浦島太郎みたいな一時帰国者の話

2024/07/03

浦島太郎みたいな一時帰国者の話

Vol.11: 電話対応とワインの話

サービス業における日本の電話対応の悪さに違和感を覚えた。
先日祝い事があり、一流ホテルのラウンジを予約するべく電話をかけたところ、プロとは思えない低い声のトーンで応対された。「いやぁ、その時間はいっぱいで空いてないっス」というような素っ気ない言い回しに、唖然としてしまった。これが、五つ星ホテルの応対とは・・・。このようなことが立て続けに3回ほど続き、どうした?! サービス立国ニッポン!と、心配となるも、国民がハートフルな状態にいないがためにサービス精神が疲弊してしまっているのでは、と感じた。彼らからは相手を思いやる気持ちを感じることができず、自分都合が優先しているような気がした。それだけ、余裕がないのだ。

筆者が鬼の営業管理職だった時代は「電話で話す際、相手は自分の顔を見ることができないのだから、視覚での情報が入ってこない。だからこそ、声のトーンを上げて、笑顔で話すことが大切だ。聴覚だけで判断する相手に、自分がニコニコしている良い奴だと思わせろ。そうしたら、アポイントが入りやすいぞ」と、部下に伝えていた。相手を思いやって(考えて)こその電話対応だ。

話題は「ワイン」に変わる。自分の身の丈にあった価格帯の焼き肉屋には、なぜかワインが充実している店が少ない。きっと都心の高級店に行けば、しっかりと銘柄を揃えた店はあるのだろうが、私が住んでいるのは地方である。地方の焼き肉屋には、その店が扱うビール会社が輸入しているワインが1種類だけ置いてあり、しかも赤ワインなのに冷たいのが出てくるのだ。もうちょっとミディアムボディなものが飲みたい、と思っても叶わぬ夢だ。

ある日、家の近くの焼き肉屋に行こうと予約の電話をした。「ワインはありますか?」「ワインは置いてないっスね」「いくら支払えば持ち込みできますか?」「いや、持ち込み自体ダメっス」と、あまり感じの良い対応ではなかったが、今日は焼肉を食べると決めていたので行くことにした。

店に着くと、電話対応してくれたらしき店員と接したが、「熱いのでお気をつけくださぁ~い」と素敵な笑顔でサービスは良かった。電話対応と実際の人間とでは乖離があるのだ。え?これがさっきの電話の人?! 損をしているな、と思った。Vol.11

 


Vol.10: 香港発行のクレジットカードが使えなくなりそうな話

香港に長く住んでいる方は、香港発行のクレジットカードをお持ちだと思う。皆さんはクレジットカードで決済する際、サイン派だろうか? それとも暗証番号派だろうか? 筆者自身はサイン派である。そもそも暗証番号を設定した記憶すらないのだ。それ故に、日本へ一時帰国の際にお店の店員さんに、「それでは暗証番号をお願いします」と言われると、「え?」と一瞬固まってしまう。恐らく日本では暗証番号派が大多数を占めるのであろう。すかさず店員さんに「いつもサインなんですけど・・・」と返すと、今度は店員さんが一瞬「え?」と慌てふためくのだ。それから、店員さんがサイン用の下敷きボードやペンが周りにないか探し出す。普段使わないから、どこに置いてあるのか分からない様子だ。

サイン派の私が一時帰国の際に、とても不便に感じていたのは、新幹線の切符を買う自販機でクレジットカードを使用する際、暗証番号が求めれるので購入できないという事だ。毎回、毎回みどりの窓口に並んでサインをしては新幹線の切符を購入していた。

ところが、前回みどりの窓口に並んだ時、駅員さんに「クレジットカード会社に連絡して、早く暗証番号を設定した方がいいですよ。もうじきサインではJRでクレジットカードを使用する事ができなくなりますから」と言われてしまったのだ。

