香港を東西に駆け抜けるトラムが一部区間で運行止め!?

2016/03/01

ガタンゴトン…ガタンゴトン…。金融都市香港を東西に駆け抜ける路面電車トラム。乗り物好きじゃなくてもこのレトロな車体にキュンとくるという人も多いはず。ゆっくりとした動きで移動手段としては地下鉄やバスに遠く及ばないけど、それでもいつまでも現役でいてほしい。なんて心配してたら去る2月22日から3日間一部区間で運行休止の案内が! いったいなんで!?

トラム実は冒頭の「ガタンゴトン」という電車音、沿線に住む住民から「音がうるさ過ぎて眠れない」と騒音被害の声が上がっているらしい。鉄ちゃんにとっては癒しの音でも、一般人からすると雷の轟音にも等しいということか…。この声に対応するため、香港政府は150万香港ドルかけて軌跡に伸縮性のあるゴムを塗装することを決定、手始めに一番被害の声が高かった筲箕湾(サウゲイワン)の100m区間で工事を開始し、そのため去る2月22日から3日間、西湾河(サイワンホー)から先は通行止まりとなっていたのだという。

よかった、路線が短くなったわけじゃなかったのね…。そもそもなんでゴムで軌跡を覆う手法なのか?実はこれ、ヨーロッパで既に普及している騒音対策なのだ。軌跡を丸ごと新しいものに交換すればいいのに、というのは素人目線。シニアエンジニアのChanさんによると、軌跡を取り替えるには地面のコンクリート部分を丸ごとはがす必要があり、コストと工事期間が長くかかってしまうらしい。ゴムを使えば工事期間が2日に抑えられる上、軌跡の耐久性も6年から12年に延び、まさに「いいとこ取り」というわけだ。

工事は今後、7月に銅鑼湾(コーズウェイベイ)、そして灣仔(ワンチャイ)で執り行われる予定とのこと。予算の都合上全ての線路をコーティングすることはできないそうだが、住居区を中心にこれからも工事は進められるという。ガタンゴトン…ガタンゴトン…。時代に寄り添う形で少しでも多くの歴史を残そうという香港人の愛を感じるではないか。路面電車

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