カバーストーリー 2022年10月第4週号「梅窩へ行こう」

2022/10/26

9月末のとある土曜日、編集部員のファミリーには時間がなかった。久々の離島に向けて早朝に出発する予定が、昨晩の夜更かし(子どもは映画、大人は深酒)のせいでいつまでもダラダラと爆睡してしまった結果、朝食も取らず9時半頃にやっと家を出た。ミッションは15時半の娘が習うバレエレッスンの時間までに九龍に帰らねばならない。良識のある方ならお分かりだろう、普通このような忙しいスケジュールなど組まない方が大半だと思う。しかし、レッスンまでの時間をなんとか有意義に、かつ、自然に触れたい一心でドタバタとフェリー乗り場にたどり着いた。目指すはラマ島。もう一度、確認する。我々の目的地はラマ島のはずだった、ある時までは…スクリーンショット (2226)

途中、フェリー乗り場に続く陸橋の長さに「疲れた~、お腹すいた~」と、なかなか早く歩いてくれない子どもたち。母は焦っている。フェリー乗り場には到着地によっていくつかゲートがあるのは周知の通りだが、ゲート近くの時刻表から、もうまもなく出航時刻がせまっていることがわかった。あせった私は家族を急かし、とりあえずラマ島の「L」の文字が見えたゲートに向かって走った。母親がいきなりダッシュをしたのを見て、子どもたちもそれに続きダッシュ! 我が家は見事出航時刻に間に合ったことになる。

ほっと一息つき、冷静にあたりを見回すと、周囲はハイキングの服装をしている人たちや、大きな荷物を抱えた輸送をメインに乗船する人たちがほとんどだった。「あれ? ラマ島って、離島の中で一番観光地として有名で、もっとカジュアルに訪れることのできる場所じゃなかったろうか?」そしてようやく状況がわかり、生唾を呑んだ。スクリーンショット (2229)スクリーンショット (2234)スクリーンショット (2236)スクリーンショット (2235)

それはLantau Island行きのフェリー乗り場だった。それも「Mui Wo(梅窩)」行きの。言い訳するがLantauとLammaって似てないですか? 私だけ?

きっとこれは天からの思し召しかもしれない。これに乗れば新たな発見もあるだろう。なんとか無理矢理プラス思考に切り替え、もうすぐ開きそうなゲートの列に並ぶ。初めから梅窩に行きたかった風を装い、席に着く。後から知ることになるが55分ほどかかる普通船に乗ってしまい、途方に暮れながら、遠ざかる香港の美しい摩天楼をただただぼーっと眺めるしかできぬ自分を呪った(笑)。スクリーンショット (2233)スクリーンショット (2231)スクリーンショット (2237)スクリーンショット (2238)スクリーンショット (2232)

結論を申し上げると、梅窩はとてもいいところだった。滝や洞窟といったポイントにも気軽にアクセスでき、街中を歩くにも広すぎず狭すぎず、ちょうどいい大きさの田舎街といったところだ。海岸線にはプロムナードがあり、サイクリングやジョギングをする人を多く見かけた。お腹が空いたら、欧米系のカフェや海沿いのすこぶる景観のいい海鮮店などたくさんある選択肢から選ぶことができるのも魅力。砂場遊びのおもちゃや、籐やビニールで編まれたバッグが所狭しと煩雑に並べられた露店もあり、どこか異国情緒を感じさせる街。何よりも耳を劈くようなけたたましいクラクションの音もなければ、歩きスマフォの人や自分のペースで歩けぬほど多くの大衆がいない広々とした道が心地よかった。梅窩、おすすめです。(編集B)

梅窩への行き方:
中環フェリー乗り場6号埠頭より30分ごとに出航
(詳細はwww.sunferry.com.hk

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