日本へのフライトがまたもや近づいてきて、ふとこの事を思い出した。早くカード会社に問合せねば・・・。23365710_m


Vol.9 : 止まらぬ自動化と外国人に頼る労働力

コロナ禍による非接触の推奨、IT技術の発達、高齢化社会による労働力の減少、人件費の削減。どれが理由なのだろうか、それとも全てが理由なのだろうか、日本の
自動化が止まらない。スクリーンショット (2252) 顕著に感じたのは実家近くのスーパーマーケットKに行った時だ。有人レジを1台残し、他は一掃されて、レジが無人化していた。数ヶ月後には、その隣の競合スーパーMも有人と無人レジの割合が半々に変わった。我が町にある日本一売り場面積が大きいDAISOも完全に無人レジとなるようだ。
冷凍技術の発達も手伝い、食材の自動販売機もちらほら見かけるようになった。ステーキ肉や韓国料理のスープである参鶏湯(サムゲタン)までもが自動販売機で手に入る時代だ。スクリーンショット (2253)スクリーンショット (2254) 今朝のニュースでは、不動産物件の内覧も自動化が始まったと伝えていた。物件前に掲げられたQRコードや、アプリ、WEBサイトから個人情報を登録し、内覧する曜日と時間を予約する。内覧当日に、不動産屋営業マンの付き添いはなく、内覧客が一人で内覧をする。内覧が終われば、ネット上でチェックアウトをして完了となる。
内覧客からすると、営業マンの存在が気になって、内覧に集中できないという点を解決してくれ、不動産業者からすると、【買うかどうかも分からない客】に送迎を
含めた接客をする必要がなくなる。双方の効率が良くなるのだ。

久々に訪れたスーパー銭湯でも変化が見られた。以前は入店すると大きなカウンターがあり、その中に4、5人のスタッフがいて、来店客の出迎え係と、退店客の清算係とに分かれて業務を行っていた。大きなカウンターは縮小されて、代わりに真新しく大きな自動精算機3台が幅を利かせていた。
湯上りに、マッサージを受けようかどうか思案しながら、併設されたマッサージルームの受付に目を向けると、【本日出勤の技師、リン、ワン、グエン】などとカタカナの札が掲げられており、技師に邦人の名前は見当たらない。
マッサージはさておき、食堂へ向かってビールを注文すると、毛深く男らしい店員さんの名札にもカタカナがあった。ビールを出し終えた彼はまた厨房に戻り、もくもくとカツ丼の鍋に卵を流し込む。

銭湯の帰りに立ち寄ったauショップにも、外国人の店員がいて日本語を話し、活躍している様子だった。そのまた次に入ったラーメン屋にも外国人のスタッフがおり、厨房に立つ高齢の店主をサポートしていた。店主とのコミュニケーションはバッチリで、盛付などの手際も良い。ラーメンと半炒飯を注文したが、「半炒飯は50円しか安くならないよぉ」と営業トークも上手だ。

看護師資格を有する筆者の親族が働く老人ホームでは、従業員の10%が東南アジアから来た人たちだと言う。入居者や職員が折る折り紙に興味津々で、折り方を親族に訊ねてくるそうだ。
老々介護が見受けられる施設では、来日して一生懸命働く若者に感化された70代の従業員が、「〇〇ちゃん達が国に帰るまでは、私も頑張ってここで働くわ!」と活力を得ている。

日本の活力や労働力、そして自動化に皆さんはどう感じられるだろう。


Vol.8 : ベトナム人が在日外国人労働者数で一番多かった

今回の一時帰国では、以前ベトナムで仕事を一緒にさせて頂いた現地のフリー編集者さんと大阪で再会を果たした。彼はベトナム在住何十年という人でベトナム語はペラペラ、奥様はベトナム人である。ベトナム進出のセミナーにひっぱりだこで、ベトナム進出と言えば、この人! というような方だ。
コンビニエンスストアの店員さんはほとんど外国人ということに大変驚いたのが、3年ほど前の一時帰国だったであろうか。それから、この2年くらいで、外国人の店員さんでベトナム人が占める割合が増えてきたような気がしていた。そのことを話題に振ると、「そうなんですよ。今、日本にいる外国人労働者で一番多いのはベトナム人なんですよ」とのこと。
調べてみると、外国人労働者数としては、中国人41万人を抜いて、ベトナム人が43万人(全体の30%)と記載された記事を見かけた。

