上環(ションワン)鮨「銀座おのでら」鉄板焼「銀座すみかわ」

2014/08/12

鮨 銀座おのでら

鉄板焼 銀座すみかわ

シェフ

エレベーターを降りるとすぐ目に飛び込んでくる「銀座から世界へ」の書。店内へ一歩入ると、ションワン(上環)の喧騒とは無縁の緩やかな空間は、まるで日本に戻ったような感覚に。銀座に本店を構え、パリ、ハワイに続き香港に出店し、今年中にロンドン、ニューヨークにも出店を予定している鮨「銀座おのでら」。ここ香港では、個室をメインに鮨と鉄板焼「銀座すみかわ」を展開する同店は、音や香りが一緒になることがないよう気配りを施す。その落ち着いた優雅な空間でエグゼクティブ・シェフの斎藤さん、阿部さんにお話を伺った。

6月のオープン以来、忙しい毎日が続いている。客層は香港人が多く、VIPも訪れる。店で提供する料理のクオリティーは日本と同じレベル、もしくは日本以上を心がけているとのこと。「高級店として、美味しい食事は当たり前。そこにどれだけ付加価値を付けられるかが大切。そのひとつがどれだけお客様に食事を楽しんでいただけるかです」と斎藤さん。

「香港人と日本人の客の違いは?」の質問に、まず返って来た答えが「舌」。やはり味付け、好みが日本人とは微妙に違うそうだ。また、香港人のVIPゲストは気さくな人が多く、食事を皆で楽しむ事を好むという。知らない者同士でも会話が弾み、酒を酌み交わすこともしばしば。言葉の壁にはやはり苦労する、そんな時は英・日・広・北京語が話せる頼もしいフロアースタッフが通訳をしてくれるので、安心だそうだ。

寿司

「鮨おのでら」の斎藤さんのこだわりは食材。毛ガニ、イカ、エビなど食材によっては活きたまま空輸。そして、様々な産地から、その時期一番良いものを選んでいる。その多くは北海道産だといい、「北海道」ブランドが好きな香港人には喜ばれるそう。また、ドリンクメニューは決まった銘柄を置くのではなく、四季折々、その時期に美味しいものを厳選。ブランド名に縛られず、様々な商品を仕入れるため、毎回、同じものが店に置いてあるかどうかはわからない。

「鉄板焼すみかわ」では素材が活きるよう、日本と同じ手法で調理される。肉は正真正銘の神戸牛、野菜は日本古来の伝統野菜を使う。なかでも、阿部さんが惚れ込んだ素材のひとつが富士市から仕入れるマッシュルーム。オランダから菌種を取り寄せて栽培されているこちらは身がぎっしりと詰まった肉厚、味が濃く生でも食べられる。このマッシュルームは、実は鮨でも使われている。

鮨と鉄板焼きの店が一緒に営業するならではの強みも。例えばこんなことがあった。寿司を食べに来たゲストにお吸い物か味噌汁かの希望を尋ねるとなんと「コーンポタージュ」のオーダーが!すし職人の斎藤さんには無理な注文だったが、阿部さんがいたおかげで、無事にリクエストに対応することができた。「ジャンルが違うからこそ、お互いに持っていないものを補い合い、そこから学べる。お互いを尊敬し、一緒に働けて光栄。」と語るお二人。

お話を伺った部屋「桜」には、伊勢神宮で使われる檜と同材で作られた一枚板のカウンターが、そして壁には菅原健彦氏の作品「春爛漫」の絵が掛けられている。VIP用の個室では厚さ9センチもある吉野檜がカウンターに使用され、惜しみなく高級素材が使われた店内は供される食事にも引けを取らない。一見の価値ありだ。

店内

鮨 銀座おのでら・鉄板焼 銀座すみかわ
住所:1/F., Hollywood Centre, 77-91 Queen’s Rd. West, Sheung Wan
電話:(852)3568-7788
営業時間:月~土 12:00~14:30、 18:00~23:00 日曜定休
ウェブ:http://www.sushi-onodera.com

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