特集「香港でEcoを考える」3

2016/05/09

三菱電機企業として、節電、リサイクルに取り組む

駅の節電省エネ
日本での実績を香港のEcoに活かす!

三菱電機(香港)S-EIVシステム
※S-EIVはStation Energy Saving Inverterの略
三菱電機(香港)の社会インフラ事業部が取り組んでいるS-EIVシステムについて、紹介したい。「S-EIVシステム」とは、鉄道車両がブレーキをかけた時に発生する余剰回生エネルギーを利用して、インバータにて電圧を変換後、駅舎内の照明や空調、エレベーター・エスカレーターまたエアコン等へ電力を供給すれば節電が出来、駅舎全体としての省エネ化に貢献すると共に、電気代の大幅な削減にも繋がるという仕組みだ。
その節約出来る電力は、年間で230,000kw/h。これは電気料金に置き換えるとHKD27万、つまり日本円で年間約400万円の節約に繋がるのだ。さらにこれは1駅あたりの金額であり、今後順次、MTR11路線102駅に導入される事になれば、その効果は計り知れない。また、地上・地下の変電所にもS-EIVシステムを導入し、活用の場を拡げていく予定だという。
今回、香港にS-EIVシステムが導入される事に至った経緯としては、東京メトロの東西線妙典駅で、既に2年間の利用実績があり、確実に節電・節約の効果も出ている事から、今回香港の地下鉄に紹介される運びとなった。
三菱電機現在、香港では今年2月から6月中旬までの約4か月間、試験的にS-EIVシステムが導入されており、その結果を見て順次、香港MTR地下鉄各駅に導入していく予定だ。
様々なエコに対する取り組みを、積極的に実施している三菱電機(香港)。今後もその動向から目が離せない。

三菱電機
三菱電機(香港)有限公司

住所:20/F Cityplaza One, 1111 King’s Rd., Taikoo Shing
電話: (852)2510-0555
ウェブ:www.mehk.com

三菱電機
米ぬかでECO

米ぬか石鹸香港に自社精米所を持ち、産地や農家にも拘った日本産米を、注文後に精米、配達している「三代目 俵屋玄兵衛」では、精米の際に出る「米ぬか」(1kgのお米から約100gの米ぬかが採れる)を捨てず、エコな取り組みをしている。

❶「米ぬか石鹸」に加工
添加物を一切使用せず、天然オイルと俵屋の安全米ぬかで米ぬか石鹸を作製。使用者からは、「ぬかの匂いがするかと思ったが、やさしい石鹸の香りだけだった」、「泡立ちも問題なく、お肌によいとのことで安心して使っている」と喜びの声が。
❷米ぬかを無料提供
希望者には米ぬかを無料で提供している。ぬか漬けを作る方やガーデニングをする方がもらいにくるそう。お米と一緒のお届けもOK。

米ぬか他にも、米ぬかには下記のようにたくさんの効能がある。
<美容効果>
洗面器のお湯に米ぬかを入れて洗顔すればお肌がつるつるに♪
<健康食品として>
米ぬかにはビタミンB群、ビタミンE、ミネラル、食物繊維などの栄養素がバランスよく含まれている。ハンバーグやクッキーなど様々な料理に混ぜてみるのもおすすめ。
<ぬか床として>
「ぬか漬け」はビタミンB1が豊富で栄養価が高い。
<アク抜きとして>
ほうれん草や里芋、タケノコのアク抜きに、米ぬかを入れて茹でると、米ぬかのカルシウムとほうれん草や里芋に含まれるアクの成分とが結合して、エグみを抑えてくれる。また、米ぬかの旨みが加わることでエグみを感じにくくする効果も。
<食器洗の洗剤やワックスとして>
鍋に直接米ぬかをふりかけて洗えば、中に含まれる脂肪分が脂汚れを落としてくれる。美肌成分があるので手荒れせず美しい手を保つことができる。また、ワックスのような効果もあるので、床や家具のお手入れにも◎。
<漂白用途として>
米ぬか米ぬかには漂泊作用があり、大根をゆがく時に米ぬかを使うと、真っ白で食味が良くなる効果が。また、ふきん等の漂白剤としても利用できる。
<廃油の処理として>
ビニール袋や牛乳パックに米ぬかを入れて廃油を注ぐだけ。ぬかが廃油を吸ってくれ楽にごみ出しできる。
<肥料として>
家庭菜園やガーデニングの肥料としても利用OK。
★情報提供:三代目 俵屋玄兵衛