片田舎にある私の実家付近でも多くのベトナム人とすれ違う。実家から5分としない商店街にはベトナム人が経営するストアがあるし、JRの車窓からも似たような商店をいたる町々で見かける。これらのお店は、ベトナム国旗が掲げられているので直ぐに分かる。
筆者の父はサンドイッチ工場の工員を送迎するバスの運転手をしているのだが、日本語学校に通う傍ら工場で勤めるベトナム人が多いと言う。知り合いの不動産屋に話を聞くと、研修名目で呼び寄せた企業が、彼らが共同生活するためのアパートを4部屋借りてくれたと言っていた。
静岡県などにはブラジル人がかたまって住む街があると聞くが、ベトナム人は日本の地方都市全域に散らばって住んでいる印象を受ける。

数年前までは、麺のフォーもなんちゃって味が多かったが、彼らが増えたことにより、本格的なものが増えてきた。香港で食べるベトナムフォーには、本場のフォーに入っている香草が入っていないことが多いが、日本のフォーにはそれらが入っており、本場と変わらない味だ。
ベトナム人が経営する商店では、ベトナム食材があり、東南アジアのフルーツ「りゅうがん(竜眼・ロンガン)」を買うことができる。我々、香港組みにはお馴染みのフルーツであろう。スクリーンショット (2043)
これだけベトナム人が増えると、ベトナム人が対ベトナム人限定で商売をするようになる。ある日、既述のベトナム語がペラペラなフリー編集者さんの自宅のエアコンが壊れたそうだ。修理を近くの電気屋に依頼しようと見積もりを取ると10万円かかると言われた。その後に、ベトナム人住居の電化製品や水回りを専門に修理しているベトナム人業者に価格を聞いたら、5万円で修理をしてくれたという。

「おじさん、ベトナム語上手いね」
「ありがとう。ベトナム生活が長くてね。ところで、何故にベトナム人限定で商売しているの?」
「日本に住んでいるベトナム人が増えたので、それだけで経済コミュニティが成り立つようになったんだ。だから、別に日本人向けに商売する必要がないんだよね。ベトナム人相手だけで十分に食べていけるよ」

こんな会話が交わされたそうだ。スクリーンショット (2042)


Vol.7 : サ活の雑誌がでる程のサウナブーム

一時帰国の際にお世話になった先輩の影響から、サウナが好きになった今日この頃である。

今、日本はサウナブームに沸いている。サウナ愛好家を「サウナー」と呼び、一緒にサウナに行く友達を「サフレ(サウナフレンド)」というそうだ。
サウナーは日本全国のサウナの聖地を巡り、自分が使った椅子やマットを次の人のためにかけ湯で綺麗にしたり、黙浴に徹するなど彼らのマナーは素晴らしい。
巷にはサウナ活動の専門誌「サ活」まで出ているのも頷ける。スクリーンショット (1849)

サウナーの先輩曰く「無理に汗かいて長居する必要はなし。だいたい5分を2セットで充分」とのことだ。
サウナにおける先輩の教えはというと、
①たっぷり水分を補給する
②身体を洗って温泉で少し温まる
③身体を拭いてサウナに入る
④皮膚に小指の爪ほどの汗をかいたら、外へ出る
⑤かけ湯で汗を流す
⑥水風呂に10秒ほど浸かる
⑦身体を拭いて露天風呂スペースへ
⑧椅子に座り外気浴で身体を乾かす
⑨上記を繰り返す
そして、「サウナーは、バスタオルを使わずフェイスタオル1本で充分である」だそうだ。

2回ほど繰り返すと、なかなかスッキリとする。このスッキリ爽快になった状態をサウナー用語で「ととのう(整う)」というらしい。

整った後には腰に片手を当てて、コーヒー牛乳と行きたいところだが、オロナミンC×ポカリスエットの「オロポ」や、レッドブル×ポカリスエットの「ブルポ」も気になるところだ。スクリーンショット (1848)


