オシャレな穴場ストリート 上環「太平山街 (Tai Ping Shan Street)」

2016/08/23

太平山街

中国語で「平和な山の通り」と書いて「太平山街」。開港当時治安の悪かったその土地に警察署ができて平和(太平)になったことからその名前が付けられたとか。はたまた香港で有名な海賊「張保仔(チャン・ボー・チャイ)」と清朝との海戦にちなんで付けられたという説もあって、結局のところその名前の由来は定かではない。そんな平和の街だが、19世紀末から20世紀初頭にかけて、劣悪な衛生環境のせいで死の伝染病ペストが大流行。ペスト菌もまだ発見されていなかった当時、香港政府は太平山街を含む一帯の家屋を取り壊し、家具を焼き払う強硬策を取ったほど。そんな香港の危機を救ったのは各国から駆け付けた医療チーム。北里柴三郎を含む日本の医療チームもペスト菌発見とペスト対策のため大いに尽力した。太平山街周辺にはそういった歴史の足跡もちらほら残っている。

太平山街

場所はMTR上環駅から歩いて10分ほど。香港の旅行ガイドブックでよく取り上げられるハリウッドロードやキャットストリートを過ぎて、さらに山側に一本登ったところだ。最近はやけにお洒落な西洋風の店が目立つ。かと思えば建物自体は古いままだったり、隣に年季の入った金物屋や大衆食堂があったり…。地元の人たちが平和に暮らすこの地では、レトロとモダンが絶妙なバランスで入り混じっている。そんな太平山街を歩いてみれば、意外に面白い発見があるかも? 話題のPMQや文武廟がメインの上環観光、ちょっと時間が余ったなと思ったら、足を延ばしてぶらぶら散歩してみよう!

太平山街

 

見た目は印鑑屋、中は隠れたお洒落バー
遊び心溢れる秘密の空間発見
磅太太 Mrs. Pound( 明記印鑑)

磅太太 磅太太

太平山街と磅巷(Pound Lane)が交わる一角、パッと見ただけではただの印鑑屋だと思って素通りしてしまうかもしれない。が、近づいて中を覗いてみると、そこにはお洒落なバー空間が広がっている。しかし驚くのはまだ早い。実はこのバー、隠し扉を持っているのだ。扉を開くスイッチはショーケースいっぱいに並ぶハンコの一つ。遊び心溢れるこの仕掛けのおかげで、自分だけが秘密の場所を知っているようなドキドキ感が味わえる。店内はビビッドの緑と赤を基調としたレトロな雰囲気。豊富な種類のドリンクに加えて、料理メニューも充実。友人や恋人と一緒にランチやディナーを楽しもう。もちろん一人で飲みたいという気分の時にもぴったりのまさに隠れ家的バーだ。

Map A

磅太太 Mrs. Pound( 明記印鑑)
住所:6 Pound Lane, Tai Ping Shan St.
電話:(852) 3426-3949
時間:ランチ 12:00~14:30(月曜~金曜); ブランチ 12:00~15:00(土曜、日曜); ハッピーアワー 17:00~20:00(月曜~金曜);  ディナー 18:00~22:15(日曜~木曜),18:00~22:45(金曜、土曜)

 

世界を旅して得た調理法で和食をアレンジ
グルメ旅人になって斬新料理の数々を楽しもう
Tabibito

Tabibito

太平山街からト公花園の横にある階段を上っていくと、ひっそりとした佇まいの和食レストラン「Tabibito」がある。ここで食べられるのは、世界中の調理法を使ってアレンジした斬新な和食料理。初めて見るものばかりでも、食べてみるとほんのり懐かしい味が感じられるかも。おすすめはクリーミーなウニとまろやかな豆腐がコラボした「ウニスパイクド豆腐」。ゼリー状のダシと合わさって、口いっぱいに広がるうまみがたまらない!ほかにもコーンの中心がモッツァレラチーズになった「北海道スイートコーンの天ぷら」やあっさりとした口当たりの「茶碗蒸し」など、馴染みある料理が独特の美味しさに。友人とシェアしながら色んな創作料理を味わってみては。

TabibitoTabibito

Map B

Tabibito
住所:20 Po Hing Fong, Sheung Wan
電話:(852)2547-2833
時間:18:00~24:00(火曜~金曜); 11:00~15:00、18:00~24:00(土曜、日曜); 月曜定休日

 

おすすめミルクティでホッと一息
居心地のいいカフェでティータイムを
Teakha 茶家

TeakhaTeakha

太平山街から少し奥に入ったところにある「Teakha」は、ティーポット型の可愛い緑の看板が目印。狭い店内にはせっせと立ち働く若い女性スタッフさんたち。黒板にチョークで書かれたメニューや上から吊り下げられたビンのライトは、店をどことなく温かい雰囲気にしている。オススメは鍋でコトコト10分くらいかけて作るインド風ミルクティとしっとり濃厚な抹茶のチーズケーキ。別の入口から入る広いスペースに案内してもらえば街の喧騒も忘れてゆったりとティータイムを楽しめるかも。お腹に余裕があれば、店頭に並ぶ色々な味の自家製スコーンも食べてみて。店には日本語を話すスタッフさんもいるので英語が苦手な人でも安心。散歩の疲れを甘いモノで癒しちゃおう。

