイに3年半暮らしていたという。話を耳にした編集部が、彼の高い技 術を受けながらタイの旧正月事情を聞いてみた。タイの水掛祭り

タイの旧正月は、「ソンクラーン」と言われ、水掛祭りとも言われます。それは「チャントラカティ(タイの旧暦)」の新年です。だいたい4月頃ですが、今はタイ政府によって4月13日~15日に固定されていますね。でも2013年は交通緩和のために12日も急遽休日になりました。そしてバンコク市内など、祭典を行う場所が決まっています。

タイの旧正月

どうして水掛祭りと言うと、元々は新年のお祝いで家族全員が集って一緒に仏像のお清めをしたり、年輩の家族のお清めをする期間でしたが、後に単なる水の掛け合いに発展しました。水の掛け合いには水鉄砲が使われます。道行く人に水を掛けたり、ピックアップトラックの積み荷部分に水の入ったドラム缶を載せ、町中の人に水を掛けてまわっています。また、水を積んだ対向車同士での派手な掛け合いもよく見られますが、事故になりやすいため、今はもうバイクに乗っている人に掛けることは禁止されています。この水掛けは全国で行われていますが、北部のチェンマイにおける水掛けが最も派手だそうです。

水のほかに、「ティンソアポーン」という白い粉を人や自分の顔に塗ったりもします。でも、2013年から白い粉は禁止されました・・・。お店に関しては、大きい店は開いていますが、閉まっているところが多いです。

家紋Hairsalon家紋Hairsalon
住所:12/F., Radiant Center, No.7 Connon St., CWB
電話:+852-9021-6117

 

 

 

シンガポール

新年明けまして「ローゴーフンサンスイヘイ」!

撈起魚生

中国系住民が約77%を占めるシンガポールでは、旧正月は盛大に祝われる。マリーナ湾では花火を打ち上げるほかに、ことにチャイナタウン周辺は、毎夜様々な行事が行われる。その前後約1ヵ月のあいだ、シンガポールはどこでも旧正月一色。レストラン・ホテル・デパートなど街の至るところがカラフルな正月飾りで彩られ、見ているだけでも楽しめる。

ここの旧正月に必ず食べる料理といえば「撈起魚生」だ。サーモンなどの生魚に、大根・にんじん・レタスなどの野菜、ソースやオイルを混ぜる海鮮サラダの一見平凡そうな料理だが、ユニークなのはその食べ方。食材は一品ずつ大皿に載せていくのだが、そのとき一緒に「縁起のよい言葉」をかける。たとえばオイルを入れる時は「萬事如意」(すべてが思い通りにいきますように)、ライムなら「大吉大利」(幸運が訪れ、繁盛しますように)というように。すべての食材を載せたあとは、テーブルを囲んでいる全員で、「撈起!撈起!撈個風生水起(ローヘイ!ローヘイ!ローゴーフンサンスイヘイ!)」(1年の運がよくなるようにという意味)を口にしながら、グシャグシャかき混ぜる!テーブルが汚れるというより、心配するのはほかにあるではないか…ぜひ地元の人のように大胆に混ぜる魚生を楽しんでみよう!

花火も上がるお参りはもちろんシンガポールで最も人気(?)のあるお寺「観音堂」へ!大晦日の日には身動きできないほどの人で埋めつくされ、警察も出動するほど混み合うため要注意だ。

観光客ならではの楽しみ方もあるらしい。ホテルのなかには、旧正月(中国正月)当日に赤いポチ袋とみかんを客室に届けるところもある。また、レストランでは長い黒髭に冠飾りを被り、赤い衣装をまとった富と幸運の神様がテーブルをまわっている。食事客にポチ袋を手渡しつつ気軽に記念撮影に応じてくれるサービスを行っているので、もし訪れた際はぜひ気軽に声をかけてみては。

 

 

インドネシア

民族色彩が実に濃い!元宵は団子を食べるだけではない!

お祈りをするインドネシアでも正月といえば、太陽暦のそれよりも中国語で春節、インドネシアではイムレックと呼ばれる中国歴の正月の方を盛大に祝う。中国では旧正月前に服を新調する文化があるが、インドネシアでも旧正月前の1ヶ月はセールシーズンとなり、特に華僑が多い中華街では旧正月グッズが販売されたり、ドラが鳴ったり、獅子舞が踊ったりと正月ムードが高まっていく。

中国系の人は家族で集まったり中国寺院をお参りしたりして、新年を迎える。繁華街やショッピングモールなどでは中国伝統芸能にちなんだイベントが盛りだくさんで賑わうが、最近は前後に数日休日をとり、家族で海外旅行をする人も。

元宵節(Cap Go Meh)また、首都ジャカルタでは旧正月を締めくくる「元宵節(Cap Go Meh)」という祭りが開催される。中国系以外の様々な民族が参加し、精霊の憑依を促す儀式や雄鶏を生贄として神様へ捧げるという、プリミティブでやや刺激的な儀式も行われる。

今では普通に祝える旧正月だが、実は1960年代、当時のスハルト政権の、中国的なものを社会から排除するという政策により、多くの中国系住民がインドネシア国籍を取得するためにインドネシア風に改名することを余儀なくされたり、中国式の旧正月が犠牲となった時期があったのだ。しかし長い歳月を経て、2001年禁止が撤回され、さらに旧正月が国民の休日と認められるに至り、ようやく中国式の旧正月が復権。公にも盛大にこれを祝えるようになったのだ。

 

 

沖縄

おせち料理ではなく、オードブルで祝う?!

シーサー本土復帰前に琉球政府によって「新正月一本化」が推奨され現在新正月が主流となっているが、一方で神仏への御願のために旧正月と新正月の両方を祝う沖縄家庭もまだある。特に糸満市などの漁業の盛んな地域は旧暦が色濃く残り、旧正月元旦の早朝、漁港では縁起物の大漁旗がなびき、家庭では御馳走が振舞われハレの日を祝う。

食事の方は、本土のお節料理のように正月料理で特に決まったものはなく、地域によって異なる。一般的には、年の夜にソーキ汁を作り、年越しをし、正月には縁起の良い料理や豚肉を中心に盛り付けて出す。田芋や昆布にソーメンは縁起が良いとされ、正月には欠かせない。また、スーパーや惣菜屋でオードブルを買ってくるのが多いらしい。正月だけでなく、盆や清明祭(シーミー)その他のお祝い事などでもだいたいオードブルが多いそうだ。

正月の飾りものも門松やしめ縄はなく、門口やかまどには若松をさし、神棚や床の間、仏壇には若木、松、竹、マキ、大根の花などを生けて正月を迎える。また、かまど、仏壇、神棚には、黄・赤・白の色紙を重ねた上にミカンやダイダイをのせ、それに塩を添えて飾る。この色紙の意味は黄色は黄金、すなわちお金持ちになるようにとの意味。赤は血の色、すなわち健康であるという。そして白は無垢、すなわち運が開けるようにの意といわれている。

 

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