~香港で田舎暮らし~ ヴィレッジ・ハウス(村屋)通信 Vol.2

2023/12/13
Vol.2 引越と大掃除で大忙し

文・鳥丸雄樹

賃貸契約を締結し、引越の準備が急ピッチで始まった。
大家さんは普段ポーランドに住んでいる華僑で、たまたま香港に一時帰国しており契約開始日より2週間も前倒しで鍵をくれた。旧住宅は人様に明け渡すために大掃除と断捨離。新居も綺麗にしてから荷物を運びこみたいと思い、旧住宅と新居との往来がスタートした。既に大家さんや不動産仲介業者から近隣の住民に日本人が引越してくることが伝えられているのか、村人から「ありがとう。おまかせ(香港ではお任せコース料理がブーム)。」と取りあえず知っている単語を連発された。IMG_7915  独り暮らしだが、自分でも驚くほどに所有品が多いことに気が付く。捨てる物は捨て、誰かが使えそうな物はボランティア団体運営のリサイクルショップに寄贈することにした。リサイクルショップへ15回は往復したと思う。
新居は家具付きではないので、いくつか家具を購入する必要があった。搬送を依頼する際に、IKEAの販売員が新居の村名の一字【乪】を見て、「なんだ?!この漢字は?見たことないし、読めない!パソコンでも打てない!」と言われた。秘境・男の隠れ家に相応しいではないか。
屋上でのBBQライフを実現するために力強い味方となってくれたのが、日本でいう楽天・アマゾンである中国のECサイト【淘寶】だ。サイト内で購入したものは中国各地から一旦深圳の倉庫に集結される。全部集まったら一括で届けてくれる配送業者がいるので、とてもスムースだ。なによりも価格が香港で購入した場合の半額、もしくはそれ以下であるため、購買意欲が上がってしまう。淘寶では、屋上のパラソル(傘)とBBQ台、それに昼寝用キャンプベッドを購入した。
さて、香港での家具購入において留意点がある。エレベーターがない建物の場合、自分が住む階まで運んでもらうと、その分送料が加算されるのだ。逆にG/Fで受け取れば安く済むので、全てG/Fから自力で運ぶことにした。(図参照)図参照  こんな重労働をやっているとお腹が空いてきた。しかし、我が村にはレストランも個人商店もない。仕方なく、下調べしていた隣村まで徒歩で行くことにした。隣村には2つのレストランと1つの個人商店があるようだ。片方のレストランが閉まっていたので、もう一方のレストランに入った。入店するなり、サングラスを掛けたお爺ちゃん店主の接客態度に苦笑してしまった。IMG_7921 店主「なんだ?!お前は?」
私「え?! ご飯を食べに来ました。」
店主「今日(PM12:07)は手羽先の醤油煮しかないけど、食うのか、食わねえのか?」
私「え、あ、た、食べます! その前にトイレ行ってきます。」
店主「トイレは無いから、そこの隣の廃校に行ってやってこい。ところでお前、見ねえ顔だな。どこのもんだ?」
私「あ、外国から来ました。」
店主「そんもん、発音聞けば分かるんだよ!どこの国かを聞いてるんだ!」
と、こんな調子であったが、最後は打ち解けることができたと認識している。IMG_7917  見たことのない人間が店内に入ってくると「なんだ?!お前は?」という反応に、村社会・村文化を感じた。
廃校の斜め前にあった遊技場(公園)に遊具がひとつもないことにも驚いた。

つづく

※登場する固有名詞は全て仮名です。※写真はイメージです。

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