三代目 俵屋玄兵衛
香港精米所 三代目 俵屋玄兵衛

電話:(852)6806-1105(日本語)、(852)6127-0737(中文)
ウェブ:www.tawarya.com.hk
フェイスブック:facebook.com/tawaraya.hk

空港全体で取り組むエコ活

「世界で最も“エコ”な空港」を目指す!
香港国際空港Hong Kong International Airport

年間6800万もの人が利用している香港国際空港。
世界の空港の中でもトップ水準の貨物量、発着便数、利用者数、施設、サービスを誇る香港の空の玄関口は今、環境保全対策を促進させるための施設として発展期を迎えている。
巨大空港のエコロジー活動(エコ活)に迫ってみよう!

香港国際空港<CO2(二酸化炭素)削減>
産業革命期後の化石燃料の利用増加、森林伐採が原因で増加の一途を辿っているCO2の排出量。香港でも年間46.04百万トン(2013年)を排出しており、地球温暖化は他人事ではない。そんな中香港国際空港は、2014年・2015年度にCO2の排出量をなんと2008年と比べて22.4%減させることに成功! 空港内で使用する車両をEV(電気自動車)化させたり、空港内電気のLED化させたり、駐機中の航空機が稼動させる除動力装置(Auxiliary Power Unit: APU)を稼働制限させたりと、コツコツかつ大規模に対応を推し進めた結果が数字として表れたと言えるだろう。

●空港内を走る車両を電気自動車にせよ!
エコ活として一番に挙げられるのは空港内の車両対策。空港内には様々な車両が走行しているが、AAHKは2017年7月までに空港内すべての自動車をEVにすることを発表した。まさに「やるからには全力でやる」香港人気質の表れのような目標だが、実際に2013年には37台だったEVが2015年6月には43台まで増加しており、さらに30台の顧客輸送用バスと4代の空港スタッフ用バスについてもEURO V排出基準をクリアした車両を導入済み。身近なところから始めた結果がCO2削減量に繋がっていると言えるだろう。

香港国際空港●空港のLED化
空港内で使用する電力もまたCO2排出の原因の1つだ。同空港ではその対策としてより消費エネルギーが少ないLEDライトを約100,000点設置し、年間1,820万kWhのエネルギー消費を削減することに成功している。これは当初の予定1,500万kWhを約20%も上回る結果となり、11,500トンのCO2排出量に相当するというから驚きだ。LED化は家庭内でもできるCO2対策としてここ数年日本でも話題となったが、大規模な空港ならではの劇的な削減結果となったようだ。

●航空機から始めるエコ。APUってなに?
APUとは、航空機の各部に圧縮空気や油圧、電力を供給するためにメインエンジンとは別に搭載された小型エンジンのことで、航空機尾部に設置されている。よく駐機中の飛行機のおしりの部分に陽炎のようなもの見えることがあるが、あれはAPUが稼動するために排出された熱が原因によって起こる現象だ。航空機は駐機中であっても機内の照明や空調のために電力を消費し、それを担うのがAPUだが、APUは地上電力設備よりもCO2を発生させるため、稼働開始を航空機毎に可能な限り遅らせることがCO2削減につながるとされていた。
そんな中、AAHK(香港機場管理局)は2014年12月に駐機中のAPUの利用を制限する対策を発表した。電力効率がよく、また排出されるCO2も少なくすむ地上からの電力供給設備をAPUの代替とすることを発表し、またその一環として地上設備の強化を実施。大量の航空機が集まる国際空港ならではの対策として注目を集めた。

