子育て・教育特集 Part 1

2021/06/23

P14-15 Children Bearing Education 731

 

P14-15 Children Bearing Education 731

スクリーンショット 2021-06-22 095722 新しい命を授かってから真っ先に決めたいのが、公立・私立どちらの病院で出産するかということ。香港は医療制度が充実しており、香港IDを保持していれば、公立病院にて低額で妊婦検診を受けることができる。私立病院は公立に比べて出産費用は高額だが、検診の待ち時間も少なく、個々への対応もスムーズなのが魅力。出産前はパートナーも宿泊できる等、出産につきまとう不安材料も軽減できる。海外での言葉の問題も日本語対応の私立病院を選択すれば安心だ。
 公立病院の場合、妊婦検診は基本的に1カ月1回のペースで、香港内に点在する「母嬰健康院」という場所で行われる。検尿、体重測定、血圧測定に加え、問診がある。検診時間は予約によって決められているが、待ち時間が長く、受付から診察終了まで3時間程かかる場合もある。特に異常がない場合は、この母嬰健康院にて妊娠後期まで検診が行われ、後期になると回数も増加し、医師の診察等も受けられる。

 

P14-15 Children Bearing Education 731

スクリーンショット 2021-06-22 095749 香港が子育てをしやすい場所と言われる理由の一つに、共働きが基本であり、それを取り巻く制度が充実していることが挙げられる。香港のワーキングママには14週間の産休があり、一般的に出産予定日の2週間前から産休入りし、産後2カ月で職場に復帰するケースが多い。14週間の産休の前提として、その職場にて40週間以上働いている必要があり、それより短い場合は産休取得は可能だが、無給扱いとなる。法律によって妊娠を理由とした解雇は禁じられており、会社によっては産休後、更に数カ月の無給休暇を認めているところもある。また、男性の場合でも5日の「侍產假」(育児休暇)を取得できる。香港では、ママたちが家庭と仕事を両立できるよう、サポートしてくれる外国籍のヘルパーさんがいる家庭が主流となっている。

 

P14-15 Children Bearing Education 731

香港の教育制度

 香港の学校は9月に始まり、翌年7月までで1年となる。2学期制になっており、第1学期(上學期)は9月から1月まで、第2学期(下學期)は2月から7月までとなっている。学制改革により2009年度から実施された「新教育制度」は、義務教育の9年間を維持し、中等教育後期課程を3年、大学を4年とする「六三三四制」と呼ばれ、日本と同じ。

 

P14-15 Children Bearing Education 731 Pre-Nurseryは日本で言う保育園、2歳から入学できる幼稚園の入学予備クラスだ。香港の幼稚園は2歳8カ月から入園可能で、3年後に小学校へ進学する。現在、香港政府は學前教育學券計劃(教育バウチャー制度)を実施しており、これにより保護者への授業料負担を減らしている。

 

 

 

 

 

 

P14-15 Children Bearing Education 731 公立と私立に分れ、希望校に入学申請書を提出し、面接等を経て合格者選定が行われる。競争が熾烈な為、第一志望以外にも第二、第三と選定する必要がある。すべての志望校に合格できなかった場合、政府によりコンピューター抽選で学校が決定される。

 

 

 

 

 

 P14-15 Children Bearing Education 731 公立・私立が存在し、基本的に中高一貫教育。「Banding(偏差値)」により「EMI」(中国語と中国史以外は英語で授業)と「CMI」(英語以外は中国語で授業)に振り分けられる。大学への進学率は毎年変動し、中学6年になると大学進学希望者問わず「DSE」(香港教育証明書試験)を受験する。

P14-15 Children Bearing Education 731

 

 

 

 

 

 DSEの受験結果は基本的にJUPAS(Joint University Programmes Admission System)というシステムによって大学への選抜が行われ、受験者が事前に登録した志望大学・学科リストから大学・学科とのマッチングが行われ、限られた入学者枠が有効に使われるよう、受験生1人につき一つの大学・学科から入学通知書が届く。香港は世界的に見ても競争の激しい都市であり、2021年の国際高等教育評価機関であるQuacquarelli Symonds(QS)による世界大学ランキングによると、UGC(大学助成委員会)が資金提供した8つの大学のうち5つ(香港大学、香港科技大学、香港中文大学、香港城市大学、香港理工大学)が世界のトップ100にランクイン。仮に大学に進学できなくても、大学付属の「副學士」(Associate Degree)や「高級文憑」(Higher Diploma)等、様々なコースを選ぶことが可能。

 


 

P14-15 Children Bearing Education 731 香港人は生まれながらにして競争社会に入ると言っても過言ではない。なかには子供を早く幼稚園に入学させる為、出産日を綿密に計算するケースも(香港の幼稚園には8月30日(新学期は9月1日から)以降に生まれた子供を入学させない学校もある)。良い学校へ進学させる為に未就学児の時からプレイグループに入れたり、習い事をさせる。習い事が多いかどうかも一つの進学基準となっているのだ。香港では受験戦争が加速しているが、子供の性格や能力を見極めた上で、より最適な教育環境を選ぶことに目を向けてみてはいかがだろうか。

 

 

続きアイコン

 

Pocket
LINEで送る