僕の香妻交際日記 第29回「香港で子を産む 出産編」

2018/09/12

香港で子どもを産む時に一番考えなければいけないことは「どこで産むか」です。
金銭面、安全面を考慮した上で病院選び、医師選びがしっかりできれば、あとは無事に健康な赤ちゃんが産まれてくるのをひたすら祈るのみです。

我が家の場合は妻の「政府病院は信用ならん!」という断固たる意見により荃灣にあるアドベンティスト病院(私立)に、妻と産まれてくる子の運命を委ねることにしました。

 

え、帝王切開じゃなかったの?

香港で出産することを決めると、友人やら同僚やらに必ず「CS」か「Normal」かを聞かれます。
CSとは帝王切開のことを指し、Normalは自然分娩のことを指します。
日本ではこういう話題はタブー扱いされますよね。帝王切開はダメみたいな空気が未だに流れているのは、日本の妊婦さんたちに大きなストレスを与えているとつくづく思います。
その点香港ではCS肯定派が多数を占めるので、自然分娩を希望したときには医師も含めて「ま、CSの方が間違いないけどね」とよく会話の最後に付け加えてきます。
香港でCSが推奨される主な理由は「より安全」「痛くない」「スケジュールしやすい」などが挙げられます。
いずれにしても、赤ちゃんとママの安全が第一ですので、出産方法については医師や家族と相談して決めましょう。

 

ホテルかゲストハウスか

アドベンティスト(私立病院)の場合、出産してから自然分娩で3泊4日、帝王切開だと4泊5日病院に滞在することになります。部屋は3人部屋~1人部屋まであり、それぞれ一泊600~1000ドルくらいです。ちなみに政府病院は8~12人部屋で一泊160ドルくらいらしいです。ホテルとゲストハウスみたいな格差がそこにはあります。

 

あるよ、お湯だけ

妻が妊娠しているとき、一度体調不良で政府病院に駆け込んだことがありました。政府病院の良いところはとにかく無料ということですが、サービスはやはりそれなりです。たとえば、紙コップとかティッシュとかマスクとか一切くれません。検尿の紙コップすら持参しなければなりません。ただ、お湯だけくれます。ですから、いざ出産という際には完璧な準備を自宅で揃えて臨まなければならないことを肝に命じておいてください。
一方の私立病院は滞在中に必要なタオルや歯ブラシ、スリッパ、シャンプーなどは提供してくれるので、自分の着替えなど最小限の持ち物で出産に臨めます。

 

看護師も人の子

政府病院の看護師たちはいわば戦士です。三國無双の関羽が敵に囲まれても一蹴できるように、政府病院の看護師たちも期待と不安に満ちた妊婦たちが次々と押し寄せて来ても厳しい視線と切れ味抜群の早口でことごとく一蹴します。感情を押し殺し、その場で必要な情報のみを伝えるプロ集団です。
「私たちと世間話?冗談は顔だけにしなさい」
と言われます。(言われません。)
一方、私立病院の看護師は笑顔もあり、「どうしました?」といつも気にかけてくれますが、妊婦さんの気持ちを本当に理解してくれている看護師は何人いるかと言うと片手で数えられる程度だというのも事実です。

「アドベンティスト病院ではプロによる記念写真撮影サービスが含まれています(高画質!)」

「アドベンティスト病院ではプロによる記念写真撮影サービスが含まれています(高画質!)」

香港で出産する場合、病院から、医師、看護師、部屋まで全て自分で選ぶことができます。ただ、それなりのサービスを求めるとそれなりに費用もかかりますので、とにかく安く!と言うことであれば政府病院に駆け込むのが一番です。
いずれにしても、出産は人生における一大イベントですから、自分の満足のいくやり方を選ぶべきです。その過程で自分に合った場所、人々に会えれば素晴らしい出産になることでしょう。

 

「心の楽しみは良い薬である」

荃灣Adventist病院、よろしくお願いします。

ではでは。

 

 


ルーシー龍(りゅう)ルーシー龍
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。

Pocket
LINEで送る