香港・孟意堂の風水シリーズ!中国版江南スタイルから学ぶこと

2014/09/08

中国で生まれ五千年以上の歴史ある風水。ここでは便利な風水の道具(ツール)をご紹介しながら風水の奥義に迫ります。

◆豊かな河川の流れる街・寧波◆
縁があって、初めて寧波に行ってきました。寧波は揚子江の南を意味する江南地方にあり、河川など水の多い街です。この街の中央には、以下の写真のように姚江、奉化江、甬江の3つの豊かな川がゆったりと流れています。

寧波市中心を流れる三江
まっすぐ直線上に流れる川は、水がやって来るのは早いですが去るのも早いため風水では「無情の水」と言われ、その付近に住む人々はお金がたまりにくくなるといわれています。その反面、上記の川のように流れが穏やかでうねうねと町を巡りながら流れる川は「有情の水」と言われ水がたまりやすく、その町の人々に物質面での潤いをもたらすと言われています。上の写真の左側にある金色の商業ビルやその前の白い低いビルのあたりはぐるりと川に囲まれ、まるで幼い子供がお母さんに抱かれているかのように安定しているエリアで、寧波の中でも特に栄えているのではないかと思われます。

かつてのまちづくりには川の治水工事が必須項目でした。

水があれば農業が盛んになるだけではなく、物流が栄え、これまでその町になかったものを他方から運び、それを求めて人々が集まり商売が活気づきその町が繁栄する、というわけです。

◆中国版江南スタイル◆
物質的に豊かになることは決して悪いことではありません。
豪華な暮らしがしたいとただ思うだけで何も努力をしないのは良くありませんが、家族に豊かな暮らしをさせたいとかもっとリッチになりたいといった目標を持ち、それに向かってがんばることはとても素晴らしいことです。そして今の暮らしに甘んじることなく次のステージに向かってがんばることも、それを達成するために自分の越えるべきハードルを高くしそれを越えようとすることもある意味すごいことです。

この地では、それが香港顔負けの高級レストランであれ、たらふく食べても安いシーフードレストランであれ、街角の麺屋さんであれ、前述のようなパワーというか馬力のようなものを感じさせられます。穏やかなエネルギーの流れの底の方にひそむ強いパワー。これが江南スタイルなのでしょうか。
川の流れは物質的な繁栄をもたらすだけではなく、そこに住む人たちに知恵を与えます。

そもそも五行の木は仁、火は礼、土は信、金は義、水は智を意味します。その街にある川などの水が清らかで豊かであれば、そのエリアに住む人々は素晴らしい知恵に恵まれるのです。ほがらかで気さくな雰囲気の中にも落ち着きがあってしっかりと状況を把握し、次のステップを考えるような賢さがこの地の人々にはあります。これも江南スタイルなのでしょうか。

この地方からは多くの賢人が生まれています。この地に祖先を持ち、この地で生まれ育った作家の魯迅氏や、政治家の蒋介石氏の生家の前には今も潤いのある川が流れています。こうした人々が時代を担い、普通のやり方では乗り越えるのが難しい苦難やトラブルに知恵を持って乗り越えて行ったこともこの地の風水的要素と決して無縁ではないはずです。

彦坂 久美子

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