アートの豆知識〝印象派〞とは?

2018/02/13

IImpressionism=“印象派”とは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて主にフランスで発生した絵画を中心とした芸術運動。印象派の絵画とは、一連の関連する手法と、手法を共有したアーティスト達によって約1867年から1886年の間に制作された作品を指す。

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印象派の画家達が重視したのは、描きたいと思ったその瞬間を、カンヴァスに写しとるということだった。人々の表情、その時の気候、水面のちらつき、雲の切れ目、雨など見たものを、澄んだ色の小さな点を細かく描くなど、独特のテクニックによって捉えることにより、パレット上で絵の具を混ぜ合わせて作った色よりも、移ろいゆく光景を情感豊かに描くことに成功した。彼らは時代の急速な変化と光の瞬間を表現することで、新しい時代の芸術を創造しようとしていたのだ。

Claude_Monet._Haystack._End_of_the_Summer._Morning._1891._Oil_on_canvas._Louvre,_Paris,_France

当時パリでは、芸術アカデミーの審査員によって選ばれた作品(主に歴史的な題材や宗教的なテーマなどに沿って描かれたもの)が”サロン・ド・パリ”に出品され、アートを愛好し収集する人々の目に触れることを許されていた。1860年代初頭、クロード・モネ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、アルフレッド・シスレー、フレデリック・バジールは美術クラスで出会い、歴史的または神話的な情景よりも、風景やその当時の生活を描きたいという思いで意気投合。そこに女性画家のモリゾらも加わった。

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サロン・ド・パリへ入選するのに何年かかるか分からない、そして現代と違って他のギャラリーなどが存在しない、そんな時代において彼らは資金を出し合い、独立した展覧会を開いた。展覧会を最初に開いたのはサロン・ド・パリの開催とほぼ同時期の1874年の5月。1886年までに、計8回の展覧会が行われ、印象派の代表格として現在我々が知る画家達が作品を発表していった。当時、絵画とはアトリエにこもり、テーマや構図にこだわり、綿密に描きこんだものに価値があるとされており、印象派の画家達が日常生活や風景を、時には屋外で感性の赴くままに描きとめた作品達は、当然ながら批評家達から、”スケッチのようで世間に出すべきもので無い”と批判を浴びた。

“印象派”という名前は、モネの「印象・日の出」という絵のタイトルを文字って批評家が書いた”印象派の展覧会”という記事から来たものだ。その記事は決して賛美的な内容ではなかったのだが、主催画家達から”印象派”という単語は受け入れられ、世間の人々にも浸透していくようになる。

展覧会を行うことで当初画家達に金銭的な報いはほぼなかったものの、仲買人の働きなども功を奏して、印象派の知名度は徐々に上がっていった。ルノワール、モネ、ピサロなどは存命のうちに画家として成功の名誉を得たが、シスレーなど、不運にも貧困のままに生涯を終えた画家達もいた。

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