インドネシア食文化「ナシ・ジンゴ」

2016/06/08

亜細亜の Free Paperから
少量の白飯に甘辛いおかず毎朝食べても飽きない!
From インドネシア食文化
お腹が空いた分だけ食べる、「ナシ・ジンゴ」

バリ人の朝食を作る様子インドネシアの家庭では、日本のように朝・昼・夜の食事の区別がはっきりとない。朝にまとめて何種類かのおかずをつくり、それを1日の間でお腹が空いた時に好きなだけ食べる。夜には野菜炒めなどがプラスされることもあるが、基本的には“食事は家族揃ってするもの”という感覚もあまりない。朝ご飯の食べ方も自由。お腹が空いてなければ食べないし、スナックやお菓子で済ませることもある。一人暮らしの私はというと、朝食を作ってくれる人もいないので毎朝お気に入りの場所でご飯を買ってオフィスで食べている。私のように「道ばた購入スタイル(一人暮らし寂しいスタイル)」のスタッフも実は多い。買うのは決まって「ナシ・ジンゴ」。面白いことに、ナシ・ジンゴは昼間はみかけない。夜遅くから朝にかけてお決まりの道ばたでおばちゃんが自転車をおしたり座ったりしながら売っている。少量のごはんに少量のおかず、主に焼きそばやサンバル(辛味調味料)、鶏肉の炒めものなどが入っている。小腹を満たすのにぴったりのサイズで、値段はRp.4,000(約40円)程度。「ジンゴって何?」と聞いてもインドネシア人も知らないようだ。はじめて聞いたときは、ジンゴさんという朝食の名人が昔々いたのか?はたまた密林が生い茂るジャングルを英語でものすごく発音よく「ジンゴ」と言ってるだけか?とおもったが、ジャングルには程遠いほどのおかず量だ。しかし、ナシジンゴは毎朝食べても飽きのこない最良の朝ご飯。炊きたての白飯と甘辛いおかずは、昼ご飯の食欲を削ぎ落とすこと無く、毎朝私たちを迎えてくれるやさしい存在なのだ。
ナシ・ジンゴ 道ばたで売っているナシ・ジンゴ

文:青松知加 アピ・マガジン編集部
2002年4月バリ島で創刊。2ヶ月に1回(奇数月15日)発行。バリ島を中心に、ジャカルタ、ジョグジャカルタ、スラウェシ島、ロンボク島などインドネシア中の観光情報や最新情報を紹介。地元編集部ならではの土着した生活術、地域密着情報、インドネシア人スタッフと力を合わせ、日々取材に走り回っている。
アピ・マガジン

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