学生チームの情熱が生んだ画期的アイテム

2017/11/30

私達は外国の人々とより良いコミュニケーションを取るのに、辞書や書籍を利用したりするが、聴覚に障害を持つ人は読唇術や手話を使うほかない。時に健常者も彼らとコミュニケーションをとる必要があるが、彼らの使う”言語”を理解できる人がどれだけいるだろうか。

Noddy and Jacky

今年のHong Kong Student Science projectで、ある学生チームが手がけた手話翻訳グローブが1位を獲得した。手のジェスチャーを話し言葉に変換するデバイスとは一体どんなものか。手話ユーザーのコミュニケーションに革命を起こした3人の学生に話を聞いた。

基督教宣道會宣基中學に通う生徒が発明したこのアイテムは、手話をスマートフォンアプリを通じてテキストやスピーチに翻訳し、手話と口頭間のコミュニケーションをサポートする。開発チームのメンバーは、ノディー・ホーファイ・チョン、ジャッキー・カロング・チャン、マイケル・チャクラムの3名。同チームは香港学生科学プロジェクトコンクールのシニア部門でトップを獲得した後、グローバルな課題に取り組む学生達のコンペティション、I-SWEEEP 2017でも銅賞を受賞した。

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チームの一員、ジャッキーはプデモンストレーション用のグローブを着用し、5本の指それぞれに付いたセンサーを指差した。センサーが曲げられると抵抗が感知され、データが収集される一方、手の裏側ではジャイロスコープが手の加速度と角度を検出。同じく手の裏側に付いたBluetoothチップを介して送信されたそれらのデータは、ブレッドボードによって数字から言語に翻訳され、テキストや音声としてアプリケーションに表示される仕組みになっている。

この発明に使われた知識は、平均的なセカンダリースクールで教えられる物理のレベルを上回っているが、少年達はその知識を人からの助言とインターネットから得た。開発への道は決して平坦ではなく、彼らは3ヶ月間ノンストップでプロジェクトに取り組み、放課後、毎晩午後10時まで作業に没頭したという。

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「少なくともサーキットボードを10回は作り直しました。」と、ノディーは語る。度重なる改良の末、アプリのアップグレードは既に50回を越え、コンペティションの締め切り前日は徹夜作業に。朝6時半、学校に行く前にシャワーを浴びに家に戻ったのだそうだ。そのひたむきな努力は、最初のデモンストレーション器を完成させたことで報われた。

現在もユーザーにとってより使いやすいツールにするための努力は続いている。彼ら自身は手話を使えないため、香港で使われる一般的な手話の数千語をカバーしている香港中文大学の手話ブラウザを利用した。最初はデータを手入力していたそうだが、あまりの量に作業用アプリを開発し、入力作業を進行。未だにデータベース上に収容された単語数は不足気味で、翻訳性能向上のために、手話ユーザーが自身のボキャブラリー使用に合うよう単語を入力できる機能も付けた。マイケルは、「今のところアプリへの翻訳出力は英語のみになっているので、一般的な使い方のほか、海外旅行の際などにも役立つでしょう。将来的には、フランス語など他の言語にデータベースを拡げていくことを考えています。対応する単語をもっと増やして、より多くの手話ユーザーに試してもらいたいですね。」と語ってくれた。

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