僕の香妻交際日記 第73回 ヘルパーに出来高給を与える5つの条件

2022/05/09

P16 HK Wife_727香港で人材の採用活動をしていて最もタフなところは給与の交渉である。

前職では月給20000香港ドルだったから次の会社では22000香港ドル行くっしょ!というように面接の時点で昇給を希望する人は多い。

それぞれの求職者はそれなりの経験と自信、そしてそれなりの履歴書を持って面接に挑むわけだが、人事の人間はそれらのアピールを当然鵜呑みにしてはいけない。なぜなら、たとえかれらがどこぞの有名大学を出ていて有名な企業での職務歴があったとしても自分の会社でフィットするかどうかの保証は一切ないからだ。

ただ一方で人事としては一日も早く人材を確保したいのも確かである、人材を採用することが人事の仕事だからだ。

とは言え、前職で月給20000香港ドルだった人間に月給22000香港ドルをはいどうぞと提示してはならない。

エサよりも仕事が先
多くの人間は仕事をする前にエサを欲しがる。それは人間(生き物)の本能だろう。だからエサをくれたら仕事をすると言う。仕事をする自信がある、大丈夫、信じてくれ、だからまずエサをくれと言う。しかし、そうやってエサを先に欲しがる人間に実際にエサを与えてみると十中八九大した仕事をしない。だからまずは仕事をさせることが絶対である。実際に仕事をさせて、本人の能力を証明させてからエサを与えてあげる。それが雇う側と雇われる側の健康的な関係であり、仕事とエサの順番を間違えると大抵上手くはいかない。このことは役職や年齢に関わらず全ての仕事に当てはまり、もちろんヘルパーにも当てはまる。

2022年はヘルパーの価格が上昇傾向
香港のヘルパーの法定賃金は月給4630香港ドルと決まっているのだが、コロナ禍になってからというものこの賃金で雇えるヘルパーは少なくなっている。特に香港はこの2年間入国規制が厳しいので、フィリピンやインドネシア本土からヘルパーを気軽に雇えず、雇用主はどうしてもすでに香港在住のいわゆるローカルヘルパーを探さざるを得なくなっている。ターゲットがローカルヘルパーとなると当然数が限られてくるので、ヘルパーの価値も自然と上がってしまうというわけだ。

基本給+出來高のススメ
それでもよほどな理由がない限り、4630香港ドル以上でヘルパーを雇うのはお勧めしない。前述したように、例えばローカルヘルパーに5500香港ドルを支払ったところでヘルパーのパフォーマンスは変わらないからである。繰り返すがエサを先に与えられた人間は基本的に働かない。

ただ、今は本当に4630香港ドルでローカルヘルパーを雇うのは難しくなっているのは事実なので、そこで代替案として基本給+出来高での契約をお勧めする。

ではどのようにこの「出来高」を設定すればいいのか。以下参考にしてみてほしい。

  1. 明朗快活な態度:挨拶とコミュニケーション
  2. 丁寧な物の取扱い:食器を割ったり、家電などを破壊しない
  3. 食事メニューの改善: 毎週新しいメニューを一つ取り入れる
  4. 時間管理: 寝坊や子どもの学校への遅刻がない
  5. 仕事への向上心:同じミスを繰り返さない

このように5つの項目を設定し、このうちのいくつを達成できたかで毎月の出来高を決めるのである。例えば5つ全てクリアした場合は出来高1000香港ドルが月給に追加。3つ達成した場合は600香港ドルを追加というような感じである。上記の5つを達成できるヘルパーは総じて優秀なヘルパーと言えるので、そのようなヘルパーに対して追加で1000香港ドルを支払ったとしても雇用主としては気分は悪くないだろう。

出来高項目は明確に
出来高を設定する場合に大事なことはゴールを明確に示すこと。そして契約書に詳細を書き込むこと。出来高給とは聞こえが良い一方で雇用主のさじ加減で決まってしまうのではと疑われることがほとんどなので、何をどうすればいくらもらえるのかをはっきりと契約書に記載しよう。そうすることでヘルパーの不安を払拭し、仕事に集中してもらうことができるはずだ。


ルーシー龍ルーシー龍(りゅう)

東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。

 

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