牡蠣特集　Part 3 - 特集投稿

2013年5月に上環（ションワン）エリアにオープンして以来、絶大な人気を維持し続ける「Trattoria Queen Hollywood」。このイタリアンレストランを営むのが、日本人シェフ・片平 琢磨氏だ。日本の発酵文化とイタリア料理の技術を融合させ、昼はパスタなどのシンプルなレギュラーメニュー、夜は日替わりの創作メニューの展開で、いつ行っても大満足な味を提供している。料理酒に獺祭（だっさい）を使うことで有名。また、3年前から、ここ香港で農園を営み、自らの手でオーガニック食材を育てるなど、お店で使用する食材には惜しみない愛情とこだわりを注いでいる。今回、そんな片平シェフに、牡蠣に関する知識と、家庭でも再現できる牡蠣レシピを教えてもらった。

シェフ
片平 琢磨（かたひら たくま）
1979年大阪生まれ。高校中退後、喫茶店に勤めたことをきっかけにイタリアンシェフの道へ。その後、大阪にて自身の店を構え、7年間経営を行なう。出資者であった社長から香港進出の提案を受け、2013年に来港。同年5月に「Trattoria Queen Hollywood」をオープンし、今に至る。香港在住7年目。

Trattoria Queen Hollywood
住所：G/F., 258 Hollywood Rd., Sheung Wan
電話：(852)2559-6077
時間：月 ディナー 19:00～23:00 火～土 ランチ 12:30～15:00、ディナー 19:00～23:00、日休
ウェブ：www.queenhollywood.hk
フェイスブック：Queen Hollywood

PPW：「Trattoria Queen Hollywood」では、どちらの牡蠣を使われていますか？
片平氏：日本の業者さんを通して、北海道厚岸（あっけし）の剥き牡蠣を仕入れています。

PPW：どうして厚岸の牡蠣を使われているのでしょう？
片平氏：いろんな産地の牡蠣を食べましたが、個人的に、厚岸の牡蠣が一番好みの味だったというのが理由です。三重県や福岡県など代表的な牡蠣の産地は様々ありますが、北海道厚岸のものが肝までクリーミーで、バターやオリーブオイルによく合いますし、揚げても美味しいんです。身も大きく、「Trattoria Queen Hollywood」で提供する料理にも合うので、こちらの牡蠣を使っています。時期に関係なく、年中、安定した仕入れができる点も助かっています。

PPW：家庭用に使う牡蠣は、どこで購入したらよいですか？
片平氏：「c!ty’super（シティスーパー）」には、生食用牡蠣のカウンターがあって、日本や欧州などあらゆる産地のものが揃っています。いろんな牡蠣を食べ比べられるので、好みの牡蠣を見つけるのにはもってこいですね。

PPW：美味しい牡蠣の見分け方を教えてください。
片平氏：牡蠣は開けてみないとわからないというのが正直なところです。ただ、殻を叩いてみたときに、軽い音がするものはおすすめしません。身に関しては、形が崩れていたり、透明になってしまっていたり、しぼんでしまっているものは、あまり美味しくないですね。白くぷっくりとした、綺麗な形を保っているものを選ぶと間違いないと思います。

PPW：その他、牡蠣に関する豆知識などがあったら教えてください。
片平氏：寿司に使う、内臓を取り除いた貝類以外で、生で食べる貝は牡蠣だけと思われている方も多いと思いますが、実は、あさりやムール貝など、他の貝類も生で食べられます。イタリアで、生のムール貝を食べたことがありますが、牡蠣ほど美味しくないですね。牡蠣が生で食べられる理由は、ただ美味しいから！これに尽きます(笑) それと、牡蠣には、「生食用」と「加熱用」があります。「生食用」は、日本の保健所が定めた雑菌などが少ない指定海域で養殖され、更に、水揚げ後にも、24～72時間の紫外線殺菌海水による浄化処理を行ない、牡蠣の体内に入ってしまった雑菌などを排出させたものをいいます。「生食用」が100％安全とは言い切れませんが、「美味しいけれど、あたるのが怖い」という理由で、牡蠣を避けている方もいらっしゃいますので、ぜひ「生食用」を（念のため）加熱してトライしてみましょうとお伝えしたいです。

PPW：余談ですが、「Trattoria Queen Hollywood」は、お料理に日本酒の獺祭（だっさい）を使っていることで有名ですが、これには何か特別な理由があるのでしょうか？
片平氏：質の高い調味料を使うと、料理の味がグッとよくなります。料理酒でも料理用ワインでも、それ自体が美味しくないと、いくら入れても、料理は美味しく仕上がりません。なので、お好きな日本酒を料理酒として使ってみることをおすすめします。料理も、お好みの味に仕上がるはずですよ！　個人的には、獺祭の味が好きなので、レストランのメニューには惜しみなく使うようにしています。