僕の香妻交際日記 第59回 あなたなら・・・どちらを助けますか?

2021/03/10

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1. ある激しい雨の日、2匹の子猿を連れた母猿がうっかり足を滑らせて3匹とも濁流に飲み込まれてしまった。母猿は泳げるのだが、兄猿とチビ猿はまだ泳げない。しかし、あまりに激しい川の流れのために母猿はどちらが一方の子猿しか助けられない。
果たして、母猿はどっちの子猿を助けたのだろうか…?

 

2. ミスター李は警察のスパイとして麻薬取引を行うマフィアグループに潜入するも、遂にその身元がバレてしまった。妻と生まれたばかりの赤ちゃんを人質に取られ、マフィアのボスにどちらかをナイフで殺せと迫られる。
果たして、ミスター李は妻と赤ちゃんのどちらにナイフを突きつけたのだろうか…?

 

3. 韓国人の私はその日、父と日本人の妻の3人で登山を楽しんでいた。途中、岩肌に沿って1人ずつでしか通れない細い道を歩いているときに、父が砂利に足を滑らせそこから落ちそうに。父の後ろを歩いていた妻はとっさに父の腕を掴み助けようとしたが、その妻も足を滑らせて父同様に妻も宙ぶらりん状態になってしまった。すぐに助けなければならないのだが、1人を助けている間に横でぶら下がっているもう1人は体力的にもたない。
果たして、私は父と妻のどちらを助けるべきだろうか…?

 

4.ある大富豪の娘が行方不明になり、ベテラン刑事コンビのルイスとショーン、そして若手有望株のニックの3人はそれが臓器売買で国際指名手配されていたタイのマフィアグループの仕業であることを突き止めた。マフィアの所有する工場へ潜入し、人質を見つけることに成功するも、激しい銃撃戦の末、ショーンとニックが捕まってしまう。後から助けに来たルイスは人質を解放する代わりに2人の刑事のどちらかを殺せと迫られる。
果たして、ルイスはベテランのショーンと若手のニックのどちらに銃口を向けたのだろうか…?

 

5.東京郊外にある発電所が大火災に見舞われ、中に取り残された職員たちは中央通気口から黒煙を外に逃すことで消防隊の助けが来るまで凌ぐことができそうだと考えた。しかし、天井が陥落し塞がれてしまった通気口を人力でこじ開けるにはかなりの危険が伴う。現場にはベテランと若手グループの職員がいたが、果たして、所長はどちらのグループを連れて通気口へと向かったのだろうか…?

 

 だいぶ脚色をしてはいるが、これらの5つの話は日本、中国、韓国、香港で私が耳にしてきた人間の価値観のたとえ話が元になっている。価値観の話なので、それぞれの状況でどちらを助けるかに正解はないし、人によって選択肢が異なるのは間違いない。ただ、みなさんの参考程度に私が聞いた回答を一応まとめておくので、改めて人間の価値観や文化の違いについて考えるキッカケとなれば幸いである。

 

1の回答:兄猿を助けた。動物にとって最も大事なことは繁殖すること。兄猿の繁殖能力はチビ猿よりも高い。
2の回答:赤ちゃんを助けた。赤ちゃんには将来があるし、妻もそう望んだ。
3の回答:父を助けた。父はこの世に一人しかいない。妻はまた他の女性と結婚することで手に入れられる。
4の回答:ショーンを助けた。ショーンには妻と小さな娘がいた。一方でニックは独身だった。
5の回答:ベテランを連れて行った。若手職員には生きて会社と日本の未来を背負ってもらう義務がある。

 

 さあ、あなたならどちらを助けますか?

 


ルーシー龍ルーシー龍(りゅう)

東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。

 

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