肉特集 PartⅢ 荏原食品香港 Director 五藤 正道さんに聞く!『香港における「焼肉のたれ」の軌跡』

2020/07/01

荏原食品香港 Director 五藤 正道さんに聞く!

『香港における「焼肉のたれ」の軌跡』

1960年代、当時まだ家庭に馴染みの少ないメニューであった焼肉。
その焼肉を瞬く間にお茶の間に広めたのが、エバラ食品の「焼肉のたれ」だ。
「エ・バ・ラ、焼肉のたれ~♪」というサウンドロゴが記憶に残っているという方も多いことだろう。
実は、ここ香港でも「焼肉のたれ」が流通し、香港の皆さんの間でも人気を博している。
そこで、荏原食品香港の五藤(ごとう)さんにインタビューを行なった。

 

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事業紹介および歴史について

PPW:エバラ食品グループ全体のお話、そして、2012年に香港に進出したきっかけを教えてください。

五藤さん:エバラ食品は1958年、業務用のソースやケチャップなどの製造販売から始まりました。おいしいものをさらにおいしくする調味料、あったらいいなという調味料を食卓にお届けしたいという思いは、1968年の「焼肉のたれ」、1978年の「黄金の味」、1991年の「浅漬けの素」、2013年の「プチッと鍋」など、それまでなかった商品を生み出し、日本の食卓に新たなおいしさと楽しさを広げてまいりました。荏原食品香港有限公司は2012年に、日本で製造した商品の販売拠点として設立しました。香港はその歴史的背景から、世界の多様な食文化が浸透し、日系外食チェーンも盛んに進出しています。それだけに外食産業やメーカー間の競争は激しいですが、日本食の需要増加が進む中、市場拡大のチャンスがあると考えました。また、当社の「焼肉のたれ」が商社を通じて輸出され、すでに香港市場に浸透していたことから、現地法人を設立することで香港のユーザー様に対して様々な提案が可能になると判断しました。

 


香港でも大人気!「焼肉のたれ」にまつわるお話

黄金の味_360 中辛PPW:「焼肉のたれ」は、どのようなこだわりを持って生まれた商品なのでしょうか? 時代に合わせた工夫なども併せてお聞かせください。

五藤さん:「焼肉のたれ」は外食で人気だった焼肉に着目し、焼肉を一般家庭に持ち込めないものかと考えて開発しました。当時の焼肉は主に豚肉が使われていましたが、その頃の豚肉は固く、独特のにおいが強かったため、焼肉店では肉を油や調味料に漬け込んで食べやすくしていました。当社では、庶民的で繁盛しているお店の味を参考にして試行錯誤を重ね、肉を漬け込んでおいしく食べるための調味料として、1968年に「焼肉のたれ」を発売しました。

 「焼肉のたれ」発売から約10年が経過する中で、肉質の向上とともに、お客様の嗜好が変化し、肉をたれに漬け込んでから焼く“漬け込み”から、肉そのものの味を楽しむ“素焼き”という食べ方に変わってきました。また、育ち盛りの子どもが肉をたくさん食べられるよう、飽きのこない甘さを追求した結果、塩分を抑えると同時に、まろやかでさわやかな甘さを出すためフルーツをふんだんに使う手法にたどり着き、1978年にフルーツベースの焼肉のたれ「黄金の味」を発売しました。

 「焼肉のたれ」「黄金の味」ともに、発売後もお客さまの嗜好に合わせ味の微調整はしておりましたが、2017年「さらに愛され続けるブランド」へと進化することを目指して、「黄金の味」の大幅なリニューアルを行ないました。一番大きな変更点は、原料の約3分の1に使われているリンゴピューレの改良です。生産工程を見直すことでとろみを約2倍に高めることに成功し、果実の自然なとろみとコクをアップさせた「黄金の味」が完成しました。

 


海外市場向けの工夫や改良

PPW:香港における消費量や、その変化を教えてください。なお、お肉にまつわる多種多様なラインナップがありますが、日本国内での評価と海外での評価の違いなどございますか?

五藤さん:日本を訪れた際に食べた焼肉や、すき焼きなどの日本食を香港でも味わいたいというお客様(店舗オーナー様)に向けて、当社商品を使って“簡単においしく作ることができる日本の味”をご提案しています。

 香港には流行に敏感なお客様や、付加価値への興味・関心が高いお客様が多いと感じていますので、焼肉のたれは、一般的な醤油ベースのものよりも、“フルーツベース”という付加価値のある「黄金の味」を中心にご提案しています。また、香港市場においては日式火鍋として使われることの多い「すき焼のたれ」が徐々に浸透しており、現地法人設立以降、販売実績は右肩上がりとなっています。日式火鍋としてはすき焼き以外にも“とんこつ味”や“トマト味”が人気となっています。そこで、日本市場で販売していた「トマト鍋の素」を改良し、香港でも販売していますが、こちらの商品も発売以降売上が伸長しています。「生姜焼のたれ」や「やきとりのたれ」は茶餐廳でご好評をいただいており、売上が増えております。

 


お肉用調味料の使い方

PPW:御社のお肉用調味料を使ったおすすめのレシピがありましたら、教えてください。

五藤さん:エバラ食品(日本)のホームページでは、当社商品を使った汎用メニューのご紹介をしております。
www.ebarafoods.com/recipe/

 特におすすめのメニューは以下の2点です。この他にも、お肉をおいしく召し上がっていただくことができるレシピを多数掲載しています。

 

「黄金の味」を使用したローストビーフ

ローストビーフ

www.ebarafoods.com/recipe/detail/recipe069.php

「黄金の味」を使ったメニュー提案は香港でも人気!

 

「すき焼のたれ」を使用した牛丼

牛丼

www.ebarafoods.com/recipe/detail/recipe150.php

「すき焼のたれ」だけで味付けが決まる!

 


今後の展望

PPW:今後の展望はございますか?

五藤さん:日本産牛肉や日本食の人気に伴い、荏原香港の売上も伸長しています。今後は、日本発の調味料メーカーとして香港を拠点に、中国華南地区やマカオなどにも“簡単においしく作ることができる日本の味”を提案していく予定です。

 また、新型コロナウイルスによる影響で香港の食生活にも大きな変化が起こっていると感じています。外食市場は依然厳しい状況ですが、内食機会が増加し、家で焼肉やすき焼きを楽しむご家庭が増えているのではないかと考えています。今後もお客さまの動向に注視し、商品のご提案・ご提供を行なってまいります。

 

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ブランドロゴ_英字_赤_クリアスペース確保荏原食品香港有限公司 (Ebara Foods Hong Kong LTD.)
住所:Unit B2-B3, 4/F., Block B, Texaco Rd., Industrial Ctr., 14-22 Wang Lung St., Tsuen Wan
ウェブ:ebarafoods.com

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