創業72年の老舗レストラン復活「美都餐室」油麻地 - その他投稿

「Sayonara(さよなら)」の文字が涙を誘った日から数ヶ月…。
老舗レストラン「美都餐室(ミドーカフェ)」がついに再オープンを果たした。

今年初旬から閉店の予兆が…
1950年の創業以来、72年もの長きにわたり営業を続け、映画やテレビドラマのロケ地としても度々使われた美都餐室。旅行雑誌でも頻繁に取り上げられ、在住者、旅行者を問わず多くの日本人にも親しまれてきた。そんな同店が突如閉店したのが数ヶ月前。コロナの影響で多くの老舗レストランが休業や廃業を余儀なくされるなか、ついにここもか…と香港メディアは大きく取り上げた。
やはり予兆はあった。旅行客が消えたことや集まって食事する機会が減ったことで、今年３月には休業を発表。営業日を減らすなどして7月中旬に再開はしたものの客足は戻らず、閉店直前の頃は昼食どき真っ只中にも関わらずほとんど客がいない、なんていうこともあった。

10年前の記憶
10年ほど前にも突然休業したことがあった。コロナのコの字もなかった2013年のとある日、何の前触れもなく、いつ訪れても休みという日が続いたのだ。のちに分かったことだが、とある客が座席を巡って店員といざこざを起こし、その腹いせに舎弟を使って店内を滅茶苦茶に破壊させたという。後日その犯人は逮捕されたのだが、営業を再開するまでには暫く時間を要するほど店内は荒れていたそうだ。
油麻地という土地柄、そういった物騒な出来事を避けては通れず、72年の歴史の中でこの手のことは何度も経験しているようだが、それでも美都餐室はその度に復活を遂げてきた。

笑顔とともに復活
そんな美都餐室なので、今回もきっと戻ってきてくれるだろうと期待していた。そして遂に復活とのニュース。再オープンから数日後、早速訪れてみると、店内には以前のような活気が戻っていた。店員が忙しなく動き回るなか、久しぶりに訪れた店の雰囲気を写真に収める人、店主と笑顔で談笑する人、みな一様に朗らかな顔でこの空間を楽しんでいる。地元民に愛されてきた長い歴史を少しだけ垣間見ることができた。
旅行客が増え、以前のような活気みなぎる香港が戻ってくるまであと少し。古き良き時代の香港を象徴する老舗店の火がどうか消えずに灯り続けることを願う。

美都餐室
住所：G/F., 63 Temple St., Yau Ma Tei