分別<ゴミのリサイクル>
エコ活と言えばゴミのリサイクル。空港内で見かける分別ゴミ箱は街中で見かけるオレンジ色のゴミ箱より細かく分別がなされているが、実際のリサイクル状況はいかに?もちろん再利用の手順が取られているものの、そのリサイクル率は12.2%(約3,000トン)とまだまだ低水準の印象。しかし香港機場管理局は2021年までに香港国際空港で廃棄されたゴミのうち50%を再生利用に活かす目標を策定している。ホテルやエアライン配膳業者など17社のビジネスパートナーと協力し食品廃材を始めとしたゴミの削減・再利用を推進中だ。
2015年に2008年比の削減計画が一旦終了した香港国際空港では、現在次なる5年、20年の削減目標を策定するため、タクスフォースを設置し、現在策定のための調査を実施中。巨大な空港だからこそ取り組み次第では得られるリターンも大きいはず。今後もエコ活に精力的に取り組む香港国際空港から目が離せない!
分別

香港国際空港(Hong Kong International Airport)
ウェブ:www.hongkongairport.com/eng/index.html

香港国際空港在香港日本人のエコ参加について聞いてみた
今回の「Eco 特集」にあたり、PPWの周辺で在香港日本人の方達にシンプルなアンケートで、そのエコ参加意識についてと、香港のエコ活動に関してどう感じているかを伺った。

〈質問項目〉
❶香港でエコに関して、何か意識あるいは実践していることはありますか?
❷日本でエコに関して、何か意識あるいは実践していたことはありますか?
❸日本と香港では「エコ」に関して、何か違いを感じることはありますか?

「エコバッグの持参」(約9割)が最も多く、その他「洗剤は極力詰め替え用を購入」(40代・女性・主婦・在港年数:1年)、「洗剤や、シャンプーの詰め替え用があまり売っていないため、大容量サイズを購入し、小分けにして使っている」(20代・女性・主婦・在港年数:1年弱)と、細かな配慮を心がけている方も目立った。
逆に「ありません」という回答も。しかし同じ回答でも理由は「時間的・精神的に余裕のない生活を送っているので、環境や資源のことにまでなかなか意識がいかない」(30代・男性・会社員・在港年数:6ヶ月・在中国年数:1年6ヶ月)という方から、「香港全体があまりエコについて実践していないからだと思います。今後、香港でエコの認識を高められる事業を始めたいと考えています」(40代・男性・サービス業・在港年数:15年)という興味深い回答まで様々だった。
植物❷日本では「ゴミの分別」は行政レベルで徹底しているため、これはもはや「常識レベル」という印象だ。また、「エアコンの設定温度に気をつけ、節電を心がける」「クールビズ」なども一般的。更にということでは「マイ箸の持参(割り箸を使わない)」(30代・女性・主婦・在港年数:3年)。「ハンドタオルを持ち歩いて、トイレなどで備え付けの紙は使わない」「贈り物の簡易包を控える」(40代・女性・主婦・在港年数:1年)など女性ならではの細やかさが目立った。
❸日本と香港の「エコ」に関する違いという点では、「まだまだ香港のエコ意識は低い」というのが大方の印象のようだ。特にオフィスや店舗の冷房に関しては「エアコンはもっと温度設定高くてもいいのでは?と常に感じます」(20代・女性・主婦・在港年数:1年半)、「クーラーかけて厚着は・・・・」(30代・男性・ライター・在港年数:11年)と、多くの日本人が「文化の違い」を越えて疑問を投げかける。
「食」に関しては、「エコは『ケチ』や面倒と考えている人もまだまだ多い。特に食に関する無駄は多い」(40代・女性・市場開発・在港年数:16年)という感じ方もあるかと思えば、「香港はまだエコに対する認識が足りないと感じますが、外食で残った食事を持ち帰り出来るのは大変よいことだと思います」(40代・男性・サービス業・在港年数:15年)、「レストランなどではどの店も食べ残したものを持ち帰れたり、「もったいない」という意識はとても高いと思うので、こちらも環境が整えば活動はしっかり広がりそう」(40代・女性・主婦・在港年数:1年)という意見も。
エコロジーは地味でもコツコツと持続することが大切。ここ香港でも、そうした意識が「常識」として定着することを望まずにはいられない。

アンケートにお答えいただきました皆様、ご協力ありがとうございました! PPW編集部

香港国際空港
検査

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