総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:雷の季節です

2019/05/22

堀様1
今年も雨が多い季節になりました。香港では5月から8月までの4か月間の降水量が年間降水量の6割以上にもなるといわれ、この時季には水害もたびたび起きています。さらに大気が不安定になることも多く、雷も頻繁に発生します。海や山での落雷事故も起きやすく、これからの季節は特に注意が必要です。雷の発生が予想されている時には、できる限り屋外活動を控えるべきですが、せっかくの週末には特別悪天候ではない限り出かけてしまうことも少なくはありません。雷の怖さを理解して、少しでも危険を回避するべきです。

 

落雷の時の電圧は200万~10億ボルト、電流は1千~20万アンペアあるいはそれ以上といわれるほどのエネルギーですが、その持続時間は1/1000秒程度しかありません。また稲妻の中では局所的に2~3万度という高温に達するため、周囲の空気が急激に膨張します。この時に発生する音速を超える衝撃波によって生じる音が雷鳴です。ほんの一瞬ではあるものの凄まじいエネルギーを持っているので、落雷による影響は極めて甚大です。人に落雷する事故が時々起きていますが、もちろん直撃を受けてしまうとひとたまりもありません。雷は少しでも高いところに落ちます。金属製品を身につけていたとしても雷が金属類に誘導されることはなく、ほぼ間違いなく頭部に落ちることになります。従って雷が近づいてきたらできる限り低い姿勢をとらなければいけません。

 

自動車や電車内はもちろん、飛行中の機内も安全です。ちなみにどの飛行機も平均的に年に一度は雷が落ちているそうです。先日、ロシアの飛行機が落雷で計器類が故障したことが原因で不時着炎上するという事故が起きましたが(真の原因は調査中)、これは例外中の例外でしょう。屋内もほぼ安全です。電線を完全地中化している香港は、特に屋内の安全性は高いと思います。

 

問題は屋外活動中の天候の急変です。周囲に避難できる場所があれば逃げ込めますが、ハイキング中などはとても危険です。海や山、あるいはグラウンドでの競技やゴルフプレー中も危険度は極めて高いものです。山であれば尾根から降りて、できれば窪地のようなところで身をかがめます。安全姿勢というものがあります。しゃがんで頭を下げてください。近くに落雷した電流が流れることがあるので、靴底以外は接地してはいけません。木の下で雨宿りはとても危険な行為です。立ち木への落雷の側撃(木から人に電流が飛んでくる)を受ける危険性が高いからです。安全範囲にいることが大切です。立ち木の先端を45度の角度で見上げる内側が危険性が低い範囲です。ただしその木の幹やすべての枝葉から少なくとも2m以上は離れてください。

 

香港では天文台(HongKong Observatory)から雷発生の注意報が発令されます。このようなときには海や山でのレジャーは中止するべきです。途中であっても中止して引き返す勇気が必要です。また雷雲の動きがわかるレーダー画像も常に公開されているので、できる限りアクセスして情報収集に努めてください。遠くに雷鳴が聞こえたら危険信号です。直ちに安全を確保してください。

 

子供の頃雷が鳴ったらへそを隠せと言われたことはありませんか?雷の発生に合わせて気温が急降下することが多いので、「お腹を冷やさないようにしなさい」という戒めでもあるようです。怪しい雲が現れて、冷たい風が吹いてきたら危険が差し迫っているといえます。楽しいレジャーを一瞬にして悪夢に変えないためにも、躊躇することなく安全を確保する行動をとってください。

 

 

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