古代ネストリア宗教の芸術展「Nestorian Crosses of the Yuan Dynasty」香港大学美術博物館 - 映画・音楽・芸術・アート投稿

香港大学美術博物館（UMAG）では現在、元の時代（1272～1368）に中国北西部のモンゴル自治区で栄えたネストリア宗教の十字架（ネストリアン・クロス）を集めた展示会を開催中だ。昨年6月に開催されて以降常設展として開催されている同展覧会では、1930年から1940年代にイギリス人宣教師として活躍したF.A.ニクソン牧師が収集し、後に香港大学に寄付されたブロンズクロス約700ピースを閲覧することができる。
ネストリア宗教とは古代キリスト教の教派の1つで、唐（618～907）の太宗時代にペルシア人司祭によって中国に伝えられ、中国では景教と呼ばれた。唐時代末期に伝統的中華王朝を王朝に位置付ける意識が強まって以降弾圧を受け一時的に衰退するものの、遊牧民を中心に信仰が続き、元の時代に中国本土でも復活することとなった歴史を持つ。クロスは3センチから8センチの高さのバッジのような形状で、紐を通して身につけていたと考えられている。1つ1つ形が異なり、ハンコのような使い方をしていたのではないかという説もある。
キリスト教と仏教のモチーフを融合させたものがほとんどだが、中には動物や鳥、魚、太陽、さらには幾何学模様を描いているものも多い。特に2羽の鳥が描かれているモチーフはペルシアンアートでよく見られるもので、当時シルクロードをつたってモンゴル地帯に西洋文化の風が吹き込まれていたことを物語っている重要な資料となっている。
同展示会ではネストリアン・クロスの歴史やそれぞれのモチーフの意味がより深く学べるツアーを開催中だ。ツアー開催日の3営業日前までのオンライン登録が必要なので、気になる方は事前のご予約を忘れずに。古代時代に栄えた文化の一端を知れる同展覧会。ツアーは不定期開催のため、この機会にぜひ足を運んでみよう！

Nestorian Crosses of the Yuan Dynasty
住所：1/F., Fung Ping Shan Bldg., UMAG, 90 Bonham Rd., Pokfulam
時間：月～土 9:30～18:00　日 13:00～18:00　祝日と大学休校日は休み
電話：(852)2241-5500
料金：無料
ウェブ：http://www.hkumag.hku.hk
〈広東語、普通語ツアー〉
3月1日、4月5日、5月3日、6月7日
時間：広東語13:00～13:30、普通語13:30～14:00
〈英語ツアー〉
3月2日、5月4日
時間：13:00～13:30
料金：無料
※ツアー3営業日前までのオンライン登録が必要。