Vol.6 : 初期ファミコン世代が子どもと楽しむオンラインゲーム

筆者は初期ファミコン世代である。スーパーマリオ最初のソフトや魔界村などを小学生の時にプレーした。どういう訳かドラゴンクエスト3を最後に私のゲーム熱は下がってしまい、そのまま成人して今に至る。
そんな私は、2019年公開の映画『ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』を観た時、涙ぐんでしまった。成人した息子と早期退職した父親がオンラインゲームを通して、昔の親子の絆を取り戻す物語を観て、父親と息子の年齢の中間あたりに位置する私は、どちらの気持ちも分かるような気がした。

こんな話を聞いたことがある。香港生まれの子どもが日本の転入に馴染めないでいたそうだ。両親は苦慮した末に子どもに『武器』を持たすことを決意する。武器とは『任天堂スイッチ』だ。クラスメイトと共通の話題についていけるようにした結果、子どもは一気に友達が増えたそうだ。

我が家も1年程前に子どもに『任天堂スイッチ』を与えた。あれもこれもとゲームソフトを買い与えるわけにはいかないので、子どもや知り合いの親にヒヤリングをすると『Fortnite』の普及率が高いらしかった。
「一緒に遊ぼう」との子どもの声に生半可な返事を繰り返していたが、先日終に一緒にプレーする日が来た。意外や意外の大意外、これが非常に面白くハマってしまった。

1現代のゲームはなかなかスゴイところがある。

『Fortnite』に関して言うと、先ずオンライン上で【無料】で遊べるということだ。しかも、端末は『任天堂スイッチ』だけではなく、アプリを入れてパソコンや携帯でも遊べる。
『Fortnite』は対戦型のゲームで、オンライン上で友達とチームを組んで世界中の人と戦ったり、あるいは友達同士で戦ったりするゲームだ。私の子どもは『任天堂スイッチ』で、私はパソコンを使ってオンライン上で繋がって一緒に遊んでいる。

ヘッドマイクを付ければ、対戦中にお互い会話をすることができるのも面白い。これにより、海外赴任で家族と離れていても、子どもとコミュニケーションを取ることができるのだ!!
さらに、コロナ禍においても下校後にゲーム上でクラスメイトと遊べるのだ!!
私たち親子のチームには息子のクラスメイトも加わり、無線で「〇〇君のお父さん、すみません、邪魔です。僕が車を運転しますので、どいてください。お父さん、ありがとうございます」などと会話が生まれる。時には向こうのお父さんも参戦してくるなんてこともある。
ゲームの腕前は子ども達の方が断然うまい。敵からの攻撃を受けてゲームオーバー寸前の瀕死状態だった私を背負って安全な場所まで運んでくれたのは、私の子どもだった。頭が上がらない。現実と真逆である。

無料ゲームを提供する企業のキャッシュポイントは、一体どこにあるのだろうか。それは、自分がプレーするキャラクターを選べる権利(キャラクターを購入)や、ゲーム中に使用できる限定アイテムの販売による課金であった。
『Fortnite』は映画やアニメとコラボしており、課金すれば、『ロボコップ』や『NARUTO -ナルト-』のキャラクターを操縦して遊ぶことができる。先月はスターウォーズとコラボとなり、ライトセーバー(剣)を道端で拾って、「ヴぃーん!ヴぃーん!」と振り回した時は、大人の私でさえ悦に入ってしまった。

『Fortnite』デビューして2ヶ月目の私だが、出張先から子どもと「パパはロビーに戻ってから、バトルパスで新しいエモートを買って、ソロでプレイしたら、ヴィクロイしたよ!」「お、パパやるじゃん! ナイスだよ!」と専門用語で会話を愉しむまでになった。

男女関係なく小学生のお子さんをお持ちの親御さんには、是非『Fortnite』をお勧めしたい。私の肌感覚だが、『任天堂スイッチ』を持っている子どもの『Fortnite』普及率は9割だ。

文・PPW編集部 日本特派員

 


 

