映画「永い言い訳」

2016/11/28

永い言い訳「ゆれる」「ディア・ドクター」の西川美和監督が、第153回直木賞候補作にもなった自著を自身の監督、脚本により映画化した「永い言い訳」が12月8日に公開される。

人気作家の衣笠幸夫は、突然のバス事故により、長年連れ添った妻を失うが、夫婦の間にはすでに愛情と呼べるようなものは存在せず、妻を亡くして悲しみにくれる夫を演じることしかできなかった。そんなある時、幸夫は同じ事故で亡くなった妻の親友の遺族と出会う。幸夫と同じように妻を亡くしたトラック運転手の大宮は、幼い2人の子供を遺して旅立った妻の死に憔悴していた。その様子を目にした幸夫は、大宮家へ通い、兄妹の面倒を見ることを申し出る。子供を持たない幸夫は、誰かのために生きる幸せを初めて感じ、虚しかった毎日が輝き出していく。妻を亡くした男と、母をなくした子供たち。その不思議な出会いから、「あたらしい家族」の物語が動きはじめる。

「おくりびと」以来7年ぶりに主演を演じるのは本木雅弘。イメージを大きく覆す新境地に挑み、歪んだ自意識とコンプレックスに溺れるタレント小説家を見事に演じる。幸夫の妻には深津絵里、他にも贅沢な共演陣が、緊張感と豊かさをスクリーンに焼き付ける。

強烈な心理描写と、かつてない優しさや希望にあふれた感動作。いつしか物語に深く入り込み、主人公たちとともに悩み、迷い、そしてたしかな幸福感に涙する作品だ。

映画『永い言い訳』
12月8日公開
原作・脚本・監督:西川美和
出演:本木雅弘、深津絵里、竹原ピストル、藤田健心、白鳥玉季、堀内敬子
挿入歌:手嶌葵「オンブラ・マイ・フ」

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