香港サッカー 南華足球隊(サウスチャイナ)

2013/12/23

34南華足球隊。1910年創設。他の後発クラブの追随を許さない圧倒的な歴史と戦績を有し、香港島の銅鑼湾に自前の天然芝ピッチを持ち、隣接する香港スタジアムを本拠地とするアジアを代表する名門クラブだ。

カタカナで「サウスチャイナ」とすれば在留邦人の皆さんなら目や耳にした事があるだろうし、数年前に元日本代表の野人岡野が入団を試みた事は、現在でも皆さんの記憶に留まっているのではないだろうか。

ここ数年の香港リーグは、この南華と宿命のライバルである傑志足球隊の2強がタイトルを争う構図となっている。昨季は南華がリーグ優勝を果たし、プレーオフを制した傑志と共に2014年のAFCカップの出場権を獲得した。

AFCカップとは、アジアのリーグランク中位国のクラブが出場するアジアサッカー連盟主催の国際大会で、日本のJリーグを含むリーグランク上位国で構成されるACL(アジアチャンピオンズリーグ)に次ぐ存在。ここ数年の香港リーグには2つの出場枠が与えられている。

AFCカップへの出場を確定して、通常の国内リーグ戦とカップ戦と並行開催される日程を戦い抜く戦力を整えた南華(香港1位)に、嬉しい知らせが届いたのは11月の下旬だった。ACLの予選からの出場権を獲得したのだ。

南華は過去、ACLや前身のアジアクラブ選手権の常連出場クラブだったが、アジア各国のリーグが勃興した事で、香港リーグの相対的な位置づけが降下した為に、ここ数年は香港リーグ自体がACLの出場枠を失っていたのだ。

予選からのたった1枠の分配とは言えども、日本・韓国・中国・豪州・タイの強豪クラブと対戦できる(かもしれない)資格を得た事は、南華や香港サッカー界にとっては歓迎するべき決定だ。香港サッカー協会の長年のロビー活動がこの枠の確保につながったらしい。

(かもしれない)について説明しよう。予選は元々のプレーオフ出場枠の中国・豪州・タイの4クラブに、AFCカップに出場するインド・ベトナム・シンガポール・香港の1位4クラブが挑む形で開催される。しかもこれはリーグ戦ではなくノックアウト方式が採用されている。リーグランク下位側のクラブが上位の本拠地に乗り込んで、1つでも落とした時点で即敗退が決まる過酷な条件下で開催される。リーグランクのより低い側が予選を突破する為には、上位との敵地3連戦を勝ち上がらなければならない。

12月初旬に発表された組み合わせ抽選の結果から、南華の置かれた状況を解説してみよう。

ACL2014アジア東地区予選
2月2日(日)対タンピネス@シンガポール
2月8日(土)対チョンブリー@タイ
2月15日(土)対北京国安@中国

初戦のタンピネスとは実力的に拮抗しているので、敵地での開催でも対等に戦えると予想できるが、仮に勝ち上がった場合のチョンブリー以降は明らかな格上との対戦となる。

強いて優位な点を挙げるとすると、南華はシーズン途中でコンディションが整っていて、対戦する3クラブは共にプレシーズンでチームとして未完成の状態かもしれない、という事だろうか。

非常に難しい状況だが、仮に南華が予選を突破して本戦に駒を進めた場合には、既に本大会のグループ分けとリーグ戦日程が確定しているので、南華は以下のグループと日程に自動的に組み込まれる

ACL2014グループF(サンフレッチェ広島・セントラルコースト・FCソウルと同組)
2月25日(火)対サンフレッチェ広島@日本
3月11日(火) 対 FCソウル @香港 3月 19日(水) 対 セントラルコースト @香港
4月1日(火)対セントラルコースト@豪州
4月16日(水)対サンフレッチェ広島@香港
4月23日(水) 対 FCソウル @韓国  このグループを2位以上で勝ち上がると決勝トーナメント進出となるが、この辺でやめておこう。もう一度言っておくが、上記は南華が仮に予選を突破した場合の対戦日程でしかない。

通常の国内リーグ戦とカップ戦を消化しつつ、上記のような強豪クラブとの対戦が続けば、南華にとっても香港のサッカーファンにとっても、低迷期を迎えている香港サッカー界全体にとっても魅力に溢れる2014年になるだろう。

尚、南華はACLの予選で敗退した場合は、当初の予定通りAFCカップの本戦に出場する。

※対戦日程は12月10日(火)時点での発表ベース

≪つづく≫                       文/池田宣雄

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