Vol.5 駅中の蕎麦屋が、駅前のF店を超えていると感じる理由

20年ほど前になろうか。内モンゴルで蕎麦粉を生産する日系企業が、深圳で蕎麦屋を出店したのを皮切りに、深圳には蕎麦屋が増えたが、香港は未だに数えるほどだ。
やはり香港人には「うどん」の方が良いらしい。

乾麺で我慢している我々香港在住者は、一時帰国の際には蕎麦屋の蕎麦を食べたいのが心情だ。

高級な蕎麦屋で3000円近い蕎麦を食べるのも良いが、今回は立ち食い蕎麦に触れてみたい。

筆者がリピートを繰り返すのは、主に駅の改札口中側に出店をしている「蕎麦いろり庵きらく」だ。個人的には駅前にあるF店を凌駕していると思っている。IMG_7961このお店のポイントを3つ紹介したい。

一つ目は、蕎麦の麺だ。蕎麦粉だけではなく、小麦粉も入っているのであろうか?! モチモチ感がたまらない。従来の立ち食い蕎麦屋の伸びきったヤッツケ感はないし、乾麺のようなパサパサ感もなく、良い塩梅なのだ。
厨房を覗くと、茹でてから冷水で水洗いし、提供直前にまた茹でるといった手間も掛けている。

二つ目は汁だ。立ち食い蕎麦屋の汁はエラく茶色く、とにかく濃い印象があったが、こちらは透明感がありダシも効いている。危うく飲み干してしまいそうになる。

三つ目はトッピング。このお店も推している「かき揚げ蕎麦430円」がサクッとした食感で美味しい。玉ねぎの甘みと牛蒡の硬さもよろしい。一口目はかき揚げだけを、二口目はサクサクな部分と蕎麦とを一緒に、三口目は汁に湿った部分を楽しんでほしい。提供口付近にあるすりおろし放題の胡麻や七味もお忘れなく。

店内にはボサノバが流れ、女性客も多いのが頷ける。
是非お試し頂きたい。IMG_7975

文・PPW編集部 日本特派員


 

Vol.4  86点な小籠包だったら、日本そこらで食べられる
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1、2週間の一時帰国であれば気にならないが、月単位での帰国となると我々香港在住組が恋しくなってくるのが、点心・飲茶であろう。蓋を開けた時のセイロから昇る湯気とあの香り、蝦餃をひとつ頬張ってはポーレイ茶を流し込む至福の時だ。

筆者は美味い点心にはあり付けないことを覚悟していたのだが、意外にも日本国内の点心事情は向上しており驚いた。何しろ蝦餃、小籠包、腸粉あたりは、地元のスーパーで冷凍物が買えるのだ。お味はと言うと、ずばり「合格!」である。点数的には86点と言えば、「懐疑的な予想を遥かに上回る美味さだが、実に惜しい、あと何かが足りない、でもその何かが分からない、とは言うものの十分に美味いので合格!」というニュアンスが何となく伝わるであろうか。

「足りない何か」とは一体何なのだろうか。優秀な日本の冷凍食品会社のことである。研究しつくして、「完コピ」は高いハードルではないはずだ。恐らく、セイロや酒楼のガヤガヤ感といった視覚・聴覚・雰囲気の問題、レンジで温めるのとセイロで蒸すのとではちょっと違う食感になる、日本の法律では引っかかる添加剤は使えない、八角などの香辛料は控えめにして日本人好みにしている、このあたりだと考えられる。

話題を冷凍食品に移すと、先日、洋菓子界で権威のあるパティシエにお話しを聞く機会があった。彼曰く、「数年前に比べ、冷凍技術は格段に進歩しており、作った瞬間の味をそのまま閉じ込めるので、物によっては冷凍食品の方が美味しい場合もある。冷凍食品を如何に上手く使うかが飲食業界のポイントだ」とのことであった。

現に香港の酒楼だって点心師を置かずに冷凍物を蒸して提供しているだけのところもあるので、頷けた。
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点心が食べられるお店としては、東京日比谷や新宿にあるミシュラン香港1っ星の「添好運」をはじめ、台湾系の「鼎泰豊」や、上海系の「南翔饅頭店」などが関東圏の2級都市にも出店している。