TeakhaTeakha

Map C

Teakha 茶家
住所:Shop B, 18 Tai Ping Shan St., Sheung Wan
電話:(852) 2858-9185
時間:11:00~19:00(月曜~金曜); 9:00~20:00(土曜・日曜)

 

オーガニック食品×スピリチュアリティ
健康的で美味しいモノを手に入れよう
Anything but Salads

Anything but SaladsAnything but Salads

名前だけ聞くとただの洒落たサラダバーだと思うかもしれない。しかし侮るなかれ、ここは多くのこだわりがつまった一風変わったお店なのだ。店内のブッダの掛け軸やゾウが乗った手の置物はスピリチュアリティな雰囲気を漂わせている。人気商品の「LIFE RAWNOLA」と「RED RAWNOLA」は朝ごはんにぴったりの栄養満点グラノーラ。食べやすいように加えられた「太らない砂糖」とも言われるオーガニックのパームシュガーは、嬉しいことにこれだけで購入することもできる。そしてもう一つのオススメが卵も牛乳も一切使っていないグルテンフリーのアイスクリーム。一番人気はしょっぱさと甘さが癖になる「サム味」だ。太平山街へ行ったらぜひAnything but Saladsへ寄ってみて!

Map D

Anything but Salads
住所:Shop B, G/F, 14 Tai Ping Shan St. Sheung Wan
電話:(852)2858-6666
時間:10:00~18:00(月曜~金曜); 9:00~18:00(土曜、日曜)

 

ザ・ローカルな食堂であなたも香港人気分!?
昔ながらの味を口いっぱいにほおばって
郁鍵快餐

郁鍵快餐 郁鍵快餐

ぶらぶらと散歩してお腹すいたら、大衆感あふれる「郁鍵快餐」へ。狭い店内はほとんどが厨房なので、食べるのはお店の外。その風景は香港らしい大排檔(ダイパイドン)な感じだが、出される料理はどちらかと言えば茶餐廳(チャーチャンテーン)。メニューには定番・公仔麵(インスタントラーメン)と耳なしパンのサンドウィッチセットを初め、様々な飯類や麺料理が並ぶ。手頃な値段に、ちょうど良い熱さで出てくる料理、一口一口に感じるレトロな味わい深さ…。一度行けば40年以上にわたって地元の人から長く愛され続けている理由がわかるかも。この界隈にお洒落なレストランが出来始めるずっと以前からいかにも香港なローカル味を提供しつづける店だ。

Map E

郁鍵快餐
住所:6A Tai Ping Shan St., Sheung Wan
電話:(852) 2549-2505
時間:7:00~18:00(月曜~土曜)

 

本格的で上品な中国茶を味わいたいならここ!
淹れ方を教えてくれるレッスンも開講中
文博軒 Heritage Tea House

文博軒

上質な中国茶や美しい茶器を扱う「文博軒」に訪れるのは、多くがここのお茶を愛する地元の人たち。文武廟方面から太平山街に入る階段を下りてすぐ、こげ茶色の渋い看板がこの通りの静かな雰囲気にしっくり溶け込んでいる。店内には上品なお茶の香りがたちこめ、自然と気持ちが落ち着く。店の棚いっぱいに並ぶ中国茶は、高級な見た目に反してお手頃な値段。店内で飲めばドライフルーツやナッツなどのお茶菓子もつけてくれる。このお店では中国茶の淹れ方を学べるレッスンも開講しているので、香港生活や香港旅をより満喫するために受けてみるのもいいかも。味わい深いお茶をゆっくりとすすりながら、カフェとはまた違った癒しの時間を楽しもう。

文博軒文博軒

Map F

文博軒 Heritage Tea House
住所:4 Tai Ping Sha St., Sheung Wan
電話:(852)2517-8028


百姓廟(廣福義祠)

百姓廟
太平山街の端に構える3つのお寺の一つで、真っ赤な外観がひと際目立つ。名前の「百姓」は「世間の人々」という意味。貧しく劣悪な環境の中亡くなった人々を奉る目的で1856年に建てられた。取り壊しを逃れ、今も地元の人々を見守り続けている。

磅巷公厠(Pound Lane Public Toilet)

磅巷公厠
例のペスト蔓延を受け、公衆衛生の対策として1904年につくられた公共トイレ。1958年には建て直しが行われてより現代風かつキレイになった。男女のトイレは別々で、中にはシャワーも。香港の歴史にちょっと関わる隠れスポットだ。

公花園(Blake Garden)

ト公花園
ペストが蔓延したこの地域を香港政府が買い取って建てられた公園。当時伝染病が流行った土地を政府が一掃してしまうことは珍しくなかったという。現在は香港で最初のパブリック公園として、スポーツをする地元の子供たちで賑わう場所になっている。

港医学博物館

香港医学博物館
1905年、ペスト菌発見に力を尽くした北里柴三郎の業績を讃え、「細菌学研究所」として建てられた。そして1996年には現在の香港医学博物館としてオープン。香港における医療の歴史がわかりやすく解説されているので一度行ってみては。

中山史蹟徑(Dr. Sun Yat-sen Historical Trail)

孫中山史蹟徑
「孫中山」は日本では「孫文」として有名な中国革命の父。中環と上環には、そんな孫文ゆかりの地として15のスポットが設置されている。普慶坊にある3つ目のスポットは革命同志の隠れ家の一つだったとか。興味があれば巡ってみよう。

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