オリンピックお兄さん【滝島一統氏】インタビュー

2024/07/17

IMG_2320_Originalラグビーワールドカップ2023フランス大会を現地観戦した際に、パリ市内の下見は済んでいる。後は五輪観戦チケットと旅行カバンを手に現地へと向かうのみだ。「オリンピックお兄さん」こと滝島 一統氏は、トリノ五輪から夏季・冬季含め8大会連続で現地応援をしている時の人で、今回のパリ五輪で連続観戦のギネス記録を更新する予定。「日の丸」をモチーフにしたヘアスタイルやコスチュームが話題となり、海外メディアに取り上げられることも多い。今回PPWではそんな滝島氏にインタビューをした。

 

thumbnail_IMG_48542滝島 一統氏
1976年生まれ。東京・渋谷区で不動産業を営む傍ら、「オリンピックお兄さん」としても活躍中。YouTubeでは本業の「不動産Gメン」チャンネル登録者数45万人を突破し、さまざまな有名人ともコラボ配信している。
IMG_0567フィギュアのエッジが勢いよく氷を割く音
Q:「オリンピックお兄さん」のYouTubeチャンネルも好評ですね。オリンピックにはまるきっかけはどんなことでしたか?
東京で初めてフィギュアスケートの試合を観戦する機会があったんです。それまではフィギュアなんて氷の上で踊る競技くらいにしか考えていなかったのですが、靴のエッジが氷を蹴るガリっとした音が観戦席の一番後ろまで聞こえてきた時に鳥肌が立つほど感動したんです。フィギュアがこんな激しいスポーツだと知り、同時に世界大会の迫力はもっとすごいのではと思い、数カ月後に開催されるトリノオリンピックの観戦チケットをすぐ取りました。以降オリンピックはもちろん、サッカーやラ グビーワールドカップも現地観戦しています。

Q:過去に開催されたオリンピックの中で記憶に残る出来事は?
2016年リオ五輪で、卓球女子団体の3位決定戦がありました。テレビ放映の画面上、ゲーム得点付近に私の顔が映っていたようで、地球の反対側、つまり日本の友人から「試合に集中できない」とクレームが入ったこともありましたね(笑)。
同じくリオで、バドミントン女子ダブルス金メダルを獲得した「タカマツ」ペアの試合を観戦後、ゲームで使った羽をプレゼントしてもらい、家宝のように大事にとっています。
2018年平昌五輪では、視察を終えた故安倍元首相が私の席の横を通り過ぎる時に快く記念撮影に応じてくださり、これもまた感動する出来事でした。

 

真央選手のカメラには見せない悔し泣き
Q:では悔しかった試合はありますか?
たくさんありますよ。中でも、2010年バンクーバーで、浅田真央とキム・ヨナ選手の決戦がありました。先行のキム・ヨナ選手は当時の世界史上最高得点をマーク。一方、浅田選手はドクターストップがかかるほど体脂肪を落としてジャンプに命をかけ本番に臨むも、氷の溝にエッジをとられてジャンプミスが出てしまったことは残念
でしたね。観戦席から見える浅田選手は、カメラには笑顔で手を振っていましたが、カメラのないところでは温厚な彼女がイスをたたいて悔しがっているシーンを目の当たりにし、僕も号泣したことを覚えています。IMG_2276_Original

Q:開会式から閉会式まですべて観戦、正直疲れませんか?
疲れますよ(笑)。3日間観戦する方などは多くいますが、僕みたいにすべて観戦する人はいないですね。開会中は休息日も設けてはいるんですが、注目選手が勝ち上がってくると見に行かざるを得ないんです。会場への移動ルートやタイムスケジュール管理は綿密なシュミレーションが必要です。特に五輪会場では、セキュリティチェックが複雑で思った以上に時間を取られます。それでも、足が自然と向いてしまうのは「感動」がそこにあるからなんです。

 

阿部兄弟の生の雄姿を見たい
Q:パリ五輪で注目している選手を教えてください。
たくさんいるんですが、断腸の思いで選ぶとしたら柔道の阿部兄弟ですね。記憶に新しい東京五輪では無観客での開催となり、僕の保有しているチケットは当然無効になりました。コロナ対策で仕方ないことでしたが、僕が生きている中で東京で開催される貴重な機会だっただけに、スタジアム観戦できないことは非常に残念でした。そのような中、当時まず妹の詩選手が女子52キロ級で金メダルを獲得し、兄の一二三選手を必死に応援するシーンをテレビの中継で観ていました。その後、一二三選手も男子66キロ級で優勝し、兄弟そろって悲願のV達成をしました。特に詩選手は、パリに向け調整するために東京五輪後すぐに両肩を手術しているんですよ。柔道家が両肩に同時にメスを入れるって命懸けだと思うんです。今回は、東京五輪無観客試合のリベンジではないですが、パリの会場で彼らの雄姿をこの目で観ることが楽しみです。CIMG0989

また、夏季オリンピックの花形として注目したいのが陸上100m走です。スタジアムにいる約6万人がスタート前に作る、耳が痛くなるほどの静寂がすごいんです。そしてピストルが鳴った瞬間、それが大歓声に変わる音のコントラストがまた感動的です。世界中が注目する10秒の間、緩急の空気というか、静寂と歓声の差を体で感じる瞬間はまさに鳥肌ものです。

外国の選手で個人的に応援したいのが、スロベニアのスポーツクライミング、ヤンヤ・ガンブレット選手。他が追随できないほどの圧倒的な強さを持つ選手で、本来使う筋肉が違うとされるリードとボルダリング両種目において、どちらも得意とする稀有な選手です。実は僕、日本で行われた世界選手権の際に、偶然にも電車で隣の席になったんです。話しかけたら気さくに応えてくれ、握手やサインをしてくれました。強さのみならず性格も素敵なガンブレット選手、パリでももちろん全力で応援します!

 

日本の心を伝えるギフトを
Q:現地観戦に必ず持参するものは何ですか?
隣の席の人や後部座席の人に、日本人選手が活躍する時は立ち上がって応援していいか聞くようにしているんですが、そのお礼にささやかなプレゼントをするんです。日本の絵ハガキや和柄のハンカチ、アニメグッズなどを贈ることが多いのですが、皆とても喜んでくれますよ。

Q:最後に読者へメッセージをお願いします。
今回知り合いの漫画家に依頼して、選手の似顔絵を持参しようと思っています。日本文化の一つ「畳」地の素材に「たたみかけろ!」と一言添えて会場で応援する予定です(笑)。この記事を読んでいる皆様も、間に合えば現地で一緒に応援しましょう!

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