割高感はあるが、ここらでは86点以上の小籠包が食べられる。点心だけをパクパク食べているとエラい値段になってしまうという落とし穴もありつつ、「チャーハン&小籠包4個セット」や「中華そば&小籠包4個セット」というように、食事とのセットもあるところが、日本らしい。

ちなみに店内を見渡すと食器や箸をテーブル上で洗っているのは私だけであった・・・。あと、平日の昼間に日比谷で「ニワトリの手」を食べているのも恐らく私だけ・・・。

これから一時帰国を予定されている方、ご安心されたし。あなたの街でも美味い点心にはありつけるはずだ。

文・PPW編集部 日本特派員

 

添好運
日比谷店に2度ほど行った。開店と同時に行列ができるので要注意。点心の品数も多く、香港らしい点心が食べられるので満足度も高い。排骨飯や馬拉糕(蒸しパン)など香港組は心が弾む。入店待ちの列に並ぶのが嫌ならば、テイクアウトして皇居や日比谷公園でピクニックをしてみては。添好運2 添好運1

 

鼎泰豊
私が行った店舗では点心師の気配は感じなかったが、蘿蔔糕(大根餅)もあったので、気分が上がった。本店や香港店同様に、鮑やトリュフを入れた小籠包など種類が豊富。店舗で出しているお茶も美味しく、レジで購入が可能だ。「お家で鼎泰豊」点心セットも販売しており、家族へのお土産にも。鼎泰豊 鼎泰豊2

 

南翔饅頭店
上海豫園にある有名店。私が行った店舗では、厨房から北京語が聞こえた。上海の郊外・南翔が小籠包発祥の地とされており、上海体育館からバスで行ったのが懐かしい。香港や台湾とは違い、皮には凹凸があり若干厚め。いかにも豚肉なパンチが効いていた。好きな人は好きだと思う。南翔饅頭店1 南翔饅頭店2

 

香港贊記茶餐廳
点心ではないが、香港人老板の店。香港奶茶や香港の茶餐庁で供されるサンドイッチやらフレンチトーストやら、ぶっかけご飯が食べられる。外国で茶餐庁を営み切磋琢磨している香港人を応援したくなってしまうのは我々香港組の性。同行した香港人スタッフも納得の味であった
香港贊記茶餐廳1 香港贊記茶餐廳2


Vol.3: 条例で雨傘の片手運転は違反&自転車保険義務化
 雨の日に自転車で通学中の学生たちに意識がいった。ビニール製の合羽を着て自転車に乗る学生が増えたように感じ、そして自転車に乗る学生自体が減った気がしたからだ。そんな話を家族にすると、「条例で傘を差して自転車を運転することが禁止になったから」との答えが返ってきた。
小学生5年生の大晦日に同級生と千葉県から自転車で東京タワーに向かい、現地で初日の出を拝んだ自称「チャリ族」の私である。ダンプカーが通る湾岸道路もへっちゃらだった。傘ごときで堅苦しい社会になったものだ、と思いながら会話は弾まずにそのまま終わった。

それから、数日後である。妻と娘が顔を真っ青にして帰宅した。理由を聞くと近所の30台ほど駐車できる駐車場で、自転車の補助輪を外して練習をしていたところ、止めてあった車にぶつかりドアに傷をつけてしまったと言うのだ・・・・。すぐさま駐車場の管理会社に電話すると、傷をつけてしまった車はたまたま管理会社の社長さんの車であることが分かった。100%こちらに非があるので、全額支払う旨を伝え謝罪をすると、「自転車保険に加入してますか?それで修理代を捻出してもらえれば、大丈夫ですよ」と言われた。自転車保険、恥ずかしながら聞き慣れない言葉だった。

その社長さんは親切にも修理前に2社に見積もりを取ってくださり、1社目は7万円、2社目は手厚い修繕がウリで37万円だった。「傷が完全に元に戻るかどうかも分からないので、1社目にしますよ」と神の声。もし2社目を選ばれていたら、今月の呑み代返上どころでは済まされなかったので、ホッとした。

