なぜMTRの駅にはそれぞれテーマカラーがあるのか?

2017/02/14

旺角は赤、金鐘は青、彩虹駅には虹色の柱. . . M T R のホームが鮮やかな色彩で彩られているのはなぜか、正確な理由を御存知だろうか。

MTR CorportarionのAndrew Mead氏曰く、70年代に最初の路線を創設する際に明るい色が使われたのは、窓も自然光も無い地下鉄の駅が暗くどんよりとした印象になるのを避けるためだった。駅の色を白にすることもできたが、運営会社は「目印となるものが無い地下では色が駅の区別に役立ち、駅に個性を与えることができる」と考えた。実際、当時の香港では人々の識字率は高くなく、色は利用客が円滑に移動するのに必要なものだったのだ。

1979年に石硤尾と工業地帯の觀塘を結ぶ初めての路線が開通した後、1982年には荃湾線が、1985年には港島線が開通。路線の広がりとともに、駅の色分けはより顕著なものになった。

駅

Mead氏曰く、荃湾や旺角、中環といった乗換駅や終着駅には特徴的な赤を使うことで乗客に注意を促す一方、美孚駅では青系、茘景駅や茘枝角駅では赤系というように、連続する駅に似た色を使わないよう注意しているそうだ。また駅毎の色の由来については、海が近い黄填駅は青系、何文田駅は一帯が丘なので緑系、というように周辺環境から決めることが多いが、黃大仙の黄色のように広東語名が元になっていたり、茘枝角駅では駅名に入っている果物の”ライチ”からピンク系の赤だったり、前統治国である英国に由来する太子駅は英国王室のカラーである紫であったり、鑽石山(Diamond Hill)駅の柱は黒地に白のタイル点の様に入れ、ダイヤモンドの輝きを表現していたりする。

但しエアポート・エクスプレスの各駅はこのセオリーには従わず、駅は空港の一部という考えから、ホームは控えめのグレーにしている。HSBC本店や香港国際空港を設計したイギリス人建築家、Norman Foster氏はあまり色を使う傾向が無く、“Foster grey” と評されるように陰を印象的に使う建築家だったからだ。

虹色の柱

彩虹駅は虹色の柱

また、MTR Corp.は香港のアーティストによる中環駅-香港駅間通路のロケットの絵、中国人アーティストによる彩虹駅のバレリーナのブロンズ像、地元の人々の暮らしを描いたパネルがある美孚駅など、利用客にくつろいでもらい、洗練した印象を与えるため、駅にアートを取り入れることに力を注いでおり、昨年末オープンした海洋公園駅でも青を基調にした構内には、魚群を表現したクロームパネルなどが設置されたという。

駅の機能的な彩色やアートは目立たない存在ながら、駅と地域を継ぎ目なく繋ぎ、私達の生活を助けているのだ。

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