僕の香妻交際日記 第58回 18禁病棟24時

2021/02/10

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 先日、左眼に違和感を覚えた私を見て、これは一大事だと妻がすぐさま香妻日記第55回でも登場した、コロナ禍でも肌が荒れるから手を洗わない医師Dr.ドロシーに連絡をしたところ、精密検査のため私は急遽入院することになった。

 

1.「すぐ終わるから」と強引な女医

 朝9時、Dr.ドロシーのオフィスに入ると、あいさつ代わりにいきなりブスブスブスと注射針を3本(うち1本はミスショット)刺された。なぜですか?とかあれまだ血管が浮き出ていないような…とかそういう私の想いはなんのその、とにかく刺された。そのあと、入院するにあたりCOVID陽性検査を受けなければならないとのことなので検査専用の部屋へ向かったのだが、猪突猛進とはまさにこのことかと、彼女はすでに検査を待っている患者や検査の準備をしている看護師にお構いなく一言「すぐ終わる」と私を強引に空き部屋に突っ込み、彼女自ら私のCOVID検査をしてくれた。

 

2.「私の目を見て」とハードコアな看護師

 朝10時、おそらく病院史上最速で注射3本(うち1本はミスショット)とCOVID検査及び結果報告、入院手続きを終えた私はすでに18階のベッドの上にいた。すると、さっそく今風な顔とメイクでちょっと茶髪なんだけどやたら英語が流ちょうな若い女性看護師がやってきた。しかし、さすがは英語が流ちょうなだけあって彼女の右肩には「私、彼氏いますからそういうのはお断りしています」とでも言わんばかりに彼氏との2ショットの写真がクリップされていた。もうその写真が気になってしょうがない私は、彼女が私の目をチェックしている最中もどうしても目がきょろきょろしてしまったのだが、「Look at my eyes, please」と彼女にちょっと強めに言われてからは彼女の瞳を素直に見つめることができた。

 

3.「また来ちゃった」とツンデレな看護師

 昼12時、自分より若い女性に「私の目を見て」と言われた衝撃と興奮がようやく収まろうとしていたころ、またあの若い看護師がやってきた。相変わらず右肩の彼氏の顔が気になるが、なにやら今度は目薬を5分ごとに計3回うつとのことで、ちゃんと仕事をするために私を訪ねてきたのだった。というわけで1回目2回目それぞれの目薬が終わると「5分後にまた来ます」と彼女は仕事の顔のままその場を去っていった。そして5分後、最後の回に臨もうとやってきた彼女はちょっとはにかみながら「I came again」とようやく右肩の彼氏にも見せたことないような笑顔を私に見せてくれた。

 

4.「もっと強く」と力む看護師

 午後2時、病院の食堂でランチの出前を頼もうとしたが全部高いので躊躇していたところに、またあの看護師がやってきた。相変わらずなんでそんな顔の男と付き合うのか気になるが、今度は突然「私の手をにぎって」となんとも大胆な要求をしてきた。自分は眼の検査で入院していることを考えるとこの要求は仕事なのか、プライベートなのか迷うところだったが、とりあえず言われた通り彼女の白く華奢な手を握った。「もっと強く」。えっ?。「もっと」。えっ、いいの?「うん」…というやり取りが続き、これ以上あなたの手を握り続けたら私の理性のたがが外れてしまう…という私の苦悩に感づいたのか「はい、OKでーす」と突如彼女は私の手から離れた。脳に支障があると手足の動きに影響が出るのでそれを確認したかったんだってー(投げやり口調)。

 

5.「奥さんがいるのに…ごめんなさい」と赤らむ看護師

 午後4時、眼科医からは「特に異常なし」と太鼓判を押されたが、それでも念のため脳のMRIを撮ることに。金属物は一切身につけてはいけないのでマスクすら鼻のワイヤーがないものに取り換えられた。人生初のMRIだったが、検査中は爆睡したため検査に15,000HKDも支払ったのに何の感想もなかったのが何とも情けない。検査後、寝ぼけ眼で預けていたマスクとジャケットを受け取ると、もう一つ肝心なものを受け取り忘れていることにかろうじて気がついた。「(結婚)指輪もあるはずなんだけど…」とスレンダーでストレートの黒髪がきれいな看護師に確認してもらうと「あら、ごめんなさい、気づかなった、ごめんなさい」と香港人には珍しくすごく丁寧に謝られた。「大丈夫、僕も忘れていたくらいだから」と紳士に答え、私はおばちゃんの待つ車いすに乗り込んだ。

 

※この物語はノンフィクションです。劇中に登場する個人名、数字、セリフは全て実在するものですが、それぞれの登場人物に対する表現は筆者自身の妄想に基づいており、実際の人物像とは一切関係ございません。

 


ルーシー龍ルーシー龍(りゅう)

東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。

 

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