 下の表をご覧頂きたい。全国各地で自転車保険の義務化が急ピッチで進んでいる。2000年代に入ってから子どもが加害者になり、1億円近い損害賠償を命じられる裁判判決が出てきていることが要因のようだ。
浦島_Vol.3(1-8x3) 後日、社長さんの車が停まっていた場所には違う車種の新車が停まるようになった。それを見かけたのも雨の日だった。

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東大阪市で見かけた「傘」装備済のママチャリ

 

文・PPW編集部 日本特派員


 

Vol.2 : エスカレーター片側は歩いてはいけない

エスカレーターの乗り方は日本東西で異なることは皆さんもご存知かと思う。大阪では【右側立ち・左側開け】、東京は【左側立ち・右側開け】だ。
大阪では日本人に多い右利きの人が手すりにつかまり易いために、東京は刀が人に当たらないように左側通行の風習が残ったなどと言われている。

elevetor さて本題だ。今回一時帰国して、駅で目にしたポスターには新たなスローガン【エスカレーター内は歩かない】が謳われていた。【左側も右側も開けずに、二人並んで立って乗りましょう】というものだ。一体どこの機関がこんなことを掲げているのだろう。ただでさえ、香港と比べて日本のエスカレーターの速度がエラく遅く感じるというのに、歩いて進めないとなると有問題(ヤウマンタイ)だと感じる人もいるか思う。

皆さんは「早く歩いて進みたい人のために開けてある側」に人が立ち、その先は誰も立っていないのに前に進めずイラッとしたことはないだろうか? それがこのスローガンのおかげで、イラッとする側に非があることになってしまう。そんな可能性が出てきたのだ。

肌感覚だが、車両を降りて改札口に向かう人の3~4割りくらいは、【エスカレーターを歩いて早く上りたい人】だろうか。6割くらいの【止まってエスカレーターに乗りたい人】がホームで長蛇の列をなすのを見かける。列を作り順番を守ることは非常に尊いし素晴らしいことだと思う。このスローガンには、ホーム上を早くクリアにしたい。そんな思惑があるのだろうか。
その反面、香港在住が長いので非効率なものはどんどんショートカットしてしまいたい私である。時間が豊富にある人、遅刻しそうな人、いろいろな人がいる中で、そこまで画一化する必要があるのかとも思う。もともとエスカレーターは立ち止まって乗る設計だ、高齢化社会だから安全に乗ろう、と言われればそれまでだが・・・。
このスローガンが謳われてから、もう2~3年くらい経つであろう。但し、気のせいなのか、このポスターは数が減り、駅のエスカレーターでは未だに片側が開いている。民意はどちらを必要としているのだろうか・・・。

文・PPW編集部 日本特派員


Vol.1 携帯からの地震速報音が恐ろしい

久々の一時帰国で驚いたことがある。携帯から流れる「緊急地震速報の音」だ。地震のない香港での生活にすっかり慣れていたので、深夜の地震にびっくりしたが、それ以上に恐怖心を煽ったのがこの速報だった。

下記にYouTube音源を用意したので、聞いたことがない人は帰国前に「訓練」「心の準備」として一度聞いておくことをお勧めしたい。

※※※音量注意※※※

かん高いアラーム音がヴィンヴィンと鳴り、無機質な機械の声が「地震デス・地震デス」と告げるのである。警報そのものの目的を果たすための音づくりなのだろうが、兎に角「生命の危機を感じる」バイオハザード音なのである。

YouTubeのコメント欄にも、「クラス内のスマホが一斉に鳴り出した時、本当に世界の終わり感が凄かった」とか「さっき寝てる最中に鳴ったけど、マジで寿命が30年縮まった」など、この速報音を聞いた時の恐怖体験が綴られている。

この音を知らずして日本で初めて聞くと心臓が止まりそうになるので、ご注意あれ。

文・PPW編集部 日本特派員

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